販売力を高めるデータ分析とは データ分析講座(その196)

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データ分析

 

ビジネス系のデータ分析・活用(データサイエンス実践)を「ビジネスアナリティクス」という用語で表現したりします。このビジネスアナリティクスは、ざっくりと「商品力を高めるアナリティクス」と「販売力を高めるアナリティクス」に分かれます。ビジネスアナリティクスの中に「セールスアナリティクス」というものがあります。セールスアナリティクスは「販売力を高めるアナリティクス」です。データを使い、すでにある商品やサービスを、効率的に収益をあげる「販売力を高めるデータ分析・活用(データサイエンス実践)」です。今回は、「あなたが『販売力を高めるデータ分析をしたいぞ!』というのであればラッキーです」というお話しをします。

【目次】

1.あなたはラッキーかもしれない
2.データを使い「収益の維持・拡大」を実現する
3.LTV(顧客生涯価値)とは?
4.3つの典型的なテーマ
5.合算した数字を分析する

 

1.あなたはラッキーかもしれない

もし、あなたが「販売力を高めるデータ分析をしたいぞ!」というのであればラッキーです。多くの企業に必ずあるデータの1つが、販売系のデータです。販売系のデータとは、売上データや取引データ、購買履歴データなどのことです。注文書や請求書なども含まれます。

 

会計処理をする上で、この種のデータは必ず必要になります。このような販売系のデータは、何らかの形で必ず存在するはずです。そのため、販売系のデータを使ったデータ分析・活用(データサイエンス実践)は、やろうと思えば明日からできるはずです。

 

2.データを使い「収益の維持・拡大」を実現する

データ分析


ビジネスをする上で、「収益の維持・拡大」は非常に重要なことです。そのため、「顧客数の維持・拡大」と各顧客の「LTV(顧客生涯価値)の維持・拡大」を実現する必要があります。どちらか一方が伸び悩んでも、もう一方が拡大すれば収益は増えます。理想は、両方の拡大です。

 

では、「顧客数の維持・拡大」と「LTV(顧客生涯価値)の維持・拡大」の両方もしくは片方を実現するためには、何が必要でしょうか。「顧客数の維持・拡大」を実現するためには、例えば「新規顧客の獲得」と「既存顧客の離反阻止」が必要になります。要するに、離反を減らし新規を増やすということです。

 

「LTV(顧客生涯価値)の維持・拡大」を実現するためには、例えば「既存顧客の離反阻止」と「既存顧客の取引額拡大」が必要になります。要するに、離反を減らし取引期間を長くしつつ年間の取引額を増やすということです。

 

3.LTV(顧客生涯価値)とは?

ちなみに、LTV(顧客生涯価値)とは、1顧客から得られる長期的な利益を指します。

 

例えば、年単位で考えた利益ベースのLTVでしたら……

  • LTV=平均年間取引額×利益率×平均継続年数
  • LTV=平均年間取引額×利益率÷離反率

など

 

例えば、売上ベースのLTVでしたら……

  • LTV=平均年間取引額×平均継続年数
  • LTV=平均年間取引額÷離反率

など

 

計算方法は色々あります。実ビジネスに沿った計算方法を選びましょう。端的に言うと、収益性が高く付き合いの長いロイヤルカスタマーを増やすということです。

 

4.3つの典型的なテーマ

データ分析

 

セールスアナリティクスの目的は、データを使い販売力を効率的に高めることで、「収益の維持・拡大」を実現することです。言い換えると、「顧客数の維持・拡大」と「LTV(顧客生涯価値)の維持・拡大」を、データを使い効率的に実現することです。

 

データを使い販売力を効率的に高めるセールスアナリティクスには、3つの典型的なテーマがあります。

  • テーマ1 新規顧客の獲得
  • テーマ2 既存顧客の離反阻止
  • テーマ3 既存顧客の取引額拡大

 

テーマ1の「新規顧客の獲得」とは、リード(見込み顧客)の獲得・育成・顧客化(受注)を目指すものです。

テーマ2の「既存顧客の離反阻止」とは、既存顧客に対し継続受注や他商材の新規受注などで取引継続を目指すものです。

テーマ3の「既存顧客の取引額拡大」とは、既存顧客に対し他商材の新規受注や他部署展開などで取引額の拡大を目指すものです。

 

少なくとも、法人相手にビジネスをしている企業(B to B)や、ECや通販などの一般消費者を相手にしている企業、エステや英会話スクール、塾、病院、歯医者などは、「誰が、いつ、何を、いくらで」といったデータは、何かしらの形で残っていることでしょう。データを破棄していない限りは、残っていると思います。このような場合には、3つの典型的なテーマに取り組むことができます。

 

5.合算した数字を分析する

ここで敢えて3つを区別せずに、「売上」や「利益...

