問題はデータ分析結果を活用しないこと データ分析講座(その99)

更新日

投稿日

データ分析

◆ 「この分析結果は当たり前」と言われた時が実はチャンス

 今回は「この分析結果は当たり前」と言われた時が実はチャンス」というお話しです。当然と言えば当然ですが「この分析結果は当たり前」と言われた時が実はチャンスです。何ら間違った分析をしたわけでもなければ、言った側も何も間違ったことを言っていません。データは過去の出来事を記録したものですから当然です。

 

【データ分析・活用で失敗することは稀かもしれない(経験則)】

 データ分析・活用で失敗することは稀かもしれないと私は思っています。失敗するイメージが全く分からないからです。

(1) 利益は悪化するのか

 例えばデータ分析・活用の失敗の定義を「利益ダウン」とすると、一番分かりやすいと思います。少なくともデータ分析で利益が下がることはないと思います。データ分析・活用が有効でない場合、最悪でも現状維持で利益悪化はないでしょう。

(2) 利益アップしないと失敗

 次に「利益アップしないと失敗」とします。この場合「現状維持では失敗」なので、それなりに起こりえると思います。現状維持という状態が結構あるからです。しかし実務でデータ分析を活用しているのに現状維持、このような状況もあまりないと思います。

 本当に、データ分析を実務で活用しているのなら利益アップが多少なりとも起こります。少なくとも、私の経験からはそうです。ではなぜ、先ほど「現状維持という状態が結構ある」と言ったのかといいますと、よくある現状維持の状態はデータ分析を実務で活用していないからです。

 つまりデータは分析したけど、実務で活用していないのです。実務で活用されるようなデータ分析を行い、実際に活用していなければ成果は出ません。

(3)「この分析結果は当たり前」と言われたら、どうする

 「当たり前の分析結果しか出ない」という声がよくあります。データは過去の出来事を記録したものですから当然ですが、何かしら身覚えのある出来事を反映しているはずです。重要なのは「当たり前のこと」をきちんとデータで裏付けた上で説得力を得て「当たり前のことを当たり前の状態にすること」です。

 「当たり前の分析結果」の中には、当たり前だけど、みんなが出来ているわけではないことが結構あります。

 「当たり前の分析結果」が出たということは「ビジネス成果につながる当たり前のことの出来ていない人」に対し、データの裏付けをもって説得する機会がやってきたということです。

 ある企業の法人営業の訪問面談数(訪問して名刺交換した数)と新規受注のデータを分析した時です。当たり前ですが、訪問面談数が多いほど新規受注率が高くなっていきました。さらに、新規受注率が高まりだす訪問面談数に閾値(しきいち)と、これ以上訪問面談数を多くしても、新規受注率が高くならない(訪問面談数)飽和点を見出すことができました。

 この分析結果を見せた時、始めは「そりゃそうだよね」と言われました。ここで終わってしまったら、データ分析は活用されません。「訪問面談数を増やすと、新規受注率が高まるらしいよ。当然だけどね」と言われて終了です。

 訪問面...

データ分析

◆ 「この分析結果は当たり前」と言われた時が実はチャンス

 今回は「この分析結果は当たり前」と言われた時が実はチャンス」というお話しです。当然と言えば当然ですが「この分析結果は当たり前」と言われた時が実はチャンスです。何ら間違った分析をしたわけでもなければ、言った側も何も間違ったことを言っていません。データは過去の出来事を記録したものですから当然です。

 

【データ分析・活用で失敗することは稀かもしれない(経験則)】

 データ分析・活用で失敗することは稀かもしれないと私は思っています。失敗するイメージが全く分からないからです。

(1) 利益は悪化するのか

 例えばデータ分析・活用の失敗の定義を「利益ダウン」とすると、一番分かりやすいと思います。少なくともデータ分析で利益が下がることはないと思います。データ分析・活用が有効でない場合、最悪でも現状維持で利益悪化はないでしょう。

(2) 利益アップしないと失敗

 次に「利益アップしないと失敗」とします。この場合「現状維持では失敗」なので、それなりに起こりえると思います。現状維持という状態が結構あるからです。しかし実務でデータ分析を活用しているのに現状維持、このような状況もあまりないと思います。

 本当に、データ分析を実務で活用しているのなら利益アップが多少なりとも起こります。少なくとも、私の経験からはそうです。ではなぜ、先ほど「現状維持という状態が結構ある」と言ったのかといいますと、よくある現状維持の状態はデータ分析を実務で活用していないからです。

