やったことのないデータ活用を率先してやる データ分析講座(その229)

投稿日

データ分析

 

【この連載の前回:データ分析講座(その228)上手くいかないと思ったらデータで裏付けへのリンク】

 

何事にも始まりが必ずあるように、多くの食べ物は、誰かが最初に口にしたはずです。例えば、多くの野菜やキノコも同様でしょう。集めたデータと分析の関係は、食材と料理の関係に似ています。今回は「今までやったことのないデータ活用を率先してやる」というお話しです。

 

【目次】
1.腕次第
2.何が食べたいのか?
3.そのデータ分析結果で、現場は動けますか?
4.丁寧な説明とフォローが必要

 

1.腕次第

素晴らしい食材であっても、料理人の腕に問題があると台無しになることがあります。逆に、ありものの食材でも、調理しだいで美味しくなることもあります。データ分析やデータサイエンスなども同じです。素晴らしいデータがあるのに台無しにすることもありますし、不十分なデータでも価値を生み出すこともあります。

 

そして、最初に試される腕が「テーマ設定」にあります。データサイエンス実践(データ分析・活用)の成否を左右するのは、テーマ選定にあります。理由は単純です。上手くいきそうもないことを、いくら頑張っても、上手くいかないからです。

 

2.何が食べたいのか?

「テーマ設定」とは、料理で言い換えると「作る料理を決める(オーダーをもらう)」です。何を食べたいのか分からないと、何を作ればいいのか分からないように、現場でどのような価値を生み出したいのか分からないと、どのようなデータ分析をすればいいのか分かりません。オーダーがない状況で、何を食べたいのか、どのような価値を出したいのかを、推測することは非常に困難です。

 

推測するには熟知している必要があります。料理を食べる人を熟知していないと好みが分からないように、現場を熟知していないとどのようなデータ分析を望んでいるのか見えてきません。多くの場合、データ分析者やデータサイエンティスト側は現場を熟知していないので、現場とともにテーマを設定することになります。料理店がお客さんに何を食べたいのかオーダーを聞くのと同じです。

 

3.そのデータ分析結果で、現場は動けますか?

どんなにおいしい料理でも、食べてもらって「おいしい」と言ってもらえないと、作り手は悲しいでしょう。データサイエンスやデータ分析も同じで、現場で活用してもらって「ありがとう」と言ってもらえないと悲しいものです。

 

「ありがとう」という言葉以前の問題が、データ分析の世界では起こりえます。現場で活用されないデータ分析結果です。料理で言い換えると、一口も食べてもらえない料理という感じです。「食べてみようかな」と思われる料理のように、データ分析も現場から「やりたい」「やれそう」「イメージが付く」などの声が上がる分析結果でないと、いけません。

 

4.丁寧な説明とフォローが必要

生まれて初めて見る食材で作った料理や、誰もが食べるのを避けている料理を、我先に食べる人が少ないと思います。データ活用の進んでいない現場で、積極的に...

データ分析

 

【この連載の前回:データ分析講座(その228)上手くいかないと思ったらデータで裏付けへのリンク】

 

何事にも始まりが必ずあるように、多くの食べ物は、誰かが最初に口にしたはずです。例えば、多くの野菜やキノコも同様でしょう。集めたデータと分析の関係は、食材と料理の関係に似ています。今回は「今までやったことのないデータ活用を率先してやる」というお話しです。

 

【目次】
1.腕次第
2.何が食べたいのか?
3.そのデータ分析結果で、現場は動けますか?
4.丁寧な説明とフォローが必要

 

1.腕次第

素晴らしい食材であっても、料理人の腕に問題があると台無しになることがあります。逆に、ありものの食材でも、調理しだいで美味しくなることもあります。データ分析やデータサイエンスなども同じです。素晴らしいデータがあるのに台無しにすることもありますし、不十分なデータでも価値を生み出すこともあります。

 

そして、最初に試される腕が「テーマ設定」にあります。データサイエンス実践(データ分析・活用)の成否を左右するのは、テーマ選定にあります。理由は単純です。上手くいきそうもないことを、いくら頑張っても、上手くいかないからです。

 

2.何が食べたいのか?