データ分析

 

ビジネス系のデータ分析・活用(データサイエンス実践)を「ビジネスアナリティクス」という用語で表現したりします。このビジネスアナリティクスは、ざっくりと「商品力を高めるアナリティクス」と「販売力を高めるアナリティクス」に分かれます。ビジネスアナリティクスの中に「セールスアナリティクス」というものがあります。セールスアナリティクスは「販売力を高めるアナリティクス」です。データを使い、すでにある商品やサービスを、効率的に収益をあげる「販売力を高めるデータ分析・活用(データサイエンス実践)」です。今回は、「あなたが『販売力を高めるデータ分析をしたいぞ!』というのであればラッキーです」というお話しをします。

【目次】

1.あなたはラッキーかもしれない
2.データを使い「収益の維持・拡大」を実現する
3.LTV(顧客生涯価値)とは?
4.3つの典型的なテーマ
5.合算した数字を分析する

 

1.あなたはラッキーかもしれない

もし、あなたが「販売力を高めるデータ分析をしたいぞ!」というのであればラッキーです。多くの企業に必ずあるデータの1つが、販売系のデータです。販売系のデータとは、売上データや取引データ、購買履歴データなどのことです。注文書や請求書なども含まれます。

 

会計処理をする上で、この種のデータは必ず必要になります。このような販売系のデータは、何らかの形で必ず存在するはずです。そのため、販売系のデータを使ったデータ分析・活用(データサイエンス実践)は、やろうと思えば明日からできるはずです。

 

2.データを使い「収益の維持・拡大」を実現する

データ分析


ビジネスをする上で、「収益の維持・拡大」は非常に重要なことです。そのため、「顧客数の維持・拡大」と各顧客の「LTV(顧客生涯価値)の維持・拡大」を実現する必要があります。どちらか一方が伸び悩んでも、もう一方が拡大すれば収益は増えます。理想は、両方の拡大です。

 

では、「顧客数の維持・拡大」と「LTV(顧客生涯価値)の維持・拡大」の両方もしくは片方を実現するためには、何が必要でしょうか。「顧客数の維持・拡大」を実現するためには、例えば「新規顧客の獲得」と「既存顧客の離反阻止」が必要になります。要するに、離反を減らし新規を増やすということです。

 

「LTV(顧客生涯価値)の維持・拡大」を実現するためには、例えば「既存顧客の離反阻止」と「既存顧客の取引額拡大」が必要になります。要するに、離反を減らし取引期間を長くしつつ年間の取引額を増やすということです。

 

3.LTV(顧客生涯価値)とは?

ちなみに、LTV(顧客生涯価値)とは、1顧客から得られる長期的な利益を指します。

 

例えば、年単位で考えた利益ベースのLTVでしたら……

  • LTV=平均年間取引額×利益率×平均継続年数
  • LTV=平均年間取引額×利益率÷離反率

など

 

例えば、売上ベースのLTVでしたら……

  • LTV=平均年間取引額×平均継続年数
  • LTV=平均年間取引額÷離反率

など

 

計算方法は色々あります。実ビジネスに沿った計算方法を選びましょう。端的に言うと、収益性が高く付き合いの長いロイヤルカスタマーを増やすということです。

 

4.3つの典型的なテーマ

データ分析

 

セールスアナリティクスの目的は、データを使い販売力を効率的に高めることで、「収益の維持・拡大」を実現することです。言い換えると、「顧客数の維持・拡大」と「LTV(顧客生涯価値)の維持・拡大」を、データを使い効率的に実現することです。

 

データを使い販売力を効率的に高めるセールスアナリティクスには、3つの典型的なテーマがあります。

  • テーマ1 新規顧客の獲得
  • テーマ2 既存顧客の離反阻止
  • テーマ3 既存顧客の取引額拡大

 

テーマ1の「新規顧客の獲得」とは、リード(見込み顧客)の獲得・育成・顧客化(受注)を目指すものです。

テーマ2の「既存顧客の離反阻止」とは、既存顧客に対し継続受注や他商材の新規受注などで取引継続を目指すものです。

テーマ3の「既存顧客の取引額拡大」とは、既存顧客に対し他商材の新規受注や他部署展開などで取引額の拡大を目指すものです。

 

少なくとも、法人相手にビジネスをしている企業(B to B)や、ECや通販などの一般消費者を相手にしている企業、エステや英会話スクール、塾、病院、歯医者などは、「誰が、いつ、何を、いくらで」といったデータは、何かしらの形で残っていることでしょう。データを破棄していない限りは、残っていると思います。このような場合には、3つの典型的なテーマに取り組むことができます。

 

5.合算した数字を分析する

ここで敢えて3つを区別せずに、「売上」や「利益」、「コスト」という感じで合算して数字を分析することもあります。3つの典型的なテーマに取り組む前に、売上はどうなっているのかを把握したり、想定した利益を得たいるのかをモニタリングしたりするなど、全体を把握するためです。

 

そもそも事業形態やデータの取得の仕方によっては、区別せずというか「区別することができず」という感じで、3つを区別することができない場合もあります。例えば、街のパン屋さんが「どのパンが新規顧客に売れ」「どのパンが既存顧客に売れたのか」のデータを、取得していないかもしれません。街のパン屋さんに限らず、店舗ビジネスの場合は同様でしょう。そういう意味では、典型的なテーマは3つ(新規顧客の獲得・既存顧客の離反阻止・既存顧客の取引額拡大)ではなく4つと言えるかもしれません。

 

 

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この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

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