分析成果を上手く説明できていますか データ分析講座(その292)

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機械学習

 

「データがあるから、何か分かるでしょ?」「とりあえず、AI(Deep Learning)で何かやれ!」「よし! デジタルトランスフォーメーションだ!!!」このような合言葉とともに、データサイエンスの専門部署を、社内に設置する企業が増えています。専門部署とは言わないまでも、専任の担当者がいる企業も少なくありません。私がデータ分析を、実務でやり始めた20年前にはなかったことです。しかし、人はそろえたけど、ビジネス貢献できていないという問題に直面している企業も多いのではないでしょうか。今回は「データ分析の成果、上手く説明できていますか」というお話しをします。

 

【目次】
1. 急激なIT化によりデータ量が急増
2. なぜ、急に社内データサイエンティストが増えたのでしょうか
3. 人はそろえたけど……
4. データ分析でビジネス貢献するとは
5. 課題解決にデータ分析は必須ではない
6. 一番残念なこと
7. 用語ギャップ

【この連載の前回:(その291)データ分析はPDCAの「Check」から始まる へのリンク】

◆データ分析講座の注目記事紹介

 

1. 急激なIT化によりデータ量が急増

2000年ごろからの急激なIT化、このIT化の副残物として、大量のデータが蓄積されるようになりました。さらに、そのデータの蓄積コストや分析コストが減り、手軽にデータ分析をすることができるようになりました。

 

そのような中、データを武器にする企業が脚光を浴びました。

 

2. なぜ、急に社内データサイエンティストが増えたのでしょうか

我が社も…… ということで、外部の力を活用しデータ活用に取り組む企業も増えました。しかし、外部の企業に赤裸々に内部事情を曝す企業は非常に少ないため、十二分にデータ活用することができませんでした。

 

外部のデータサイエンティストの単価が高いこともあり、であれば内部にデータサイエンティストがいた方がいいだろう、ということで、社内データサイエンティストが増えたのでしょうか。これからも増え続けるデータ、どのようにデータを調理し自社のビジネスに生かすのか。

 

データを生かすも殺すも、社内データサイエンティストの腕次第です。私としては、仲間が増えて非常に喜ばしい限りです。

 

3. 人はそろえたけど……

ここ10年の間にデータ分析に積極的に動き出した企業、その後どうなったのでしょうか。実際、いくつかの企業から、次のような悩みを聞きました。

 

「うちのデータ分析、あまりビジネス貢献していない」

 

そもそも、データ分析でビジネス貢献するとは、どういうことでしょうか。

 

4. データ分析でビジネス貢献するとは

データ分析でビジネス貢献するとは、たとえば、その企業の収益や生産性、品質、コスト、スピード、安全性、意欲、環境などといったものに対し、良いインパクトをもたらすことです。

 

つまり、「うちのデータ分析、あまりビジネス貢献していない」とは……

 

「データ分析者や機械学習エンジニアといったデータサイエンス人財をそろえ、さらにデータ分析ツールやBI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどの分析基盤を整えたけど、このようなビジネス成果を十分にもたらせていない」

 

……ということです。

 

5. 課題解決にデータ分析は必須ではない

多くの企業内の課題解決にとって、データ分析は絶対必須というものではありません。ビジネスの世界では、実はデータ分析をしてもしなくても問題ないのです。このような中で、あえてデータ分析をするからには、何か違いを見せる必要があります。

 

では、どのような違いを見せればいいのでしょうか。非常にシンプルな話しです。データ分析を活用することで、著しく良いインパクトをもたらし、そのことを分かりやすく表現し伝えればいいのです。

 

6. 一番残念なこと

一番残念なのが、データ分析でビジネス成果を出しているのに、その成果を上手く表現し伝えることに失敗しているといったケースです。

 

成果を分かりやすく表現する必要があります。そうしないと、「データ分析 ≒ 無駄」となってしまい、ビジネスに貢献しないデータ分析という面倒な業務が社内に増えたと思われて...