「テーマ設定」とは、料理で言い換えると「作る料理を決める(オーダーをもらう)」です。何を食べたいのか分からないと、何を作ればいいのか分からないように、現場でどのような価値を生み出したいのか分からないと、どのようなデータ分析をすればいいのか分かりません。オーダーがない状況で、何を食べたいのか、どのような価値を出したいのかを、推測することは非常に困難です。

 

推測するには熟知している必要があります。料理を食べる人を熟知していないと好みが分からないように、現場を熟知していないとどのようなデータ分析を望んでいるのか見えてきません。多くの場合、データ分析者やデータサイエンティスト側は現場を熟知していないので、現場とともにテーマを設定することになります。料理店がお客さんに何を食べたいのかオーダーを聞くのと同じです。

 

3.そのデータ分析結果で、現場は動けますか?

どんなにおいしい料理でも、食べてもらって「おいしい」と言ってもらえないと、作り手は悲しいでしょう。データサイエンスやデータ分析も同じで、現場で活用してもらって「ありがとう」と言ってもらえないと悲しいものです。

 

「ありがとう」という言葉以前の問題が、データ分析の世界では起こりえます。現場で活用されないデータ分析結果です。料理で言い換えると、一口も食べてもらえない料理という感じです。「食べてみようかな」と思われる料理のように、データ分析も現場から「やりたい」「やれそう」「イメージが付く」などの声が上がる分析結果でないと、いけません。

 

4.丁寧な説明とフォローが必要

生まれて初めて見る食材で作った料理や、誰もが食べるのを避けている料理を、我先に食べる人が少ないと思います。データ活用の進んでいない現場で、積極的にデータ活用しようとしてくれる人は、誰も食べたことのない「野生のキノコ」を率先して食べてくるような人です。

 

そんな冒険心溢れた人がいない場合、よく分からない謎だらけのデータ分析結果は、そっと机の中にしまっておかれます。慎重な人ほど、誰も食べたことのない「野生のキノコ」を率先して食べることが無いように、慎重な人ほど、今までやったことのない「データ活用」を率先してやることはないでしょう。だから、現場から「やりたい」「やれそう」「イメージが付く」などの声が多いデータ分析を心掛ける必要があるのです。

 

次回に続きます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
データで出来ることとテーマ選定の難しさ データ分析講座(その284)

    ビジネスにおけるデータは、あくまでも課題解決の手段の1つにすぎません。主役ではなく脇役です。そもそも、ビジネス上の課題...

    ビジネスにおけるデータは、あくまでも課題解決の手段の1つにすぎません。主役ではなく脇役です。そもそも、ビジネス上の課題...


ビジネスにおけるハイパーパラメータ最適化(その2):データ分析講座(その364)

   【目次】  ▼さらに深く学ぶなら!「データ分析」に関するセミナーはこちら! 前回のビジネスにおけ...

   【目次】  ▼さらに深く学ぶなら!「データ分析」に関するセミナーはこちら! 前回のビジネスにおけ...


Windows11、注目されているTPMとは

   Windows11のリリースに合わせて、にわかに、「TPM」「TPM 2.0」というキーワードが注目されていますが、次のような疑問が...

   Windows11のリリースに合わせて、にわかに、「TPM」「TPM 2.0」というキーワードが注目されていますが、次のような疑問が...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
中小製造業のウェブ戦略

 中小製造業がウェブサイトを立ち上げる際、その目的として「自社の信用力を高めるための会社概要的な役割」と考える経営者も少なくない。しかし、当社のクライアン...

 中小製造業がウェブサイトを立ち上げる際、その目的として「自社の信用力を高めるための会社概要的な役割」と考える経営者も少なくない。しかし、当社のクライアン...


P値で行う統計リテラシー判定

 「ピーチ」って聞いたら何を連想しますか、統計を学んでいる人に取っては「 P値 」が思い浮かぶはずです。統計学の素養がある程度備わっているか一言で知ろうと...

 「ピーチ」って聞いたら何を連想しますか、統計を学んでいる人に取っては「 P値 」が思い浮かぶはずです。統計学の素養がある程度備わっているか一言で知ろうと...


システムトラブル、誰に相談したら良いか

 最近は、以下のように情報システム開発にかかわるトラブルに悩まされる企業が急増しています。ところが、トラブルが起きた時に誰に相談したらいいかわからなくて困...

 最近は、以下のように情報システム開発にかかわるトラブルに悩まされる企業が急増しています。ところが、トラブルが起きた時に誰に相談したらいいかわからなくて困...