課題解決アプローチ データ分析講座(その101)

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◆ データ分析を活用した「課題解決アプローチ」

 データを上手く分析し、そして目の前にある課題を解決する。もっともベタで「何か特別な方法があるに違いない」と思う方もいるかもしれませんが通常の課題解決アプローチに、データを絡めればいいだけです。この方法を取ることで課題解決の精度やスピードを高めることができます。では実際、何をどうすればいいのでしょうか。今回は「データ分析を活用した場合の『課題解決アプローチ』」についてお話しいたします。

1. 課題解決アプローチの5ステップ

 世の中には色々な課題解決アプローチがあります。今回紹介する方法は次の5ステップからなります。

データ分析

 簡単に説明すると「見つけた問題に対し課題設定し、その課題を解決するための施策を考え、その施策を実行し結果を評価する」というものです。各ステップについて説明します。

①問題発見

 「問題発見」とは、現場で起きる「問題」(改善 or 変革)の発見をするステップです。何を問題とするのかは人が考えなければなりません。特に変革を問題にする場合、現状のAIには無理でしょう。改善を問題にするのであればAIでも何とかできる部分があるかもしれません。何はともあれ、何を問題とするのかは、人が頭で考え設定する必要があります。もちろんデータを活用して問題発見の手助けをすることは可能でしょう。

②課題設定

 「課題設定」とは、現場とデータから「課題」を設定するステップです。ここでいう課題とは、データを使って解決することが課された問題、つまりデータ分析で解決すべき問題です。それは「データ分析・活用のテーマ」です。問題の中には、解決できない問題や、ほったらかしていても影響の小さい問題などもあります。

 課題とは、問題の中で放置しておくと多大なる悪影響があり、かつ、解決することができる問題です。今回の場合は「データ分析を活用して」というキーワードが付きますので、この部分も人が考え設定する必要があります。その際忘れてはいけない重要なことがあります。評価指標の設定です。

 設定した課題に対し、検討した施策を実行した時の状況を何かしらの指標で評価する必要が出てきます。評価指標を設定する時、具体的なビジネス成果との結びつきと、具体的なアクションへの繋がりがあることが必須ですから、目標値と期限も設定しておきましょう。⑤の「実行評価」で使います。

③施策検討

 「施策検討」とは、その課題に対する「施策」を洗い出し評価するステップです。どのような施策を打つのか、その案は人が考える必要があります。どの案を実施すべきかですが、効果が高く、かつ、コストパフォーマンスも良く、確実に成果を得られるものがいいでしょう。

 そこで、データ分析の出番です。予測モデルなどを構築し、各施策案を実施することでどのくらいの効果があるのかが見積もれます。データ分析が大いに活躍するステップです。この時、単に成果であるリターン(効果の大きさやコストパフォーマンスなど)だけでなく、確度(リスクの小ささ)も考慮しましょう。簡単にいうと、リターン最大化とリスク最小化を目指します。

④施策実行

 「施策実行」とは、決定した施策を現場で「実行」するステップです。一見するとデータと無関係にみえますが、大いに関係があります。まず、実行時に新たなデータが蓄積されるステップです。ここで、上手くデータが収集できないと分析に悪影響が出てきます。そしてデータ分析・活用を実践するのがこのステップで、分析結果を参考にアクションしてもらえないと意味がありません。

⑤実行評価

 「実行評価」とは実行した結果を指標を用い定量的に「評価」するステップです。ここも③の「施策検討」と同様、データ分析が大いに活躍します。違いは③の「施策検討」はこれから起こる「未来」のお話しで、⑤の「実行評価」はすでに起こった「過去」に対してのものです。

 ここで一つ注意点があります。評価指標です。

 事前に②の「課題設定」で評価指標を明確に定義し、目標値などを設定しておきましょう。定量的な指標である必要があります。つまり数字で表現するということです。⑤の「実行評価」は、単に実施した施策を評価するだけでなく、次にどうすべきかを考えるステップでもあります。有名なPDCA(計画-実行-評価-改善)サイクルでいうところの、CA(評価-改善)に該当します。

2. PDCAサイクルで回す

 上記の①~⑤のステップを1回実施しただけでは、データ分析・活用の効...

