データサイエンスで人が起こしたミラクルをサポートする データ分析講座(その117)

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情報マネジメント

◆ データサイエンスの効果・効能

 データサイエンス(データ分析・活用)と聞くと、ものすごいミラクルを起こす何かであると、勘違いする人も少なくありません。例えば、今まで気づいていない大発見があるとか、ワクワクすることが起こりそうとか、成長戦略の要になりうるとかです。

 その期待が最近ではデジタルトランスフォーメーション、Society 5.0(超スマート社会)、デジタルマニュファクチャリング、コネクテッド・インダストリーズ(Connected Industries)など耳障りのいい夢のあるワードに現れています。それは、天才軍師がものすごいミラクルを起こすと思うぐらいにです。データサイエンス(データ分析・活用)は魔法の杖ではありませんし、データサイエンティストは魔法使いでもありません。

 今回は、「データサイエンスの効果・効能」というお話しをします。

関連記事:データ分析講座(その109) データサイエンティストとは

1、天才軍師はミラクルを起こすのか

 世界的な兵法書に「孫子」というものがあります。紀元前の中国のものです。その「孫子」に、ミラクルを起こす方法が書かれているのでしょうか。そして孫子の兵法を応用することで、ミラクルを起こせるのでしょうか。読んでみると分かりますが、ミラクルというよりも「手堅く地味」な感じで、ミラクルとは対極にある感じさえします。情報を基に石橋を叩いて渡るかのようです。

2、分析官必読の世界三大古典

 データはある種の情報です。私はよく記録された情報と説明しています。情報と捉えると、その活用の歴史は紀元前までさかのぼれます。「孫子」はデータサイエンス(データ分析・活用)を活用する上で、非常に有効な知恵を授けてくれます。私が新人のころ、分析官必読の世界三大古典として、孫武の「孫子」、クラウゼビッツの「戦争論」、宮本武蔵の「五輪の書」を紹介されました。もちろんデータ分析の数理的な手法が記載されたものではありません。なぜデータを活用すべきなのか、そしてどう活用すべきなのか、そのときの注意点は何か、といったものです。

3、孫子的データ分析・活用

 先ほども述べましたが、データサイエンス(データ分析・活用)と聞くと、ものすごいミラクルを起こす何かであると、勘違いする人も少なくありません。データサイエンス(データ分析・活用)の活用上有用な知恵を授けてくれる「孫子」をいくら読んでも、ミラクルを起こす方法は書かれていません。

 孫子を現代のデータサイエンス(データ分析・活用)の観点で、私なりに考えてみると「過去の振り返り」と「現在の状況把握」「未来の先読み」により、過去の失敗を二度と繰り返さず、勝つためのベクトル(方向性とリソース投入量など)を決め、意思決定をすることとなります。

4、意思決定

 意思決定には、人がメインの意思決定(経験と勘、BI化、半自動化、AIサポートなど)と、コンピュータのみによる意思決定(完全自動化、AI化など)があるでしょう。例えばインターネット上の広告配信やECサイトの商品レコメンドなどは、リアルタイムな運用はすでに人の手を離れ、コンピュータによる自動化だけのものも多いわけです。もちろん1年間の予算配分やどの広告媒体に出稿するか(例:Facebook広告やGoogle、Yahooに出費)などについては、まだ人が意思決定しているとは思います。

5、データ分析・活用の得手不得手

 データサイエンス(データ分析・活用)には得手不得手があります。ビジネスの世界で、何もないところから新たなものを創造する「0→1」と、すでにあるものを拡大する「1→10」という考え方があると思います。データサイエンス(データ分析・活用)が得意なのはどちらでしょうか。データサイエンス(データ分析・活用)が得意なのは、「1→10」のほうです。すでに何かあるものを効率化したり、拡大化したりするのに非常に向いています。

6、データがないと何もできない

 データがないと何もできないのがデータサイエンス(データ分析・活用)です。データが溜まると効率化したり収益を拡大したり、何かしら役立つのがデータサイエンスです。...

