テーマ候補の探し方 データ分析講座(その137)

更新日

投稿日

データ分析

◆ データ分析・活用のテーマ候補の探し方

 ビジネスにおけるデータ活用は、あくまでも課題解決手段の一つに過ぎません。主役ではなく脇役です。そもそも、ビジネス上の課題を解決するのにデータは必須ではありません。

 しかし「データを使って何かしろ」という感じになり、データで出来ることを探し始める人も少なくありません。その典型的な問いが「このデータで何かできませんか?」。データのために、活躍の場を探し与えるかのようです。では、どうすればいいのか、今回は「データ分析・活用のテーマ候補の探し方」というお話しをします。



1、データの存在を忘れて考えよう

 「データを使って何かしろ」という感じになっても、データで出来ることを探し始めてはいけません。なぜならば、データの可能性を殺してしまうことがあるからです。データの可能性を殺すとは、データで課題解決できた何かを見つけられず、データで解決する機会を奪い去ることを意味します。そのためまずは「データでビジネス課題を解決しよう」という考え方を捨てます。データの存在を忘れて、解決すべきビジネス課題を考えていきます。

2、データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出そう

 次に行うことは、データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出せばいいのです。データを使うという制約が外されることで、色々なビジネス課題(ビジネスの「お困りごと」)が洗い出されることでしょう。

 ちなみに「ビジネス課題」をビジネスの「お困りごと」と表現しているのは、意図的に表現しています。理由は「ビジネス課題を書き出してください」と現場に頼むよりも「仕事のお困りごとを書き出してください」と頼んだほうが、たくさんのビジネス課題(ビジネスの「お困りごと」)が出てくるからです。これは、あくまでも私の経験上のお話しです。

3、そして、データを使った方が良さそうなテーマを探す

 データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出した後にすべきことは、当然ですが「データを使ったほうがよさそうなテーマを探す」ということになります。整理しますと次のようになります。

  • データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出す
  • データを使ったほうが良さそうなテーマを探す

 これが、分析テーマの「候補洗い出し」の考え方です。そして、本当にデータで解決できそうであれば、そのデータでビジネス課題を解決すればいいのです。ポイントは「最初は、データの存在を忘れて、解決すべきビジネス課題を考える」というところです。このことで「データで課題解決できた何かを見つけられず、データで解決する機会を奪い去る」ことをある程度避けることができます。

4、逆算アプローチで、データを使うべきかどうかを考えよう

 ビジネスの「お困りごと」である「ビジネス課題」を、データを活用するかどうかに関係なく洗い出したら、次にデータを使った方が良さそうなテーマを探します。探し方は非常にシンプルで、逆算アプローチで探していきます。

 例えば、データを活用するかどうかに関係なく洗い出したビジネス課題に対し、以下の逆算アプローチで、データを活用したほうが良さそうかを考えていきます。

  • Step.1 課題のBefore(現状、As-Is)→After(解決された状態、To-Be)を考える
  • Step.2 Before→Afterの変化を起こすのに何が必要なのかを考える
  • Step.3 仮にデータ分析が必要ならば、どのような分析が必要かを考える
  • Step.4 その分析をするために、どのようなデータが必要になるのかを考える
  • Step.5 その必要なデータの中で、すでに使えるデータとそうでないデータを考える

 このステップを通すことで、その課題にとってデータが必要かどうかが分かります。さらに、そのようなデータが存在するのかも分かります。

5、ビジネス課題3つのタイプ

 データを活用するかどうかに関係なく洗い出したビジネス課題に対し、先ほどのステップをと通すことで、ビジネス課題が次の3つのタイプに大別されます。

  • タイプ1 データ分析を使う必要がまったくない課題
  • タイプ2 データ分析をフル活用するほうがいい課題
  • タイプ3 ちょっとだけデータ分析の力を借りるほうがいい課題

 私の経験上「データ分析をフル活用するほうがいい課題」はほとんどありません。大半は「ちょっとだけデータ分析の力を借りたほうがいい課題」です。しかし「企業内で、データ分析で何かやるぞ!」という声が上がった場合、この「データ分析をフル活用したほうがいい課題」をいきな...

データ分析

◆ データ分析・活用のテーマ候補の探し方

 ビジネスにおけるデータ活用は、あくまでも課題解決手段の一つに過ぎません。主役ではなく脇役です。そもそも、ビジネス上の課題を解決するのにデータは必須ではありません。

 しかし「データを使って何かしろ」という感じになり、データで出来ることを探し始める人も少なくありません。その典型的な問いが「このデータで何かできませんか?」。データのために、活躍の場を探し与えるかのようです。では、どうすればいいのか、今回は「データ分析・活用のテーマ候補の探し方」というお話しをします。



1、データの存在を忘れて考えよう

 「データを使って何かしろ」という感じになっても、データで出来ることを探し始めてはいけません。なぜならば、データの可能性を殺してしまうことがあるからです。データの可能性を殺すとは、データで課題解決できた何かを見つけられず、データで解決する機会を奪い去ることを意味します。そのためまずは「データでビジネス課題を解決しよう」という考え方を捨てます。データの存在を忘れて、解決すべきビジネス課題を考えていきます。

2、データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出そう

 次に行うことは、データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出せばいいのです。データを使うという制約が外されることで、色々なビジネス課題(ビジネスの「お困りごと」)が洗い出されることでしょう。

 ちなみに「ビジネス課題」をビジネスの「お困りごと」と表現しているのは、意図的に表現しています。理由は「ビジネス課題を書き出してください」と現場に頼むよりも「仕事のお困りごとを書き出してください」と頼んだほうが、たくさんのビジネス課題(ビジネスの「お困りごと」)が出てくるからです。これは、あくまでも私の経験上のお話しです。

