カテゴリー構築指数とブランド構築指数 データ分析講座(その257)

投稿日

情報マネジメント

 

自社商品やサービスが、どの顧客セグメントに対し強いのか弱いのか、ポテンシャルが高いのか低いのかを示す指標が構築指標で、次の2種類があります。

  • カテゴリー構築指数
  • ブランド構築指数

計算式はどちらも簡単です。1顧客あたりの販売金額(もしくは数量)を計算し求めます。今回は「ターゲットの強弱を浮かび上がらせるカテゴリー構築指数とブランド構築指数」というお話しをします。ちなみに今回は、販売金額ベースで説明を進めます。

 

【目次】
1. カテゴリー構築指数
2. ブランド構築指数
3. カテゴリー構築指数×ブランド構築指数

【この連載の前回:データ分析講座(その256)3つの市場シェアとはへのリンク】

 

1. カテゴリー構築指数

先ず、ある商品カテゴリー(例:1mlの紙パック牛乳)の1消費者(もしくは1世帯)あたりの販売金額を計算します。この値がベースになります。

 

次に、ある顧客セグメント(例:首都圏に住む30代独身男性)に対し同様に、その商品カテゴリー(例:1mlの紙パック牛乳)の1消費者(もしくは1世帯)あたりの販売金額(もしくは数量)を計算します。現在、手元にある計算結果は以下の2つです。

  • 全体の1消費者(もしくは1世帯)あたりの販売金額
  • 顧客セグメント別の1消費者(もしくは1世帯)あたりの販売金額

この1消費者(もしくは1世帯)あたりの販売金額の比を指標化したのが、カテゴリー構築指数です。顧客セグメントAのカテゴリー構築指数は以下となります。

 

情報マネジメント

 

この指標の値は大きいほど、その顧客セグメントに対しそのカテゴリーが強い、ということになります。当然ですが、1以上でないと強いとはなりません。例えば、1mlの紙パック牛乳の1世帯あたりの購入本数を、日本全体と東京都練馬区で比較する、日本全体と小学生のいる世帯で比較する、日本全体と1人暮らしの成人世帯と比較する、といった感じです。

 

2. ブランド構築指数

ブランド構築指数は、カテゴリー構築指数と計算方法はほぼ同じです。

 

違いは、カテゴリーではなく、ブランドで考えているところです。計算時に対象とするブランドは、通常自社ブランドのため、分析の軸足が自社になります。

  • カテゴリー構築指数:分析の軸足が市場
  • ブランド構築指数:分析の軸足が自社

では簡単に説明します。

 

先ず、あるブランド(例:なっちゃん)の1消費者(もしくは1世帯)あたりの販売金額を計算します。この値がベースになります。次に、ある顧客セグメント(例:首都圏に住む小学生のいる世帯)に対し同様に、そのブランド(例:なっちゃん)の1消費者(もしくは1世帯)あたりの販売金額(もしくは数量)を計算します。現在、手元にある計算結果は以下の2つです。

  • ブランド全体の1消費者(もしくは1世帯)あたりの販売金額
  • 顧客セグメント別の1消費者(もしくは1世帯)あたりの販売金額

この1消費者あたりの販売金額の比を指標化したのが、ブランド構築指数です。顧客セグメントAのブランド構築指数は以下となります。

 

情報マネジメント

 

この指標の値は大きいほど、その顧客セグメントに対しそのブランドが強い、ということになります。当然ですが、1以上でないと強いとはなりません。

 

3. カテゴリー構築指数×ブランド構築指数

カテゴリー構築指数とブランド構築指数は、単体で利用すると、市場におけるそのカテゴリーやブランドの強み弱みを発見できますが、掛け合わせてマトリクス化して活用すると、より幅が広がります。

 

情報マネジメント

 

掛け合わせることで、例えば、あるエリアでカテゴリー構築指数が高いのに、そのカテゴリーに属する自社ブランドのブランド構築指数が低い、ということが分かったりします。なぜ、他社に遅れを取っているのかを、考えるきっかけになります。カテゴリー構築指数とブランド構築指数は、単体でモニタリングするだけでなく、カテゴリー構築指数×ブランド構築指数のマトリクスの中でどのように変化するのかモニタリングするといいでしょう。

 

◆【特集】 連載記事紹介連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

◆データ分析講座の注目記事紹介

 

 


この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
見積システムによるDX(その3)

  【目次】 1.アナログ情報をデジタル化 2.プロセス全体をデジタル化 3.価値の創造と利益の拡大   ここ...

  【目次】 1.アナログ情報をデジタル化 2.プロセス全体をデジタル化 3.価値の創造と利益の拡大   ここ...


過去を整理し未来を創造する データ分析講座(その10)

  ◆ 社内随一のデータ分析の達人は、経営層に必ずいるという驚愕の事実  「うちの会社に、データ分析人財が不足しているというか、いないん...

  ◆ 社内随一のデータ分析の達人は、経営層に必ずいるという驚愕の事実  「うちの会社に、データ分析人財が不足しているというか、いないん...


パレート指数による売上分析 データ分析講座(その216)

    【この連載の前回:データ分析講座(その215)指標の名称の付け方で印象操作へのリンク】 所得分布の不均衡を研究したヴィル...

    【この連載の前回:データ分析講座(その215)指標の名称の付け方で印象操作へのリンク】 所得分布の不均衡を研究したヴィル...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
生産スピード向上と品質管理

 電子メールやインターネットの普及により、ビジネスのグローバル化が大きく進みましたが、IT技術の進歩は、品質管理の方法も進歩させました。20数年前は製造条...

 電子メールやインターネットの普及により、ビジネスのグローバル化が大きく進みましたが、IT技術の進歩は、品質管理の方法も進歩させました。20数年前は製造条...


現場情報の自動収集に道具だてを

 一日の作業指示の出し方で、次のどちらの組織の管理レベルの改善がより進むでしょうか?        ・A社 ➡「x製品を◯個」     ・B...

 一日の作業指示の出し方で、次のどちらの組織の管理レベルの改善がより進むでしょうか?        ・A社 ➡「x製品を◯個」     ・B...


人的資源マネジメント:製品開発の滞留を引き起こすファイルとは(その2)

 今回は、PDM/PLMに代表される製品開発業務のIT化をどのように考え、進めるのがよいのかについて解説します。    前回まで続けていたテ...

 今回は、PDM/PLMに代表される製品開発業務のIT化をどのように考え、進めるのがよいのかについて解説します。    前回まで続けていたテ...