データ分析講座(その212) DXとは

情報マネジメント

 

【この連載の前回へのリンク】

ここ数年「攻めのIT」ということが盛んに言われています。そこに2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン(Erik Stolterman)が提唱したDX(デジタルトランスフォーメーション)が紐づいて議論され「DX≒攻めのIT」という感じになってきています。

 

エリック・ストルターマン(Erik Stolterman)が提唱したDXは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」として意味です。「攻め」という激しい感じはあまりしません。なぜ「DX≒攻めのIT」という感じになったのでしょうか?

 

今回は、「DXとは『データとデジタル技術を駆使しハッピー』になること」というお話しをします。

 

【目次】

1.DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義
(1)DXのホップ・ステップ・ジャンプ
(2)デジタイゼーション (今までのやり方をデジタルに置き換える)
(3)デジタライゼーション (データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)
2.データとデジタル技術を駆使する
3.デジタライゼーションとDXの違い

 

1.DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義

2004年のエリック・ストルターマン(Erik Stolterman)のDX(デジタルトランスフォーメーション)の定義は『ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる』です。

 

現在と日本の状況を加味し、2019年に経済産業省がDX(デジタルトランスフォーメーション)を以下のように定義しました。

 

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

 

これをポジティブ表現で定義すると『IT(データとデジタル技術)を駆使できれば良い方向に変化させられる』という感じです。要するに、データとデジタル技術を駆使しハッピー! ということです。

 

(1)DXのホップ・ステップ・ジャンプ

DX(デジタルトランスフォーメーション)はいきなり実現することはできません。段階があります。よく言われるのが次のホップ・ステップ・ジャンプです。

  • ホップ:デジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)
  • ステップ:デジタライゼーション(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)
  • ジャンプ:デジタルトランスフォーメーション(データとデジタル技術を駆使しハッピー!)

 

(2)デジタイゼーション

(今までのやり方をデジタルに置き換える)多くのIT化(デジタル化)は、デジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)でしょう。紙でやり取りしていた帳票を、電子ファイル(Excelなども含む)でやり取りするようになれば、デジタイゼーションです。

 

会社を休む連絡を、電話連絡からメール連絡(もしくは、チャット連絡)するようになれば、デジタイゼーションです。遠くに電車でお出かけするとき、昔は紙の「時刻表」などを見て調べる人が多かったことでしょう。現在は、スマホの「乗り換え案内アプリ」に使う人の方が多いと思います。これもデジタイゼーションです。

 

(3)デジタライゼーション

(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)旅行するとき、昔であれば紙の「時刻表」や「宿泊施設の分かるもの(雑誌など)」などを元に自分で調べ、ホテルの予約を電話で入れたりJRの窓口で新幹線の切符を買ったりしていました。面倒な人は、旅行代理店の窓口に赴いて、店員さんとお話ししながら、旅程を組み新幹線やホテルの予約をしていたと思います。

 

デジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)で、新幹線の切符の購入もホテルの予約もIT化しました。

 

それでどうなったでしょうか?

 

人によっては、ネット上で自分ですべて予約する人もいれば、ネット上の旅行代理店で自分でホテルや旅行パッケージ検索して予約する人もいることでしょう。そうして、店舗の旅行代理店に行くことも、窓口で券を買うことも、電話で予約を取ることも減少したことでしょう。要は、行動変容が起こったのです。

 

新幹線の切符の購入もホテルの予約のデジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)された段階で、そこで付加価値を高めるサービスなどを提供でき既存企業や、ビジネスチャンスと見て新規参入した企業もあります。デジタライゼーション(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)できた企業です。

 

よく、レンタルビデオビジネスが事例で登場します。

 

従来のレンタルビデオビジネスが、デジタライゼーション(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)に成功したNetflixやHuluなどにとって代わられたという事例です。

 

Netflixは、もともとオンラインのレンタルビデオサービスをしていましたが、ビデオがデジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)された段階で、レンタルビデオサービスからオンラインのストーリーミング配信サービスへ大きく舵を切りました。

 

