データ分析・活用の2層構造の理解 データ分析講座(その89)

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◆ ビッグデータ活用が上手くいかない時、データ分析・活用の2層構造を理解すればスッキリする

 ビッグデータが叫ばれてから、データ分析やデータ活用に多くの企業やビジネスパーソンの目が注がれるようになりました。ビッグデータに限りませんが、データ活用が上手くいかない時、ちょっとしたことで上手くいくことがあります。今回は「ビッグデータ活用が上手くいかない時、データ分析・活用の2層構造を理解すればスッキリする」というお話しをします。

1. データ分析・活用の2層構造

 データ分析・活用は、多くの場合、机上と現場の2つの層で成り立っています。

データ分析

 「机上」とは、多くの人がイメージするデータ分析です。データを使って加工や集計、分析を行います。また異常検知・将来予測モデルなどの統計モデルや機械学習モデルを構築したりします。

 この「机上」は、あくまでもデータをこねくり回しているだけのため、現実世界とは異なります。文字通り「机上の世界」に過ぎません。「現場」とは「机上」で得られた分析結果からの施策案やモデルなどを、現実の世界で「活用」することです。もしかしたら、思い通りいかないかもしれませんし、思った以上の成果が出るかもしれません。

2.「スゴイ分析」よりも「生かせる分析」

 データ分析者の多くは、どうしても「机上」に目が行きがちです。その「机上」だけで、スゴイ分析をしようとします。いくら「机上」でスゴイ分析をしても、活用されなければ意味はありません。文字通り机上の空論の憂き目に遭ってしまいます。

 それよりも「現場」で躍動する「生かせる分析」の方が何百倍も有益です。

3. 何かしら分析したりモデルを構築していないなら、それが問題だ!

 データ分析・活用が上手くいかない時、この2層を意識して考えると、スッキリすることがあります。まず「机上」層が上手くいっているのか考えます。もし「机上」で、それなりにデータを分析したり、何かしらのモデル構築を十分に行っていないとしたら、それが上手くいかない原因です。

 なぜならば「現場」で活用する分析結果からの施策案やモデルなどが無いからです。実際そのような企業も少なくありません。DMP(データマネジメントプラットフォーム)やBI(ビジネスインテリジェンス)ツール、CRM(顧客関係管理)システムなどのデータ基盤や分析基盤を整えているのに、その先に進めない企業です。

4. 分析モデルを構築しているのに、上手くいかない場合

 「机上」で何かを分析してモデルを構築しているのに、上手くいっていない場合は活用と成果の2つの視点で考えを進めてみましょう。「活用」とは「机上」から生み出された分析結果からの施策案やモデルなどが、現場で活用されているかどうかを意味します。

一方「成果」は、分析結果からの施策案やモデルなどが、現場で活用され実際に成果が出るようなものかどうかです。現実的に出ている場合もあれば、成果が出るはずなのに活用されず成果が出ない場合もあります。この時「活用×成果」のようにクロスさせることで、4つの可能性が考えられます。

データ分析

5. 活用×成果から4つの可能性を考える

 以下が、4つの可能性です。

  • 活用されておらず、仮に活用したとしても成果が出ない
  • 活用されておらず、仮に活用すれば成果が出るはず
  • 活用されているのに、成果が出ていない
  • 活用されており、成果が出ている

 4番目の「活用されており、成果が出ている」場合は問題はありません。問題は上の3つです。一番惜しいのが、2番目の「活用されておらず、仮に活用すれば成果が出るはず」のケースです。この場合、現場の信頼を勝ち取り活用してもらう努力が必要になります。

 1番目の「活用されておらず、仮に活用したとしても成果が出ない」は、不幸中の幸いのように見えますが、実は一番始末が悪いです。成果が出ない分析を行ったにも関わらず、現場から信頼を得られない上、活用もしてもらえない状況です。

 3番目の「活用されているのに、成果出ていない」は、1番目より良くなさそうに見えますが、現場の信頼を勝ち取り活用してもらっているという点では、非常に良いことで単にデータ分析そのものに問題があるということです。

 それぞれのケースに合わせ、データ分析・活用を上手くいくようにするための対策が異なってきます。「データ分析そのものが不十分」なのか「現場の信頼を得られていない」からか、または両方なのかで何をすべきかが異なってきます。

 このように2層で考えることで、どこがボトルネックとなり、データ分析・活用が上手くいかないのかが見えてくるのではないでしょうか。

6. ボトルネックを探る

 今回は「ビッグデータ活用が上手くいかない時、データ分析・活用の2層構造を理解すればスッキリする」というお話しをしました。

 ビッグデータに限りませんが、データ活用が上手くいかない時、データ分析・活用においての2層構造を理解し、現状を整理するこ...

