守秘義務は情報社会の命綱

投稿日

 

1. 顧客データの管理

 O社は、技術志向のエンジニアリング会社です。 扱う製品の設計図には、さまざまな情報が含まれています。クライアントから預かった設計図は、新製品戦略がどんな商材であるのかを明確に語ります。 たとえば、製品部品のボディーレンズ部、シャッター部、バッテリー部といったようにバラバラに複数の会社に部品発注したとしても、同業者がその一部を見れば、それがどんな性能を持つカメラなのか、すぐ見ぬかれてしまい、先を越されることも、あるでしょう。そのため、O社は図面や原価計算データ、検査標準や加工するためのツールは、全社員が慎重に取扱っています。
 
 情報マネジメント
 
 ある日、重要な得意先であるY社の責任者が、O社を訪れました。O社のような業種では、案件ごとに作業場を囲み、現場も資料も他社に絶対見えないようにするのが商道徳になっています。 当日、担当者はY社の責任者に対し、進み具合や納品の見通し、そして、十分に機密保持に留意していることを説明しました。現場では、Y社の責任者も満足しているように見えました。
 
 ところが、翌日、Y社から厳しい叱責の電話が入りました。Y社の責任者が、会議室で説明を受けた時、ゴミ箱に捨てられていたメモの破片が、図面のウラ紙であることを見つけたのです。 情報化社会では、コピー機への原紙の忘れやミスコピーの処理、パソコンのデータ消去、FAXボードの消忘れ等、身の周りに守秘義務の範囲のものがたくさんあります。機密漏洩で取引停止やペナルティーを課せられて倒産した会社も少なくありません。 機密保持は情報社会の命綱であり、細心の注意を払う必要があります。
 

2. 基本は4S

 情報は、現在の企業活動の経営資源としては、最大な資源ではないでしょうか。特に技術情報は激しい企業間競争においては、企業生命を決めると云っても過言ではありません。また、機密事項を取り扱うにあたっ...
 

1. 顧客データの管理

 O社は、技術志向のエンジニアリング会社です。 扱う製品の設計図には、さまざまな情報が含まれています。クライアントから預かった設計図は、新製品戦略がどんな商材であるのかを明確に語ります。 たとえば、製品部品のボディーレンズ部、シャッター部、バッテリー部といったようにバラバラに複数の会社に部品発注したとしても、同業者がその一部を見れば、それがどんな性能を持つカメラなのか、すぐ見ぬかれてしまい、先を越されることも、あるでしょう。そのため、O社は図面や原価計算データ、検査標準や加工するためのツールは、全社員が慎重に取扱っています。
 
 情報マネジメント
 
 ある日、重要な得意先であるY社の責任者が、O社を訪れました。O社のような業種では、案件ごとに作業場を囲み、現場も資料も他社に絶対見えないようにするのが商道徳になっています。 当日、担当者はY社の責任者に対し、進み具合や納品の見通し、そして、十分に機密保持に留意していることを説明しました。現場では、Y社の責任者も満足しているように見えました。
 
 ところが、翌日、Y社から厳しい叱責の電話が入りました。Y社の責任者が、会議室で説明を受けた時、ゴミ箱に捨てられていたメモの破片が、図面のウラ紙であることを見つけたのです。 情報化社会では、コピー機への原紙の忘れやミスコピーの処理、パソコンのデータ消去、FAXボードの消忘れ等、身の周りに守秘義務の範囲のものがたくさんあります。機密漏洩で取引停止やペナルティーを課せられて倒産した会社も少なくありません。 機密保持は情報社会の命綱であり、細心の注意を払う必要があります。
 

2. 基本は4S

 情報は、現在の企業活動の経営資源としては、最大な資源ではないでしょうか。特に技術情報は激しい企業間競争においては、企業生命を決めると云っても過言ではありません。また、機密事項を取り扱うにあたって、運命共同体的な関係を維持しないかぎり、連携は続くことはありません。信頼を得ることができず、一度のミスが命取りになるのです。 最近では、個人情報も厳重に管理されていますが、それでもトラブルが絶えないのが 現状です。Pマークを導入しても、社員にその意識が無ければ、漏れてしまいます。 心に鍵がかかっていない限り、事故は発生します。ES(従業員満足)が重要視される由縁です。 やはり基本は、4Sにあるのです。
  

   続きを読むには・・・


この記事の著者

石川  昌平

(株)I&C・HosBizセンターの連絡窓口です

(株)I&C・HosBizセンターの連絡窓口です


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
分析結果が妥当かを、判断する前提知識とは データ分析講座(その77)

◆ 現場を知らなすぎると呆れられる分析者達  データ分析結果を疑われる時、それは「現場を知らなすぎる」と呆れられている時です。現場にいる人が自らデー...

◆ 現場を知らなすぎると呆れられる分析者達  データ分析結果を疑われる時、それは「現場を知らなすぎる」と呆れられている時です。現場にいる人が自らデー...


データ活用の失敗をデータで判断することのできない人々 データ分析講座(その165)

  ◆データ活用で達成すべき「本来の目的」は何ですか?  「データを活用し何かしよう」という取り組みは、10年前と比べるとかなり増えてい...

  ◆データ活用で達成すべき「本来の目的」は何ですか?  「データを活用し何かしよう」という取り組みは、10年前と比べるとかなり増えてい...


セーフティシステムのセキュリティ対策 制御システム(その4)

  【制御システム 連載目次】 1. セキュリティ脅威と歴史 2. サイバー攻撃事例、情報システムとの違い 3. リスク分析とセキュ...

  【制御システム 連載目次】 1. セキュリティ脅威と歴史 2. サイバー攻撃事例、情報システムとの違い 3. リスク分析とセキュ...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
人的資源マネジメント:製品開発の滞留を引き起こすファイルとは(その2)

 今回は、PDM/PLMに代表される製品開発業務のIT化をどのように考え、進めるのがよいのかについて解説します。    前回まで続けていたテ...

 今回は、PDM/PLMに代表される製品開発業務のIT化をどのように考え、進めるのがよいのかについて解説します。    前回まで続けていたテ...


‐クレ-ム情報を開発に活用‐  製品・技術開発力強化策の事例(その13)

 前回の事例その12に続いて解説します。顧客から出されたクレ-ムは、技術開発や、関連製品の開発の可能性を潜在させている場合が多いようです。その視点からクレ...

 前回の事例その12に続いて解説します。顧客から出されたクレ-ムは、技術開発や、関連製品の開発の可能性を潜在させている場合が多いようです。その視点からクレ...


ソフトウェア特許とは(その2)

4.ソフトウェア特許のとり方    前回のその1に続いて解説します。    ソフトウェア特許の取得方法にはノウハウがあります。特許のことを知らない...

4.ソフトウェア特許のとり方    前回のその1に続いて解説します。    ソフトウェア特許の取得方法にはノウハウがあります。特許のことを知らない...