 つまりデータは分析したけど、実務で活用していないのです。実務で活用されるようなデータ分析を行い、実際に活用していなければ成果は出ません。

(3)「この分析結果は当たり前」と言われたら、どうする

 「当たり前の分析結果しか出ない」という声がよくあります。データは過去の出来事を記録したものですから当然ですが、何かしら身覚えのある出来事を反映しているはずです。重要なのは「当たり前のこと」をきちんとデータで裏付けた上で説得力を得て「当たり前のことを当たり前の状態にすること」です。

 「当たり前の分析結果」の中には、当たり前だけど、みんなが出来ているわけではないことが結構あります。

 「当たり前の分析結果」が出たということは「ビジネス成果につながる当たり前のことの出来ていない人」に対し、データの裏付けをもって説得する機会がやってきたということです。

 ある企業の法人営業の訪問面談数(訪問して名刺交換した数)と新規受注のデータを分析した時です。当たり前ですが、訪問面談数が多いほど新規受注率が高くなっていきました。さらに、新規受注率が高まりだす訪問面談数に閾値(しきいち)と、これ以上訪問面談数を多くしても、新規受注率が高くならない(訪問面談数)飽和点を見出すことができました。

 この分析結果を見せた時、始めは「そりゃそうだよね」と言われました。ここで終わってしまったら、データ分析は活用されません。「訪問面談数を増やすと、新規受注率が高まるらしいよ。当然だけどね」と言われて終了です。

 訪問面談数が少ないが故に新規受注件数が少ないであろう人に対し「訪問面談数を最低〇〇、可能であれば〇〇、でも〇〇まで増やしても意味はない。そうすると、新規受注件数は〇〇ぐらいになるよ」とアドバイスできればいいのではないでしょうか。

 実際、ある企業の新人研修の一環として行われる営業研修中、ある新人に試したところ、成果が出てビックリされました。もちろん、個人のセンスの要因も少なくないとは思いますが、その中の一人は営業成績がトップになりました。要するに、当たり前の分析結果がでた後に、この当たり前のことが出来ていない人や部署を洗い出し、その当たり前のことを実施すれば、多くの場合それなりのビジネス成果を手にすることが出来るのです。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
新しい分析手法やアルゴリズムに挑戦することは悪なのか データ分析講座(その67)

◆ 「すごい分析」よりも「使える分析」  データ分析の手法そのものに、こだわることは決して悪いことではありません。手法やアルゴリズムが発展するほど、...

◆ 「すごい分析」よりも「使える分析」  データ分析の手法そのものに、こだわることは決して悪いことではありません。手法やアルゴリズムが発展するほど、...


2つの市場反応分析 データ分析講座(その249)

  市場反応分析(Market Response Analysis)では、広告・価格変更・販促・営業などのマーケティング活動に対する反応(...

  市場反応分析(Market Response Analysis)では、広告・価格変更・販促・営業などのマーケティング活動に対する反応(...


データ活用に投資する前に分析で成果を データ分析講座(その97)

◆ データ活用が上手くいっていない状態とは  「全くデータ活用が上手くいっていない」「データ分析しているけど目立った成果が出ていない」「社内データを...

◆ データ活用が上手くいっていない状態とは  「全くデータ活用が上手くいっていない」「データ分析しているけど目立った成果が出ていない」「社内データを...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
中小製造業とIoTの波

 「IoT(アイオーティー)」の波が、中小製造業にどのような影響をおよぼすのか、具体的にどのような変化がこの業界に訪れるのかについて、解説します。   ...

 「IoT(アイオーティー)」の波が、中小製造業にどのような影響をおよぼすのか、具体的にどのような変化がこの業界に訪れるのかについて、解説します。   ...


‐時代の流れを意識した開発テ-マの設定‐  製品・技術開発力強化策の事例(その5)

 前回の事例その4に続いて解説します。時代の流れに沿う開発テ-マとして、最近では、高齢者介護機器、環境関連機器、省エネ機器、情報技術(IT)等に関心が注が...

 前回の事例その4に続いて解説します。時代の流れに沿う開発テ-マとして、最近では、高齢者介護機器、環境関連機器、省エネ機器、情報技術(IT)等に関心が注が...


システムトラブル、誰に相談したら良いか

 最近は、以下のように情報システム開発にかかわるトラブルに悩まされる企業が急増しています。ところが、トラブルが起きた時に誰に相談したらいいかわからなくて困...

 最近は、以下のように情報システム開発にかかわるトラブルに悩まされる企業が急増しています。ところが、トラブルが起きた時に誰に相談したらいいかわからなくて困...