デジタライゼーション(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)の面白いところは、デジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)されたものを、企業などが自ら創造する余地があり、デジタル技術を活用し自社のビジネスモデルを変えることが出来ることです。

 

私の記憶では、本の販売がデジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)されたとき、Amazonのビジネスをあざ笑った有識者が多くいた記憶があります。

 

デジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)された状態を、デジタライゼーション(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)にもっていくには、大きな壁があるようです。

 

2.データとデジタル技術を駆使する

データとデジタル技術を「どこでどう駆使するのか」は人が考える必要があります。

 

「どこでどう駆使するのか」とは、まさしく「データ分析・活用(データサイエンス実践)のテーマ」です。「データ分析・活用(データサイエンス実践)のテーマ」は人が考える必要があります。天から降ってくることはありません。

 

AmazonやNetflixのユーザにとって、お勧め機能(レコメンド機能)は非常に便利でしょう。膨大な本や動画の山の中から、自分にあったものを探す手間が減るからです。

 

このとき、例えば「膨大な本や動画の山の中から、自分にあったものを探す手間を減らしサービス価値を上げることで、サービスを継続してもらい安定収益を実現する」というのが「データ分析・活用(データサイエンス実践)のテーマ」になったりします。

 

データをもとにレコメンドモデルを構築することで、サービスの継続率を高めたり(逆に言うと、離反率を減らしたり)、支払い金額を維持拡大(定額サービスの継続や、上位サービスへの転換、追加購買など)を実...

情報マネジメント

 

【この連載の前回へのリンク】

ここ数年「攻めのIT」ということが盛んに言われています。そこに2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン(Erik Stolterman)が提唱したDX(デジタルトランスフォーメーション)が紐づいて議論され「DX≒攻めのIT」という感じになってきています。

 

エリック・ストルターマン(Erik Stolterman)が提唱したDXは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」として意味です。「攻め」という激しい感じはあまりしません。なぜ「DX≒攻めのIT」という感じになったのでしょうか?

 

今回は、「DXとは『データとデジタル技術を駆使しハッピー』になること」というお話しをします。

 

【目次】

1.DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義
(1)DXのホップ・ステップ・ジャンプ
(2)デジタイゼーション (今までのやり方をデジタルに置き換える)
(3)デジタライゼーション (データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)
2.データとデジタル技術を駆使する
3.デジタライゼーションとDXの違い

 

1.DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義

2004年のエリック・ストルターマン(Erik Stolterman)のDX(デジタルトランスフォーメーション)の定義は『ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる』です。

 

現在と日本の状況を加味し、2019年に経済産業省がDX(デジタルトランスフォーメーション)を以下のように定義しました。

 

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

 

これをポジティブ表現で定義すると『IT(データとデジタル技術)を駆使できれば良い方向に変化させられる』という感じです。要するに、データとデジタル技術を駆使しハッピー! ということです。

 

(1)DXのホップ・ステップ・ジャンプ

DX(デジタルトランスフォーメーション)はいきなり実現することはできません。段階があります。よく言われるのが次のホップ・ステップ・ジャンプです。

  • ホップ:デジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)
  • ステップ:デジタライゼーション(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)
  • ジャンプ:デジタルトランスフォーメーション(データとデジタル技術を駆使しハッピー!)

 

(2)デジタイゼーション

(今までのやり方をデジタルに置き換える)多くのIT化(デジタル化)は、デジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)でしょう。紙でやり取りしていた帳票を、電子ファイル(Excelなども含む)でやり取りするようになれば、デジタイゼーションです。

 

会社を休む連絡を、電話連絡からメール連絡(もしくは、チャット連絡)するようになれば、デジタイゼーションです。遠くに電車でお出かけするとき、昔は紙の「時刻表」などを見て調べる人が多かったことでしょう。現在は、スマホの「乗り換え案内アプリ」に使う人の方が多いと思います。これもデジタイゼーションです。

 

(3)デジタライゼーション

(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)旅行するとき、昔であれば紙の「時刻表」や「宿泊施設の分かるもの(雑誌など)」などを元に自分で調べ、ホテルの予約を電話で入れたりJRの窓口で新幹線の切符を買ったりしていました。面倒な人は、旅行代理店の窓口に赴いて、店員さんとお話ししながら、旅程を組み新幹線やホテルの予約をしていたと思います。

 

デジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)で、新幹線の切符の購入もホテルの予約もIT化しました。

 

それでどうなったでしょうか?

