分析結果で今までの業務のどの部分がどのように変わるのか データ分析講座(その78)

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データ分析

◆ 分析結果を丸投げされ困惑する現場の人々

 データ分析した結果を見える化すれば何とかなるでしょうか。日販や受注件数、コンバージョン数などの指標や、その他の結果を見ただけで何かしら成果が出るほど、データ活用は簡単ではありません。指標やデータ分析結果は、極論を言えば数字の羅列です。そこから何かアクションを起こせと言われても、多くの場合は難しいでしょう。数字の羅列から何をすべきかを見るには、それなりの経験が必要で、ある種のセンスも必要かもしれません。

 そんな数字の羅列を丸投げされたビジネスの現場では、ただただ困惑するばかりです。具体的に誰が何をすればよいのかが分からない。ではどうするか…。手っ取り早い対処法は無視すること。要するに分析結果は見ない。見ても、ちらっと見る程度。一言で言うと「生かされないデータ分析結果にしてしまう」とうことです。分析したのにビジネスの現場で生かされない、そんな原因の一つが「具体的に何をすればいいの?」という一言に集約されることでしょう。今回は、「分析結果を丸投げされ困惑する現場の人々」というお話しをします。

1. データ分析:結果は分かるけど、何をすればいいの?

 データ分析組織を立ち上げても、即座にビジネス貢献することは少ないようです。

 実際、分析結果を手渡されても多くの現場では困惑するばかりのようです。現場が理解できない分析結果を渡すのは論外ですが仮に、分析結果が現場で理解可能であっても、多くの現場では困惑することは少なくありません。

 現場から「結果はわ分かるけど、何をすればいいのかが見えない」と言われることもあります。

 折角、現場の人が分析結果を理解してくれたのに、その結果をもとに何をすればいいのか分からないようでは、動きようがありません。分析した側の切なる願いとして「そこは現場で考えて」というのもあるかもしれませんが、それは単なる願いにしか過ぎません。現場で考えることは稀で、多くの場合は考えたくはありません。なぜならば、面倒で先行きが見えず、経験もないからです。誰が何をすればよい?と思われることを考えれば、そこにはいくつかの要因があります。

 その一つが「誰がやるのか?」ということです。

 正直、現場では「余計な仕事が増える」と感じることに対し「誰がやるのか?」は大問題です。確実にビジネス成果を得られるという確証があれば、積極的にやる人も出てくるかと思いますが、データ分析で十分なビジネス成果が出ていない段階では、それは大きな壁です。分析した側からすれば「そこは現場で考えて!」という考えがあるかもしれませんが、それは単なる願いでしかありません。これは、データ分析側と現場で一緒になって解決すべき問題です。

 この時、若手だから、暇そうだから、ITが得意そうだから、みたいな感じで押し付けるように決めるのは良くありません。最善の選択方法が、一番成果の出やすい人に決める事です。多くの場合、それなりの実績があって、仕事のスピードが速く忙しそうで、みたいなエース一歩手前ぐらい、もしくは同期の中で抜きん出ている人になります。意地でも成果を出してくれることでしょう。データ分析で初めて成果を出すには「意地でも成果を出す」ぐらいの気概がないと結構厳しいわけです。とはいえ、サクッと成果の出ることもありますが、それは単なる偶然に過ぎません。

2. データ分析:確かにそうだけど、どうすればよいの?

 データ分析の結果を生かすために動く人が「誰なのか」が決まっても、現場が動きません。データ分析者が可哀そうという哀れみや分析者との人間関係から、動いてくれる人もいるかもしれませんが、それは単なるラッキーです。なぜ動けないのでしょうか?仮に動こうとしても、どう動けば良いのか分からないからです。

 例えば、高校の数学のテストで50点以下しか取れなかった人に対し「あなたは、最低でも90点取るように頑張ろう!」と言われても困ります。なぜならば、数学で90点以上の得点を取るための学習方法が分からない上、そもそもやったことないからです。つまり、データ分析を現場に丸投げするということは「50点以下は問題だから、最低でも90点の得点を取れ!」と言っているのと一緒です。そのため、具体的に何をすれば良いのかが分からないので「何かしたほうが良さそう」ということが分かっていても動けないのです。

3. 分析結果と現実をどうすり合わせるか?

