製品・技術開発力強化策の事例(その13)‐クレ-ム情報を開発に活用‐

 前回の事例その12に続いて解説しますinfo997顧客から出されたクレ-ムは、技術開発や、関連製品の開発の可能性を潜在させている場合が多いようです。その視点からクレ-ムが発生したら、その使用状態や発生原因を徹底に追求する方針を取っている企業が多く見られます。顧客の使用の仕方が間違っていると、解釈して処理していまうだけではなく、何故そのような使用の仕方をしたのか、状況を詳しく調べることで、企業の開発力や信用にプラスの影響を与えることが可能です。
 
 クレ-ム処理に費やす時間が惜しい、販売額よりもクレ-ム処理費の方が高くつく、そのような目先の損得判断によりクレ-ム対策に力を入れない企業は、情報収集の重要な手段を捨てていることに等しく、発展の可能性が乏しいようです。
 
 納入先から、不良品に関する再発防止策を報告するように義務づけられている例は、下請け企業の場合多く見られますが、その報告書を、適当に作文して済ませている企業がかなり存在しています。そして、この現状に気づいていない経営者もおられます。このような問題を経営者としてチェックしていないようでは、怠慢のそしりを受けてもやむを得ません。作文の習慣を見逃していると、従業員は適当にその場を逃れる要領を覚える事が上手になり、問題の発生から教訓を学び取る貴重な機会を失っていきます。つまり、次々と損失を潜在させたままで放置するような企業体質になっている事実を自覚しなければなりません。
 

1.事例:クレ-ムを肌で感じさせて技術開発へ

 金型メ-カ-のT社では、製品納入後に発生したクレ-ムに関して、問題を発生させたと見なされる作業担当者を納入先に訪問させ、クレ-ムのお詫びと発生原因の把握に務めさせます。その際のルールとして、言い訳をしてはいけないことにしています。言い訳をすることで納入先の心証を悪くします。
 
 クレ-ム処理が一段落した後、クレ-ム処理に伴い取引先に出向いた関係者が中心になって、クレ-ム処理報告会を開催し、それぞれの経過と対策に関する資料を提出し、再発防止に関する技術面での対策について検討が行われます。
 
 この検討の中から単なる再発防止のための手引きの作成で終わる事なく、より優れた工法を開発する手掛かりが得られる場合もあります。今までの慣習で行われていた工法や設計の思想について、疑問を抱く機会になり、それがきっかけで研究課題が浮き上がってくる事も珍しくありません。T社ではクレ-ムの発生から、生産技術の開発や作業法の改善に関する教訓を導き出す貴重な機会になっています。
 

2.事例:粉体機械のメ-カ-

 粉体機械のメ-カ-であるM社では、機械の受注に先立ち顧客の要求事項を把握した上で、資料の供給を受けて社内に設けられている試験設備で試験を行い、設計資料を抽出した上で製品化しています。
 
 ところが入念に研究の上、開発した...
 前回の事例その12に続いて解説しますinfo997顧客から出されたクレ-ムは、技術開発や、関連製品の開発の可能性を潜在させている場合が多いようです。その視点からクレ-ムが発生したら、その使用状態や発生原因を徹底に追求する方針を取っている企業が多く見られます。顧客の使用の仕方が間違っていると、解釈して処理していまうだけではなく、何故そのような使用の仕方をしたのか、状況を詳しく調べることで、企業の開発力や信用にプラスの影響を与えることが可能です。
 
 クレ-ム処理に費やす時間が惜しい、販売額よりもクレ-ム処理費の方が高くつく、そのような目先の損得判断によりクレ-ム対策に力を入れない企業は、情報収集の重要な手段を捨てていることに等しく、発展の可能性が乏しいようです。
 
 納入先から、不良品に関する再発防止策を報告するように義務づけられている例は、下請け企業の場合多く見られますが、その報告書を、適当に作文して済ませている企業がかなり存在しています。そして、この現状に気づいていない経営者もおられます。このような問題を経営者としてチェックしていないようでは、怠慢のそしりを受けてもやむを得ません。作文の習慣を見逃していると、従業員は適当にその場を逃れる要領を覚える事が上手になり、問題の発生から教訓を学び取る貴重な機会を失っていきます。つまり、次々と損失を潜在させたままで放置するような企業体質になっている事実を自覚しなければなりません。
 

1.事例:クレ-ムを肌で感じさせて技術開発へ

 金型メ-カ-のT社では、製品納入後に発生したクレ-ムに関して、問題を発生させたと見なされる作業担当者を納入先に訪問させ、クレ-ムのお詫びと発生原因の把握に務めさせます。その際のルールとして、言い訳をしてはいけないことにしています。言い訳をすることで納入先の心証を悪くします。
 
 クレ-ム処理が一段落した後、クレ-ム処理に伴い取引先に出向いた関係者が中心になって、クレ-ム処理報告会を開催し、それぞれの経過と対策に関する資料を提出し、再発防止に関する技術面での対策について検討が行われます。
 
 この検討の中から単なる再発防止のための手引きの作成で終わる事なく、より優れた工法を開発する手掛かりが得られる場合もあります。今までの慣習で行われていた工法や設計の思想について、疑問を抱く機会になり、それがきっかけで研究課題が浮き上がってくる事も珍しくありません。T社ではクレ-ムの発生から、生産技術の開発や作業法の改善に関する教訓を導き出す貴重な機会になっています。
 

2.事例:粉体機械のメ-カ-

 粉体機械のメ-カ-であるM社では、機械の受注に先立ち顧客の要求事項を把握した上で、資料の供給を受けて社内に設けられている試験設備で試験を行い、設計資料を抽出した上で製品化しています。
 
 ところが入念に研究の上、開発した製品であっても、クレ-ムが発生することがあります。供給された資料に基づいての設計であったが、納入先に設置された設備の環境調査(温度や湿度など)が不足していたために、それがクレ-ム発生の原因になる事があります。T社ではこれらのクレ-ム資料を蓄積するため、取引先の了解を得てクレ-ムの発生原因と考えられる環境の計測を行い、デ-タベ-スを構築して、以降の設計に活用しています。更に、受注仕様調査書に記載されている項目に新たに判った環境デ-タの記入欄を追加して、類似の問題が発生しないように対処しています。この方法を講じるようになってから、類似のクレ-ム発生は非常に少なくなり、製品開発の設計資料として活用されています。
 

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この記事の著者

新庄 秀光

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