ビジネス要因分析の統計的因果探索 データ分析講座(その205)

更新日

投稿日

 

 

最近のデータ分析やモデル構築では「予測を当てればいい!」という風潮もありますが、確かに当てるだけであれば、それで問題ないでしょう。画像処理などの世界では、それでいいかもしれません。ただ、ビジネス系のデータ分析の場合、単に当てるだけというよりも「なぜそうなったの?」という要因分析ニーズが高いのです。要因分析で使えるデータ分析手法の多くは、解釈性の高い伝統的な統計モデルが多いのです。最も簡単な手法は、相関係数を使ったものです。それはそれで、シンプルで強力な手法です。このような中、最近では「統計的因果探索」という手法が注目され始めています。

今回は、「ビジネス要因分析で欠かせない統計的因果探索」というお話しをします。

【目次】

1.要因分析とは?
2.相関分析とは?
3.2つの変量間に線を引く
(1)統計的因果探索とは?
(2)因果推論と因果探索
(3)本当の因果ではない!

1.要因分析とは?

 

DATA

 

着目している指標である目的変数Y(売上など)の異常が検知された場合……​

  • なぜこのような異常が起こったのか?​
  • 異常の要因は何だったのか?
  • そのためにどのような対策を打つべきなのか?

……など、色々と協議される​ことでしょう。このとき、着目している指標である目的変数Y(売上など)に影響を与えるであろう、X(説明変数)のデータがある場合、X(説明変数)から要因を探る要因分析を実施することがあります。

 

このとき、X(説明変数)同士がどのような関係性にあるのかを知ることは、対策を考える上で非常に重要です。「構造の把握」と言います。最もシンプルなのが、2変量の関係性を探る相関分析です。

 

2.相関分析とは?

 

DATA

 

相関分析とは、2変量間の線形関係を、相関係数という指標で分析するものです。

 

線形関係とは、「一方の値が増えると、他方の値も比例して増える」みたいな関係です。もちろん、「増える」という関係性だけでなく、「減る」という関係性もあります。

 

大きく3つの線形関係を見出していきます。

  • 正の相関関係がある(相関係数が1に近い)
  • 相関関係がない(相関係数が0前後)
  • 負の相関関係がある(相関係数が-1に近い)

ちなみに、相関係数は-1以上1以下の値を取ります。

 

3.2つの変量間に線を引く

 

DATA

 

相関分析は、2つの変量間に線形関係がありそうかどうかを検討します。

 

そして、2つの変量間に線形関係がありそうな場合、その間に「線」を引くことで表現することが多いです。その「線」は、単なる線に過ぎません。なんとなく、「線」に「矢印」があると嬉しいでしょう。特に、説明変数X同士の場合には、「矢印」を付けられると便利です。

 

(1)統計的因果探索とは?

 

DATA

 

一言で言うと、「矢印の向きを分析する」という感じです。

 

日本でよく使われるのは、LinGAM(Linear Non Gaussian Model、線形非ガウス非巡回モデル)という手法です。非正規分布を仮定し因果関係を推測する手法です。

 

(2)因果推論と因果探索

似たようなワードに、統計的因果推論というものがあります。似たような感じですが、データ分析の置かれている状況がことなります。超簡単に言うと、統計的因果推論は、検討したい因果をあらかじめ想定した、伝統的な統計学アプローチの1つである実験計画法・分散分析の流れを汲んでいます。

 

一方、統計的因果探索は、手元にあるデータから因果構造の分析する、探索的なデータ分析の流れを汲んでいます。数理統計学に詳しい方は、伝統的な統計学アプローチの1つであるパス解析をイメージすると、分かりやすいかもしれしれません。

 

(3)本...

 

 

最近のデータ分析やモデル構築では「予測を当てればいい!」という風潮もありますが、確かに当てるだけであれば、それで問題ないでしょう。画像処理などの世界では、それでいいかもしれません。ただ、ビジネス系のデータ分析の場合、単に当てるだけというよりも「なぜそうなったの?」という要因分析ニーズが高いのです。要因分析で使えるデータ分析手法の多くは、解釈性の高い伝統的な統計モデルが多いのです。最も簡単な手法は、相関係数を使ったものです。それはそれで、シンプルで強力な手法です。このような中、最近では「統計的因果探索」という手法が注目され始めています。

今回は、「ビジネス要因分析で欠かせない統計的因果探索」というお話しをします。

【目次】

1.要因分析とは?
2.相関分析とは?
3.2つの変量間に線を引く
(1)統計的因果探索とは?
(2)因果推論と因果探索
(3)本当の因果ではない!

1.要因分析とは?

 

DATA

 

着目している指標である目的変数Y(売上など)の異常が検知された場合……​

  • なぜこのような異常が起こったのか?​
  • 異常の要因は何だったのか?
  • そのためにどのような対策を打つべきなのか?