 

◆ ビッグデータ活用が上手くいかない時、データ分析・活用の2層構造を理解すればスッキリする

 ビッグデータが叫ばれてから、データ分析やデータ活用に多くの企業やビジネスパーソンの目が注がれるようになりました。ビッグデータに限りませんが、データ活用が上手くいかない時、ちょっとしたことで上手くいくことがあります。今回は「ビッグデータ活用が上手くいかない時、データ分析・活用の2層構造を理解すればスッキリする」というお話しをします。

1. データ分析・活用の2層構造

 データ分析・活用は、多くの場合、机上と現場の2つの層で成り立っています。

データ分析

 「机上」とは、多くの人がイメージするデータ分析です。データを使って加工や集計、分析を行います。また異常検知・将来予測モデルなどの統計モデルや機械学習モデルを構築したりします。

 この「机上」は、あくまでもデータをこねくり回しているだけのため、現実世界とは異なります。文字通り「机上の世界」に過ぎません。「現場」とは「机上」で得られた分析結果からの施策案やモデルなどを、現実の世界で「活用」することです。もしかしたら、思い通りいかないかもしれませんし、思った以上の成果が出るかもしれません。

2.「スゴイ分析」よりも「生かせる分析」

 データ分析者の多くは、どうしても「机上」に目が行きがちです。その「机上」だけで、スゴイ分析をしようとします。いくら「机上」でスゴイ分析をしても、活用されなければ意味はありません。文字通り机上の空論の憂き目に遭ってしまいます。

 それよりも「現場」で躍動する「生かせる分析」の方が何百倍も有益です。

3. 何かしら分析したりモデルを構築していないなら、それが問題だ!

 データ分析・活用が上手くいかない時、この2層を意識して考えると、スッキリすることがあります。まず「机上」層が上手くいっているのか考えます。もし「机上」で、それなりにデータを分析したり、何かしらのモデル構築を十分に行っていないとしたら、それが上手くいかない原因です。

 なぜならば「現場」で活用する分析結果からの施策案やモデルなどが無いからです。実際そのような企業も少なくありません。DMP(データマネジメントプラットフォーム)やBI(ビジネスインテリジェンス)ツール、CRM(顧客関係管理)システムなどのデータ基盤や分析基盤を整えているのに、その先に進めない企業です。

4. 分析モデルを構築しているのに、上手くいかない場合

 「机上」で何かを分析してモデルを構築しているのに、上手くいっていない場合は活用と成果の2つの視点で考えを進めてみましょう。「活用」とは「机上」から生み出された分析結果からの施策案やモデルなどが、現場で活用されているかどうかを意味します。

一方「成果」は、分析結果からの施策案やモデルなどが、現場で活用され実際に成果が出るようなものかどうかです。現実的に出ている場合もあれば、成果が出るはずなのに活用されず成果が出ない場合もあります。この時「活用×成果」のようにクロスさせることで、4つの可能性が考えられます。

データ分析

5. 活用×成果から4つの可能性を考える

 以下が、4つの可能性です。

  • 活用されておらず、仮に活用したとしても成果が出ない
  • 活用されておらず、仮に活用すれば成果が出るはず
  • 活用されているのに、成果が出ていない
  • 活用されており、成果が出ている

 4番目の「活用されており、成果が出ている」場合は問題はありません。問題は上の3つです。一番惜しいのが、2番目の「活用されておらず、仮に活用すれば成果が出るはず」のケースです。この場合、現場の信頼を勝ち取り活用してもらう努力が必要になります。

 1番目の「活用されておらず、仮に活用したとしても成果が出ない」は、不幸中の幸いのように見えますが、実は一番始末が悪いです。成果が出ない分析を行ったにも関わらず、現場から信頼を得られない上、活用もしてもらえない状況です。

 3番目の「活用されているのに、成果出ていない」は、1番目より良くなさそうに見えますが、現場の信頼を勝ち取り活用してもらっているという点では、非常に良いことで単にデータ分析そのものに問題があるということです。

 それぞれのケースに合わせ、データ分析・活用を上手くいくようにするための対策が異なってきます。「データ分析そのものが不十分」なのか「現場の信頼を得られていない」からか、または両方なのかで何をすべきかが異なってきます。

 このように2層で考えることで、どこがボトルネックとなり、データ分析・活用が上手くいかないのかが見えてくるのではないでしょうか。

6. ボトルネックを探る

 今回は「ビッグデータ活用が上手くいかない時、データ分析・活用の2層構造を理解すればスッキリする」というお話しをしました。

 ビッグデータに限りませんが、データ活用が上手くいかない時、データ分析・活用においての2層構造を理解し、現状を整理することで、現状を打破する突破口が開けることがあります。この2層構造とは「机上」と「現場」の2層でデータ分析・活用が構造化されているということです。

「机上」とは、多くの人がイメージするデータ分析で、データを分析したりモデルを構築することです。しかしこの世界は現実ではなく机上の世界です。「現場」とは「机上」で得られた分析結果からの施策案やモデルなどを、現実の世界で「活用」することで、思った以上に成果の出ることもあれば、その逆もあり得ます。どちらの層が重要でしょうか?

 もちろん「現場」です。「現場」で躍動しないデータ分析は「机上」でどんなに凄くても無意味です。「スゴイ」分析よりも現場で躍動する「生かせる分析」です。データ分析・活用が上手くいかない時、この2層を意識して考えると、スッキリすることがあります。

 「データ分析そのものが不十分」からなのか「現場の信頼を得られていない」からか、その両方なのかで、何をすべきかが異なってきます。もしデータ活用が上手くいかない時、データ分析・活用の2層構造で、どこにボトルネックがあるのか探ってみてください。突破口になるかもしれません。

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この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

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