 

人によっては、ネット上で自分ですべて予約する人もいれば、ネット上の旅行代理店で自分でホテルや旅行パッケージ検索して予約する人もいることでしょう。そうして、店舗の旅行代理店に行くことも、窓口で券を買うことも、電話で予約を取ることも減少したことでしょう。要は、行動変容が起こったのです。

 

新幹線の切符の購入もホテルの予約のデジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)された段階で、そこで付加価値を高めるサービスなどを提供でき既存企業や、ビジネスチャンスと見て新規参入した企業もあります。デジタライゼーション(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)できた企業です。

 

よく、レンタルビデオビジネスが事例で登場します。

 

従来のレンタルビデオビジネスが、デジタライゼーション(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)に成功したNetflixやHuluなどにとって代わられたという事例です。

 

Netflixは、もともとオンラインのレンタルビデオサービスをしていましたが、ビデオがデジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)された段階で、レンタルビデオサービスからオンラインのストーリーミング配信サービスへ大きく舵を切りました。

 

デジタライゼーション(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)の面白いところは、デジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)されたものを、企業などが自ら創造する余地があり、デジタル技術を活用し自社のビジネスモデルを変えることが出来ることです。

 

私の記憶では、本の販売がデジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)されたとき、Amazonのビジネスをあざ笑った有識者が多くいた記憶があります。

 

デジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)された状態を、デジタライゼーション(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)にもっていくには、大きな壁があるようです。

 

2.データとデジタル技術を駆使する

データとデジタル技術を「どこでどう駆使するのか」は人が考える必要があります。

 

「どこでどう駆使するのか」とは、まさしく「データ分析・活用(データサイエンス実践)のテーマ」です。「データ分析・活用(データサイエンス実践)のテーマ」は人が考える必要があります。天から降ってくることはありません。

 

AmazonやNetflixのユーザにとって、お勧め機能(レコメンド機能)は非常に便利でしょう。膨大な本や動画の山の中から、自分にあったものを探す手間が減るからです。

 

このとき、例えば「膨大な本や動画の山の中から、自分にあったものを探す手間を減らしサービス価値を上げることで、サービスを継続してもらい安定収益を実現する」というのが「データ分析・活用(データサイエンス実践)のテーマ」になったりします。

 

データをもとにレコメンドモデルを構築することで、サービスの継続率を高めたり(逆に言うと、離反率を減らしたり)、支払い金額を維持拡大(定額サービスの継続や、上位サービスへの転換、追加購買など)を実現することを目指します。

 

実は、データをもとにレコメンドモデルを構築することは、それほど難しいことではありません(いくらでも難しくすることはできますが、逆にいくらでも簡単にすることもできます)。

 

要は、デジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)からデジタライゼーション(データとデジタル技術を駆使し付加価値を高める)を実現しするには、データ分析・活用(データサイエンス実践)技術が必要だと言うことです。

 

3.デジタライゼーションとDXの違い

デジタライゼーションとDX(デジタルトランスフォーメーション)は、一瞬同じことなのかという感じがします。実は、ちょっとニュアンスが違います。

 

デジタライゼーションは、デジタイゼーション(今までのやり方をデジタルに置き換える)した何かに対し、データとデジタル技術を駆使し付加価値を高め、新たな価値を生み出すことです。

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)はさらに一歩進め、徹底的にやるぞ! 変革を起こすぞ! という感じです。

 

エリック・ストルターマン(Erik Stolterman)の言葉を借りれば「あらゆる面でより良い方向に変化している状態」です。なので、現実的にはデジタライゼーションをしながらDX(デジタルトランスフォーメーション)を目指すという感じかと思います。

 

 

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この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

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