3、そして、データを使った方が良さそうなテーマを探す

 データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出した後にすべきことは、当然ですが「データを使ったほうがよさそうなテーマを探す」ということになります。整理しますと次のようになります。

  • データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出す
  • データを使ったほうが良さそうなテーマを探す

 これが、分析テーマの「候補洗い出し」の考え方です。そして、本当にデータで解決できそうであれば、そのデータでビジネス課題を解決すればいいのです。ポイントは「最初は、データの存在を忘れて、解決すべきビジネス課題を考える」というところです。このことで「データで課題解決できた何かを見つけられず、データで解決する機会を奪い去る」ことをある程度避けることができます。

4、逆算アプローチで、データを使うべきかどうかを考えよう

 ビジネスの「お困りごと」である「ビジネス課題」を、データを活用するかどうかに関係なく洗い出したら、次にデータを使った方が良さそうなテーマを探します。探し方は非常にシンプルで、逆算アプローチで探していきます。

 例えば、データを活用するかどうかに関係なく洗い出したビジネス課題に対し、以下の逆算アプローチで、データを活用したほうが良さそうかを考えていきます。

  • Step.1 課題のBefore(現状、As-Is)→After(解決された状態、To-Be)を考える
  • Step.2 Before→Afterの変化を起こすのに何が必要なのかを考える
  • Step.3 仮にデータ分析が必要ならば、どのような分析が必要かを考える
  • Step.4 その分析をするために、どのようなデータが必要になるのかを考える
  • Step.5 その必要なデータの中で、すでに使えるデータとそうでないデータを考える

 このステップを通すことで、その課題にとってデータが必要かどうかが分かります。さらに、そのようなデータが存在するのかも分かります。

5、ビジネス課題3つのタイプ

 データを活用するかどうかに関係なく洗い出したビジネス課題に対し、先ほどのステップをと通すことで、ビジネス課題が次の3つのタイプに大別されます。

  • タイプ1 データ分析を使う必要がまったくない課題
  • タイプ2 データ分析をフル活用するほうがいい課題
  • タイプ3 ちょっとだけデータ分析の力を借りるほうがいい課題

 私の経験上「データ分析をフル活用するほうがいい課題」はほとんどありません。大半は「ちょっとだけデータ分析の力を借りたほうがいい課題」です。しかし「企業内で、データ分析で何かやるぞ!」という声が上がった場合、この「データ分析をフル活用したほうがいい課題」をいきなり探すところから始めることが多い気がします。

6、今回のまとめ

 今回は「データ分析・活用のテーマ候補の探し方」というお話しをしました。ビジネス課題をデータ分析で解決しようと考えた時すべきことは「データの存在を忘れて考える」です。「データを使って何かしろ」という感じになったとき、データで出来ることを探し始めてはいけません。

 まずは、データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出します。その後、データを使ったほうが良さそうなテーマを探すのです。「企業内で、データ分析で何かやるぞ」という声が上がった場合「データ分析をフル活用したほうがいい課題」をいきなり探すところから始めることが多い気がしますが、簡単には見つけられません。見つかったらラッキーという感じです。

 大半は「ちょっとだけデータ分析の力を借りたほうがいい課題」です。したがって、ビジネス課題をデータ分析で解決しようと考えた時のテーマ候補は「ちょっとだけデータ分析の力を借りる方がいい課題」が大半になります。この中で、容易にビジネスインパクトを得られる課題を分析テーマとして選択すればいいのです。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
経営と組織の整合性を保つ、データによる意思決定推進とは:データ分析講座(その344)

【目次】   国内最多のものづくりに関するセミナー掲載中! ものづくりドットコムでは、製造業に関するセミナーを...

【目次】   国内最多のものづくりに関するセミナー掲載中! ものづくりドットコムでは、製造業に関するセミナーを...


カテゴリー構築指数とブランド構築指数 データ分析講座(その257)

  自社商品やサービスが、どの顧客セグメントに対し強いのか弱いのか、ポテンシャルが高いのか低いのかを示す指標が構築指標で、次の2種類があり...

  自社商品やサービスが、どの顧客セグメントに対し強いのか弱いのか、ポテンシャルが高いのか低いのかを示す指標が構築指標で、次の2種類があり...


最近多いケーススタディ④「出世魚分析(隠れた宝石探し)」 データ分析講座(その191)

    データを使い販売力を効率的に高めるセールスアナリティクスには、3つの典型的なテーマがあります。 新規顧客の獲得 既...

    データを使い販売力を効率的に高めるセールスアナリティクスには、3つの典型的なテーマがあります。 新規顧客の獲得 既...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
守秘義務は情報社会の命綱

  1. 顧客データの管理  O社は、技術志向のエンジニアリング会社です。 扱う製品の設計図には、さまざまな情報が含まれています。クライアントから...

  1. 顧客データの管理  O社は、技術志向のエンジニアリング会社です。 扱う製品の設計図には、さまざまな情報が含まれています。クライアントから...


Excelの帳票を見直そう

 オフィス業務においては、マイクロソフトOfficeがデファクトスタンダードになっています。とりわけ活用されているのはExcelでしょう。Excelを使う...

 オフィス業務においては、マイクロソフトOfficeがデファクトスタンダードになっています。とりわけ活用されているのはExcelでしょう。Excelを使う...


‐販路開拓に関する問題 第2回‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その18)

 販路開拓に関する問題点、次に示す4点について、第1回として、1と2項を解説しました。今回は、第2回として、3と4項を解説します。        1....

 販路開拓に関する問題点、次に示す4点について、第1回として、1と2項を解説しました。今回は、第2回として、3と4項を解説します。        1....