 

◆ データ分析を活用した「課題解決アプローチ」

 データを上手く分析し、そして目の前にある課題を解決する。もっともベタで「何か特別な方法があるに違いない」と思う方もいるかもしれませんが通常の課題解決アプローチに、データを絡めればいいだけです。この方法を取ることで課題解決の精度やスピードを高めることができます。では実際、何をどうすればいいのでしょうか。今回は「データ分析を活用した場合の『課題解決アプローチ』」についてお話しいたします。

1. 課題解決アプローチの5ステップ

 世の中には色々な課題解決アプローチがあります。今回紹介する方法は次の5ステップからなります。

データ分析

 簡単に説明すると「見つけた問題に対し課題設定し、その課題を解決するための施策を考え、その施策を実行し結果を評価する」というものです。各ステップについて説明します。

①問題発見

 「問題発見」とは、現場で起きる「問題」(改善 or 変革)の発見をするステップです。何を問題とするのかは人が考えなければなりません。特に変革を問題にする場合、現状のAIには無理でしょう。改善を問題にするのであればAIでも何とかできる部分があるかもしれません。何はともあれ、何を問題とするのかは、人が頭で考え設定する必要があります。もちろんデータを活用して問題発見の手助けをすることは可能でしょう。

②課題設定

 「課題設定」とは、現場とデータから「課題」を設定するステップです。ここでいう課題とは、データを使って解決することが課された問題、つまりデータ分析で解決すべき問題です。それは「データ分析・活用のテーマ」です。問題の中には、解決できない問題や、ほったらかしていても影響の小さい問題などもあります。

 課題とは、問題の中で放置しておくと多大なる悪影響があり、かつ、解決することができる問題です。今回の場合は「データ分析を活用して」というキーワードが付きますので、この部分も人が考え設定する必要があります。その際忘れてはいけない重要なことがあります。評価指標の設定です。

 設定した課題に対し、検討した施策を実行した時の状況を何かしらの指標で評価する必要が出てきます。評価指標を設定する時、具体的なビジネス成果との結びつきと、具体的なアクションへの繋がりがあることが必須ですから、目標値と期限も設定しておきましょう。⑤の「実行評価」で使います。

③施策検討

 「施策検討」とは、その課題に対する「施策」を洗い出し評価するステップです。どのような施策を打つのか、その案は人が考える必要があります。どの案を実施すべきかですが、効果が高く、かつ、コストパフォーマンスも良く、確実に成果を得られるものがいいでしょう。

 そこで、データ分析の出番です。予測モデルなどを構築し、各施策案を実施することでどのくらいの効果があるのかが見積もれます。データ分析が大いに活躍するステップです。この時、単に成果であるリターン(効果の大きさやコストパフォーマンスなど)だけでなく、確度(リスクの小ささ)も考慮しましょう。簡単にいうと、リターン最大化とリスク最小化を目指します。

④施策実行

 「施策実行」とは、決定した施策を現場で「実行」するステップです。一見するとデータと無関係にみえますが、大いに関係があります。まず、実行時に新たなデータが蓄積されるステップです。ここで、上手くデータが収集できないと分析に悪影響が出てきます。そしてデータ分析・活用を実践するのがこのステップで、分析結果を参考にアクションしてもらえないと意味がありません。

⑤実行評価

 「実行評価」とは実行した結果を指標を用い定量的に「評価」するステップです。ここも③の「施策検討」と同様、データ分析が大いに活躍します。違いは③の「施策検討」はこれから起こる「未来」のお話しで、⑤の「実行評価」はすでに起こった「過去」に対してのものです。

 ここで一つ注意点があります。評価指標です。

 事前に②の「課題設定」で評価指標を明確に定義し、目標値などを設定しておきましょう。定量的な指標である必要があります。つまり数字で表現するということです。⑤の「実行評価」は、単に実施した施策を評価するだけでなく、次にどうすべきかを考えるステップでもあります。有名なPDCA(計画-実行-評価-改善)サイクルでいうところの、CA(評価-改善)に該当します。

2. PDCAサイクルで回す

 上記の①~⑤のステップを1回実施しただけでは、データ分析・活用の効果は薄いでしょう。では、どうすればいいでしょうか。難しいことを考えずに、有名なPDCA(計画-実行-評価-改善)サイクルで回せば十分です。先ほどの5ステップとの関係性は以下のようになります。

■ P(計画)

  • ①問題発見
  • ②課題設定
  • ③施策検討

■ D(実行)

  • ④施策実行

■ CA(評価-改善)

  • ⑤実行評価
  • ③施策検討

 以後、D(実行)へ移ります。要するに、①②③→④→⑤③→④→⑤③→④→……と続きます。必要があれば、再度P(計画)を練り直します。ついでにOODA(Observe-Orient-Decide-Act/観察-状況判断・方向づけ-意思決定-行動)ループで考えると「⑤③→④→⑤③→④→……」が該当し「⑤がObserve、③がOrientとDecide、④がAct」となります。

 

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この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

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