情報マネジメント

◆ データサイエンスの効果・効能

 データサイエンス(データ分析・活用)と聞くと、ものすごいミラクルを起こす何かであると、勘違いする人も少なくありません。例えば、今まで気づいていない大発見があるとか、ワクワクすることが起こりそうとか、成長戦略の要になりうるとかです。

 その期待が最近ではデジタルトランスフォーメーション、Society 5.0(超スマート社会)、デジタルマニュファクチャリング、コネクテッド・インダストリーズ(Connected Industries)など耳障りのいい夢のあるワードに現れています。それは、天才軍師がものすごいミラクルを起こすと思うぐらいにです。データサイエンス(データ分析・活用)は魔法の杖ではありませんし、データサイエンティストは魔法使いでもありません。

 今回は、「データサイエンスの効果・効能」というお話しをします。

関連記事:データ分析講座(その109) データサイエンティストとは

1、天才軍師はミラクルを起こすのか

 世界的な兵法書に「孫子」というものがあります。紀元前の中国のものです。その「孫子」に、ミラクルを起こす方法が書かれているのでしょうか。そして孫子の兵法を応用することで、ミラクルを起こせるのでしょうか。読んでみると分かりますが、ミラクルというよりも「手堅く地味」な感じで、ミラクルとは対極にある感じさえします。情報を基に石橋を叩いて渡るかのようです。

2、分析官必読の世界三大古典

 データはある種の情報です。私はよく記録された情報と説明しています。情報と捉えると、その活用の歴史は紀元前までさかのぼれます。「孫子」はデータサイエンス(データ分析・活用)を活用する上で、非常に有効な知恵を授けてくれます。私が新人のころ、分析官必読の世界三大古典として、孫武の「孫子」、クラウゼビッツの「戦争論」、宮本武蔵の「五輪の書」を紹介されました。もちろんデータ分析の数理的な手法が記載されたものではありません。なぜデータを活用すべきなのか、そしてどう活用すべきなのか、そのときの注意点は何か、といったものです。

3、孫子的データ分析・活用

 先ほども述べましたが、データサイエンス(データ分析・活用)と聞くと、ものすごいミラクルを起こす何かであると、勘違いする人も少なくありません。データサイエンス(データ分析・活用)の活用上有用な知恵を授けてくれる「孫子」をいくら読んでも、ミラクルを起こす方法は書かれていません。

 孫子を現代のデータサイエンス(データ分析・活用)の観点で、私なりに考えてみると「過去の振り返り」と「現在の状況把握」「未来の先読み」により、過去の失敗を二度と繰り返さず、勝つためのベクトル(方向性とリソース投入量など)を決め、意思決定をすることとなります。

4、意思決定

 意思決定には、人がメインの意思決定(経験と勘、BI化、半自動化、AIサポートなど)と、コンピュータのみによる意思決定(完全自動化、AI化など)があるでしょう。例えばインターネット上の広告配信やECサイトの商品レコメンドなどは、リアルタイムな運用はすでに人の手を離れ、コンピュータによる自動化だけのものも多いわけです。もちろん1年間の予算配分やどの広告媒体に出稿するか(例:Facebook広告やGoogle、Yahooに出費)などについては、まだ人が意思決定しているとは思います。

5、データ分析・活用の得手不得手

 データサイエンス(データ分析・活用)には得手不得手があります。ビジネスの世界で、何もないところから新たなものを創造する「0→1」と、すでにあるものを拡大する「1→10」という考え方があると思います。データサイエンス(データ分析・活用)が得意なのはどちらでしょうか。データサイエンス(データ分析・活用)が得意なのは、「1→10」のほうです。すでに何かあるものを効率化したり、拡大化したりするのに非常に向いています。

6、データがないと何もできない

 データがないと何もできないのがデータサイエンス(データ分析・活用)です。データが溜まると効率化したり収益を拡大したり、何かしら役立つのがデータサイエンスです。もちろん、ビジネスの世界の話しです。例えばAmazonのECサイトのレコメンドの精度が高まれば高まるほど、収益が拡大されていきます。データが蓄積されればされるほど、レコメンドの精度も高まります。データを蓄積することのできる既存事業ほど、データサイエンスは向いています。もちろん新規事業でも、事業が開始されデータが発生し続けていれば問題ありません。

7、人とコンピュータのコラボレーション

 データサイエンスは「0→1」でなく「1→10」が得意で、データさえあれば効率化と収益拡大をスピーディーに実現してくれる強力な武器なのです。しかし「0→1」のそもそものアイデアや、そこにいたるまでの発想などは、人に大きく依存します。データサイエンスでミラクルは起こりません。人が起こしたミラクルを強力にサポートすることは可能です。データサイエンスで夢や希望を生むことはできませんが、夢と希望を効率的かつスピーディーに実現することができるのです。

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この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

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