機械学習

 

「データがあるから、何か分かるでしょ?」「とりあえず、AI(Deep Learning)で何かやれ!」「よし! デジタルトランスフォーメーションだ!!!」このような合言葉とともに、データサイエンスの専門部署を、社内に設置する企業が増えています。専門部署とは言わないまでも、専任の担当者がいる企業も少なくありません。私がデータ分析を、実務でやり始めた20年前にはなかったことです。しかし、人はそろえたけど、ビジネス貢献できていないという問題に直面している企業も多いのではないでしょうか。今回は「データ分析の成果、上手く説明できていますか」というお話しをします。

 

【目次】
1. 急激なIT化によりデータ量が急増
2. なぜ、急に社内データサイエンティストが増えたのでしょうか
3. 人はそろえたけど……
4. データ分析でビジネス貢献するとは
5. 課題解決にデータ分析は必須ではない
6. 一番残念なこと
7. 用語ギャップ

【この連載の前回:(その291)データ分析はPDCAの「Check」から始まる へのリンク】

◆データ分析講座の注目記事紹介

 

1. 急激なIT化によりデータ量が急増

2000年ごろからの急激なIT化、このIT化の副残物として、大量のデータが蓄積されるようになりました。さらに、そのデータの蓄積コストや分析コストが減り、手軽にデータ分析をすることができるようになりました。

 

そのような中、データを武器にする企業が脚光を浴びました。

 

2. なぜ、急に社内データサイエンティストが増えたのでしょうか

我が社も…… ということで、外部の力を活用しデータ活用に取り組む企業も増えました。しかし、外部の企業に赤裸々に内部事情を曝す企業は非常に少ないため、十二分にデータ活用することができませんでした。

 

外部のデータサイエンティストの単価が高いこともあり、であれば内部にデータサイエンティストがいた方がいいだろう、ということで、社内データサイエンティストが増えたのでしょうか。これからも増え続けるデータ、どのようにデータを調理し自社のビジネスに生かすのか。

 

データを生かすも殺すも、社内データサイエンティストの腕次第です。私としては、仲間が増えて非常に喜ばしい限りです。

 

3. 人はそろえたけど……

ここ10年の間にデータ分析に積極的に動き出した企業、その後どうなったのでしょうか。実際、いくつかの企業から、次のような悩みを聞きました。

 

「うちのデータ分析、あまりビジネス貢献していない」

 

そもそも、データ分析でビジネス貢献するとは、どういうことでしょうか。

 

4. データ分析でビジネス貢献するとは

データ分析でビジネス貢献するとは、たとえば、その企業の収益や生産性、品質、コスト、スピード、安全性、意欲、環境などといったものに対し、良いインパクトをもたらすことです。

 

つまり、「うちのデータ分析、あまりビジネス貢献していない」とは……

 

「データ分析者や機械学習エンジニアといったデータサイエンス人財をそろえ、さらにデータ分析ツールやBI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどの分析基盤を整えたけど、このようなビジネス成果を十分にもたらせていない」

 

……ということです。

 

5. 課題解決にデータ分析は必須ではない

多くの企業内の課題解決にとって、データ分析は絶対必須というものではありません。ビジネスの世界では、実はデータ分析をしてもしなくても問題ないのです。このような中で、あえてデータ分析をするからには、何か違いを見せる必要があります。

 

では、どのような違いを見せればいいのでしょうか。非常にシンプルな話しです。データ分析を活用することで、著しく良いインパクトをもたらし、そのことを分かりやすく表現し伝えればいいのです。

 

6. 一番残念なこと

一番残念なのが、データ分析でビジネス成果を出しているのに、その成果を上手く表現し伝えることに失敗しているといったケースです。

 

成果を分かりやすく表現する必要があります。そうしないと、「データ分析 ≒ 無駄」となってしまい、ビジネスに貢献しないデータ分析という面倒な業務が社内に増えたと思われてしまいます。

 

7.用語ギャップ

伝わらない要因の1つに、用語ギャップがあります。データ分析やデータサイエンス、機械学習のモデル構築などを普段から実施している人と、そうでない方の間に、用語ギャップが広がっています。データ分析でビジネス成果を出しているのならば、そのあたりの最大限の配慮をしないと、聞き慣れない言葉でよく分からないことを言っている変な人、と思われてしまう可能性があります。気を付けましょう。

 

次回に続きます。

 

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この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

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