 ではどうすべきか?答えは簡単です。色々な解決策があるかもしれませんが、多くの場合これで解決できます。データ分析を活用する前の、現場の人の「ビジネスプロセス」もしくは「業務プロセス」を、ざっくりでも良いので洗い出し、整理しておけば良いのです。これだけで結構動いてくれるようになります。なぜでしょうか?

 どの業務のときに、分析結果を活用すれば良いのかが見えるからです。逆に見ると、データ活用するにしても今まで通りで良い業務がどこかが見える、というのもあります。つまり、どこが変化し、どこが変化しないのか、ということが見えるので、動きやすくなる、ということです。さらに、変化する業務プロセスは、どのように変化するのかを明確にしておく必要があります。データ分析した側の希望として「そこは現場で考えて!」という願いもあるかもしれませんが、そこは両者が責任を持ち、データ分析者が考え検討し整理していく必要があります。

 

4. データ分析:今までの業務のどの部分がどのように変わるのかを「業務プロセス」を明らかにする

 今回は「で、具体的に何をすればよいの?分析結果を丸投げされ困惑する現場の人々」というお話しをしました。分析結果を手渡されても、多くの現場では困惑するばかりです。何をすれば良いのかが見えないからです。そして無視されます。仮に、分析結果が理解されても「何をすれば良いのか分からない」と思われたら、そのデータ分析はビジネスで生かされません。

 「何をすれば良いのか分からない」と思われる要因にはいくつかあります。その一つが、「誰がやるのか?」です。データ分析者の多くは「現場で考えて決めてくれ」と心の...

データ分析

◆ 分析結果を丸投げされ困惑する現場の人々

 データ分析した結果を見える化すれば何とかなるでしょうか。日販や受注件数、コンバージョン数などの指標や、その他の結果を見ただけで何かしら成果が出るほど、データ活用は簡単ではありません。指標やデータ分析結果は、極論を言えば数字の羅列です。そこから何かアクションを起こせと言われても、多くの場合は難しいでしょう。数字の羅列から何をすべきかを見るには、それなりの経験が必要で、ある種のセンスも必要かもしれません。

 そんな数字の羅列を丸投げされたビジネスの現場では、ただただ困惑するばかりです。具体的に誰が何をすればよいのかが分からない。ではどうするか…。手っ取り早い対処法は無視すること。要するに分析結果は見ない。見ても、ちらっと見る程度。一言で言うと「生かされないデータ分析結果にしてしまう」とうことです。分析したのにビジネスの現場で生かされない、そんな原因の一つが「具体的に何をすればいいの?」という一言に集約されることでしょう。今回は、「分析結果を丸投げされ困惑する現場の人々」というお話しをします。

1. データ分析:結果は分かるけど、何をすればいいの?

 データ分析組織を立ち上げても、即座にビジネス貢献することは少ないようです。

 実際、分析結果を手渡されても多くの現場では困惑するばかりのようです。現場が理解できない分析結果を渡すのは論外ですが仮に、分析結果が現場で理解可能であっても、多くの現場では困惑することは少なくありません。

 現場から「結果はわ分かるけど、何をすればいいのかが見えない」と言われることもあります。

 折角、現場の人が分析結果を理解してくれたのに、その結果をもとに何をすればいいのか分からないようでは、動きようがありません。分析した側の切なる願いとして「そこは現場で考えて」というのもあるかもしれませんが、それは単なる願いにしか過ぎません。現場で考えることは稀で、多くの場合は考えたくはありません。なぜならば、面倒で先行きが見えず、経験もないからです。誰が何をすればよい?と思われることを考えれば、そこにはいくつかの要因があります。

 その一つが「誰がやるのか?」ということです。

 正直、現場では「余計な仕事が増える」と感じることに対し「誰がやるのか?」は大問題です。確実にビジネス成果を得られるという確証があれば、積極的にやる人も出てくるかと思いますが、データ分析で十分なビジネス成果が出ていない段階では、それは大きな壁です。分析した側からすれば「そこは現場で考えて!」という考えがあるかもしれませんが、それは単なる願いでしかありません。これは、データ分析側と現場で一緒になって解決すべき問題です。

 この時、若手だから、暇そうだから、ITが得意そうだから、みたいな感じで押し付けるように決めるのは良くありません。最善の選択方法が、一番成果の出やすい人に決める事です。多くの場合、それなりの実績があって、仕事のスピードが速く忙しそうで、みたいなエース一歩手前ぐらい、もしくは同期の中で抜きん出ている人になります。意地でも成果を出してくれることでしょう。データ分析で初めて成果を出すには「意地でも成果を出す」ぐらいの気概がないと結構厳しいわけです。とはいえ、サクッと成果の出ることもありますが、それは単なる偶然に過ぎません。

2. データ分析:確かにそうだけど、どうすればよいの?

