‐情報収集で配慮すべき事項(第1回)‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その9)

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 前回の事例その8に続いて解説します。ある目的で情報収集を開始する時には、始めに開発方針を明らかにして、目的意識を持って行動する必要があります。目的を明確にしないで収集した情報は広がりがあり過ぎて掘り下げた分析が出来ないため利用価値が低くなります。また、情報の発生源を明確にして分類整理が行える様にしなければ収集した情報を活用できないだけでなく、狙いにすべき客層と開発品との間に食い違いが生じて、販路設定で失敗する事も起こりかねません。情報収集で注意しなければならない事項を7点、次に整理します。
 
     (1)対象を決めて集中的に情報収集 
   (2)目標にしている分野に関する市場動向の研究 
   (3)製品を愛用して説得力を持つ 
   (4)情報発信のキ-マンを把握 
   (5)情報量でマ-クする相手を選別 
   (6)情報収集に適した相手先が乏しいときの対策 
   (7)異常現象や小さな変化を見逃さない
 

(1)対象を決めて集中的に情報収集

 情報を収集する目的が明確になっていないと、効果的に情報が収集出来ません。自企業の製品(技術)で今後伸ばして行く分野、または、新分野で自企業の技術を応用展開して行く方向等、経営方針に基づき分野を特定し目的を明確にした上で、その目的に関して一定期間集中的に、広く深く情報の収集を行います。このような情報収集作業を継続的に繰り返していく事で開発に有用な情報収集が出来る様になります。目的が不明確なままで情報収集を行うと、多くの情報を簡単に集められるが、これらを分類集計する段階で行き詰まり、まとめようが無く、開発テ-マの絞り込みの段階で迷う事になります。
 
 開発方針を決め、情報収集の目的を明確にし、関係者にその趣旨を浸透させた上で、情報収集に必要な知識を次項で記述するような方法で勉強するように導きます。客先から質の高い情報を収集するには、当方が提供する話題の質も高くなければ、その目的は達成出来きません。そして、開発方針に沿った情報収集に集中的に取り組むようにしなければ、有用な情報を収集する事は難くなります。
 
 企業内でその方向に関係者が確実に動き出していることを見届けるまで、経営者は心を緩めてはいけません。情報収集の能力、つまり、アンテナ感度を向上させるのにはかなりの根気が必要です。
 

(2)目標にしている分野に関する市場動向の研究

 情報収集の目的が明確になったら、その製品に関連した業界や需要家の実情に関して、市場と需要家の動向を調べ尽くします。業界新聞、業界誌、業界の知人などあらゆる方法で業界の問題点や動向を調べ、知識を豊富にします。情報収集目的の相手と接触した場合、相手が興味を持つような話題を提供しない限り、有用な情報は得られません。
 
 当方が提供する話題の質に応じて、相手が提供する情報の質が決まってきます。これから参入する分野の知識が不足していては、業界の先端的な有用な情報を入手出来ません。「この人は何も判っていない」と思われ軽く扱われるだけです。
 
 文書や口頭の説明で満足せず、接触した相手に頼み込んで現場に案内して見せてもらう努力が何よりも大切です。インタ-ネットで簡単に情報が収集出来ても、それに依存するだけでなく現場に出向く労を厭わず、核心に触れた情報の収集に務める心構えが必要です。他社が得ていることと同じレベルの公開されている情報しか持っ...
 前回の事例その8に続いて解説します。ある目的で情報収集を開始する時には、始めに開発方針を明らかにして、目的意識を持って行動する必要があります。目的を明確にしないで収集した情報は広がりがあり過ぎて掘り下げた分析が出来ないため利用価値が低くなります。また、情報の発生源を明確にして分類整理が行える様にしなければ収集した情報を活用できないだけでなく、狙いにすべき客層と開発品との間に食い違いが生じて、販路設定で失敗する事も起こりかねません。情報収集で注意しなければならない事項を7点、次に整理します。
 
     (1)対象を決めて集中的に情報収集 
   (2)目標にしている分野に関する市場動向の研究 
   (3)製品を愛用して説得力を持つ 
   (4)情報発信のキ-マンを把握 
   (5)情報量でマ-クする相手を選別 
   (6)情報収集に適した相手先が乏しいときの対策 
   (7)異常現象や小さな変化を見逃さない
 

(1)対象を決めて集中的に情報収集

 情報を収集する目的が明確になっていないと、効果的に情報が収集出来ません。自企業の製品(技術)で今後伸ばして行く分野、または、新分野で自企業の技術を応用展開して行く方向等、経営方針に基づき分野を特定し目的を明確にした上で、その目的に関して一定期間集中的に、広く深く情報の収集を行います。このような情報収集作業を継続的に繰り返していく事で開発に有用な情報収集が出来る様になります。目的が不明確なままで情報収集を行うと、多くの情報を簡単に集められるが、これらを分類集計する段階で行き詰まり、まとめようが無く、開発テ-マの絞り込みの段階で迷う事になります。
 
 開発方針を決め、情報収集の目的を明確にし、関係者にその趣旨を浸透させた上で、情報収集に必要な知識を次項で記述するような方法で勉強するように導きます。客先から質の高い情報を収集するには、当方が提供する話題の質も高くなければ、その目的は達成出来きません。そして、開発方針に沿った情報収集に集中的に取り組むようにしなければ、有用な情報を収集する事は難くなります。
 
 企業内でその方向に関係者が確実に動き出していることを見届けるまで、経営者は心を緩めてはいけません。情報収集の能力、つまり、アンテナ感度を向上させるのにはかなりの根気が必要です。
 

(2)目標にしている分野に関する市場動向の研究

 情報収集の目的が明確になったら、その製品に関連した業界や需要家の実情に関して、市場と需要家の動向を調べ尽くします。業界新聞、業界誌、業界の知人などあらゆる方法で業界の問題点や動向を調べ、知識を豊富にします。情報収集目的の相手と接触した場合、相手が興味を持つような話題を提供しない限り、有用な情報は得られません。
 
 当方が提供する話題の質に応じて、相手が提供する情報の質が決まってきます。これから参入する分野の知識が不足していては、業界の先端的な有用な情報を入手出来ません。「この人は何も判っていない」と思われ軽く扱われるだけです。
 
 文書や口頭の説明で満足せず、接触した相手に頼み込んで現場に案内して見せてもらう努力が何よりも大切です。インタ-ネットで簡単に情報が収集出来ても、それに依存するだけでなく現場に出向く労を厭わず、核心に触れた情報の収集に務める心構えが必要です。他社が得ていることと同じレベルの公開されている情報しか持っていないようであれば、開発競争に勝てません。
 
 現場を見なければ本当のことは判りません。見る人により解釈は異なりますので、他人が見た解釈だけに依存していると判断を誤ります。時間を惜しまず現場を見てそこから生きた情報を収集する経験を積む必要があります。その趣旨から、社内で報告された情報の出所を明確にし、価値判断の根拠にします。出所が明らかになれば採否に際しての価値判断の根拠が得られます。報告者は現場を見る事が出来る可能性があるのに、その労を惜しんでいる場合には、厳しく指摘して安易な情報収集の悪い癖を直すように、指導すべきです。この場面で安易に妥協すると表面的なありふれた情報を集めることしか出来なくなります。
 
上記の(3)~(7)は、第2回以降に連続して記述します。
 
                   

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この記事の著者

新庄 秀光

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