……など、色々と協議される​ことでしょう。このとき、着目している指標である目的変数Y(売上など)に影響を与えるであろう、X(説明変数)のデータがある場合、X(説明変数)から要因を探る要因分析を実施することがあります。

 

このとき、X(説明変数)同士がどのような関係性にあるのかを知ることは、対策を考える上で非常に重要です。「構造の把握」と言います。最もシンプルなのが、2変量の関係性を探る相関分析です。

 

2.相関分析とは?

 

DATA

 

相関分析とは、2変量間の線形関係を、相関係数という指標で分析するものです。

 

線形関係とは、「一方の値が増えると、他方の値も比例して増える」みたいな関係です。もちろん、「増える」という関係性だけでなく、「減る」という関係性もあります。

 

大きく3つの線形関係を見出していきます。

  • 正の相関関係がある(相関係数が1に近い)
  • 相関関係がない(相関係数が0前後)
  • 負の相関関係がある(相関係数が-1に近い)

ちなみに、相関係数は-1以上1以下の値を取ります。

 

3.2つの変量間に線を引く

 

DATA

 

相関分析は、2つの変量間に線形関係がありそうかどうかを検討します。

 

そして、2つの変量間に線形関係がありそうな場合、その間に「線」を引くことで表現することが多いです。その「線」は、単なる線に過ぎません。なんとなく、「線」に「矢印」があると嬉しいでしょう。特に、説明変数X同士の場合には、「矢印」を付けられると便利です。

 

(1)統計的因果探索とは?

 

DATA

 

一言で言うと、「矢印の向きを分析する」という感じです。

 

日本でよく使われるのは、LinGAM(Linear Non Gaussian Model、線形非ガウス非巡回モデル)という手法です。非正規分布を仮定し因果関係を推測する手法です。

 

(2)因果推論と因果探索

似たようなワードに、統計的因果推論というものがあります。似たような感じですが、データ分析の置かれている状況がことなります。超簡単に言うと、統計的因果推論は、検討したい因果をあらかじめ想定した、伝統的な統計学アプローチの1つである実験計画法・分散分析の流れを汲んでいます。

 

一方、統計的因果探索は、手元にあるデータから因果構造の分析する、探索的なデータ分析の流れを汲んでいます。数理統計学に詳しい方は、伝統的な統計学アプローチの1つであるパス解析をイメージすると、分かりやすいかもしれしれません。

 

(3)本当の因果ではない!

統計的因果探索をいくら精緻に実施したところで、それはあくまでもデータから垣間見た因果関係のようなものに過ぎません。

 

統計的因果探索だけの話しではなく、RubinやPearl系の統計的因果推論もそうですし、時系列データに対する因果推論であるGranger因果などもそうです。データから統計学的な手法を用いても、あくまでもデータ上の関係であって、因果関係どころか、たまたまそのように見えるだけで、まったくの無関係の可能性すらあります。要は、最後は人間の経験値と洞察力がものを言います。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
「分かっていないこと」(データの裏付けのない「事実」) データ分析講座(その19)

  ◆ 最初に「データで把握すべき最重要なこと」は、「分かっていないこと」を把握すること  「データからどのように読み取り、どのように施...

  ◆ 最初に「データで把握すべき最重要なこと」は、「分かっていないこと」を把握すること  「データからどのように読み取り、どのように施...


スマート農業の目的、課題

  農業従事者の高齢化・後継者不足、労働力不足など食料自給率の低下、耕作放棄地の増加などさまざまな問題を日本の農業は抱えています。一方、ス...

  農業従事者の高齢化・後継者不足、労働力不足など食料自給率の低下、耕作放棄地の増加などさまざまな問題を日本の農業は抱えています。一方、ス...


デジタル技術が変える営業手法:営業DX化のポイント

  今回は、デジタル技術が変える営業手法から営業DX化のポイントについて、解説します。   1. CRM(顧客関係管理)シス...

  今回は、デジタル技術が変える営業手法から営業DX化のポイントについて、解説します。   1. CRM(顧客関係管理)シス...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
ソフトウェア特許とは(その2)

4.ソフトウェア特許のとり方    前回のその1に続いて解説します。    ソフトウェア特許の取得方法にはノウハウがあります。特許のことを知らない...

4.ソフトウェア特許のとり方    前回のその1に続いて解説します。    ソフトウェア特許の取得方法にはノウハウがあります。特許のことを知らない...


生産スピード向上と品質管理

 電子メールやインターネットの普及により、ビジネスのグローバル化が大きく進みましたが、IT技術の進歩は、品質管理の方法も進歩させました。20数年前は製造条...

 電子メールやインターネットの普及により、ビジネスのグローバル化が大きく進みましたが、IT技術の進歩は、品質管理の方法も進歩させました。20数年前は製造条...


‐クレ-ム情報を開発に活用‐  製品・技術開発力強化策の事例(その13)

 前回の事例その12に続いて解説します。顧客から出されたクレ-ムは、技術開発や、関連製品の開発の可能性を潜在させている場合が多いようです。その視点からクレ...

 前回の事例その12に続いて解説します。顧客から出されたクレ-ムは、技術開発や、関連製品の開発の可能性を潜在させている場合が多いようです。その視点からクレ...