 データ分析の結果を生かすために動く人が「誰なのか」が決まっても、現場が動きません。データ分析者が可哀そうという哀れみや分析者との人間関係から、動いてくれる人もいるかもしれませんが、それは単なるラッキーです。なぜ動けないのでしょうか?仮に動こうとしても、どう動けば良いのか分からないからです。

 例えば、高校の数学のテストで50点以下しか取れなかった人に対し「あなたは、最低でも90点取るように頑張ろう!」と言われても困ります。なぜならば、数学で90点以上の得点を取るための学習方法が分からない上、そもそもやったことないからです。つまり、データ分析を現場に丸投げするということは「50点以下は問題だから、最低でも90点の得点を取れ!」と言っているのと一緒です。そのため、具体的に何をすれば良いのかが分からないので「何かしたほうが良さそう」ということが分かっていても動けないのです。

3. 分析結果と現実をどうすり合わせるか?

 ではどうすべきか?答えは簡単です。色々な解決策があるかもしれませんが、多くの場合これで解決できます。データ分析を活用する前の、現場の人の「ビジネスプロセス」もしくは「業務プロセス」を、ざっくりでも良いので洗い出し、整理しておけば良いのです。これだけで結構動いてくれるようになります。なぜでしょうか?

 どの業務のときに、分析結果を活用すれば良いのかが見えるからです。逆に見ると、データ活用するにしても今まで通りで良い業務がどこかが見える、というのもあります。つまり、どこが変化し、どこが変化しないのか、ということが見えるので、動きやすくなる、ということです。さらに、変化する業務プロセスは、どのように変化するのかを明確にしておく必要があります。データ分析した側の希望として「そこは現場で考えて!」という願いもあるかもしれませんが、そこは両者が責任を持ち、データ分析者が考え検討し整理していく必要があります。

 

4. データ分析:今までの業務のどの部分がどのように変わるのかを「業務プロセス」を明らかにする

 今回は「で、具体的に何をすればよいの?分析結果を丸投げされ困惑する現場の人々」というお話しをしました。分析結果を手渡されても、多くの現場では困惑するばかりです。何をすれば良いのかが見えないからです。そして無視されます。仮に、分析結果が理解されても「何をすれば良いのか分からない」と思われたら、そのデータ分析はビジネスで生かされません。

 「何をすれば良いのか分からない」と思われる要因にはいくつかあります。その一つが、「誰がやるのか?」です。データ分析者の多くは「現場で考えて決めてくれ」と心の中で思うかもしれませんが、現場ではなかなか決められません。分析者が一緒になって考え決める必要があります。ほったらかすと、いつまでも決まらない。最初の第一歩は、意地でもビジネス成果を出せるような人が適任です。意地でも成果を出す必要があるからです。間違っても面倒だからと、新人や若手に押し付けてはいきません。データ分析の結果を生かすために動く人が決まっても、現場は動きません。正確には動けないことが多いようです。なぜ動けないのでしょうか?

 それは、動こうとしてもどう動けば良いのか分からないからです。今までやったことのない動きをしろ!というからには、一緒に考えるべきです。つまり、データ分析を現場に丸投げするとは「高校の数学のテストで50点以下しかとったことのない人に、それは問題だから、最低でも90点の得点を取れ!」と言っているのと一緒です。そのために、具体的に何をすればよいのかが分からないので、「何かしたほうがよさそう」ということが分かっていても動けないのです。ではどうすべきか?

 色々な解決策があるかもしれませんが、「業務プロセス」を明らかにする、という解決策で多くの場合解決できます。もちろん、全てではありませんが。それはではなぜ解決できるのでしょうか?それは、今までの業務のどの部分がどのように変わるのかが見えるからです。データ分析しているのに、今一つビジネス成果が出ないな、感じましたなら一度試してみてください。

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この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)


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