知識・経験を物理量で整理する 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その67)

更新日

投稿日

技術マネジメント

 前回までは、知識や経験を時系列で整理するという話をしてきましたが、当然時系列以外の物理量という軸があります。今回からは「知識・経験を物理量で整理する」をテーマに、解説します。

1. イノベーションに結び付く物理量

 ネットで調べると物理量とは、「物質系の物理的な性質・状態を表現する量。普通、一個の数値または一組の複数個の数値によって表され」とあります。ただし、ここでは物質系だけでなく、感覚や心理など非物質的なものも含めたものと、もう少し広く捉えたものとして議論していきたいと思います。

 またその対象も、この連載の大きなテーマが「普通の組織をイノベーティブにする処方箋」ですので、もっぱらイノベーションに結び付く物理量を対象にすることとします。

2. イノベーションに結び付く物理量:3つの視点

 イノベーションの定義は、このメルマガの連載を通じて、企業を対象として「今まで存在していない大きな顧客価値」と定義しています。私のセミナーにご参加いただいた経験のある方は、いつもセミナーの最初でご説明しているものです。

 従って、市場側の話にしても、技術側の話にしても、イノベーションに結びつく物理量とは、大きな顧客価値、競争の回避(「今まで存在していない」に相当)に結び付くものとすることができます。

 それに加え、このイノベーションの定義はコスト面の要素が入っていないので(すなわち大きなコスト低減をもたらすもの)、もう一つコスト低減を加え、大きな顧客価値、競争の回避、大きなコスト低減の3つに貢献する物理量と考えたいと思います。

3. 物理量が多い、少ないを議論するための対象の分割

 物理量の多い、少ないで知識・経験を整理するには、複数の対象のセグメントを決めないといけません。そのためには切り口が必要です。切り口を考える上では、以下の2点を考える必要があります。

(1)「3つの視点」への貢献の物理量の大小

 あるセグメントの物理量は大きいが、別のセグメントの物理量は小さい、あるセグメントの物理量はその中間といったようなものです。その物理量の差が際立つような切り口が適正な切り口となります。

 例えば、市場での議論であれば、あるポイントについての困り具合の差などがあります。ある市場セグメントの人達はその点について大変困っている、別の市場セグメントの人達は全然困っていない、とったものです。この場合物...

技術マネジメント

 前回までは、知識や経験を時系列で整理するという話をしてきましたが、当然時系列以外の物理量という軸があります。今回からは「知識・経験を物理量で整理する」をテーマに、解説します。

1. イノベーションに結び付く物理量

 ネットで調べると物理量とは、「物質系の物理的な性質・状態を表現する量。普通、一個の数値または一組の複数個の数値によって表され」とあります。ただし、ここでは物質系だけでなく、感覚や心理など非物質的なものも含めたものと、もう少し広く捉えたものとして議論していきたいと思います。

 またその対象も、この連載の大きなテーマが「普通の組織をイノベーティブにする処方箋」ですので、もっぱらイノベーションに結び付く物理量を対象にすることとします。

2. イノベーションに結び付く物理量:3つの視点

 イノベーションの定義は、このメルマガの連載を通じて、企業を対象として「今まで存在していない大きな顧客価値」と定義しています。私のセミナーにご参加いただいた経験のある方は、いつもセミナーの最初でご説明しているものです。

 従って、市場側の話にしても、技術側の話にしても、イノベーションに結びつく物理量とは、大きな顧客価値、競争の回避(「今まで存在していない」に相当)に結び付くものとすることができます。

 それに加え、このイノベーションの定義はコスト面の要素が入っていないので(すなわち大きなコスト低減をもたらすもの)、もう一つコスト低減を加え、大きな顧客価値、競争の回避、大きなコスト低減の3つに貢献する物理量と考えたいと思います。

3. 物理量が多い、少ないを議論するための対象の分割

 物理量の多い、少ないで知識・経験を整理するには、複数の対象のセグメントを決めないといけません。そのためには切り口が必要です。切り口を考える上では、以下の2点を考える必要があります。

(1)「3つの視点」への貢献の物理量の大小

 あるセグメントの物理量は大きいが、別のセグメントの物理量は小さい、あるセグメントの物理量はその中間といったようなものです。その物理量の差が際立つような切り口が適正な切り口となります。

 例えば、市場での議論であれば、あるポイントについての困り具合の差などがあります。ある市場セグメントの人達はその点について大変困っている、別の市場セグメントの人達は全然困っていない、とったものです。この場合物理量は困り具合となります。

 このように、上の「3つの視点」を規定する代表的な物理量において大小の大きな差が出てくる切り口が、優れた分割の切り口と言うことができます。

(2) 物理量を生み出すドライバーの相違

 しかし、そのような「3つの視点」を規定する物理量において、その大小の差が出てくる切り口と物理量が見つかり、そしてそこに基づき対象をセグメントに分割しても、同じセグメントであってもその物理量を拡大する要因、すなわちドライバーが異なれば、それはその対象のセグメントを更に分けなければなりません。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
環状構造で整理する 普通の組織をイノベーティブにする処方箋(その91)

◆関連解説記事『技術マネジメントとは』    今回は、KETICモデルの「思考」の中の、「知識・経験を関係性で整理する」の下記(4)「環...

◆関連解説記事『技術マネジメントとは』    今回は、KETICモデルの「思考」の中の、「知識・経験を関係性で整理する」の下記(4)「環...


イノベーションの発想 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その123)

  前回、前々回に引き続き、今回も「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にもとづき、日々の...

  前回、前々回に引き続き、今回も「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にもとづき、日々の...


「期」について 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その64)

 今回も、前回に引き続き、「思い付く」ための「知識・経験を整理するフレームワーク」の中の、知識・経験を時系列で整理する「期」ついて解説します。 ◆関...

 今回も、前回に引き続き、「思い付く」ための「知識・経験を整理するフレームワーク」の中の、知識・経験を時系列で整理する「期」ついて解説します。 ◆関...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
設計部門とリスク管理(その2)

【設計部門とリスク管理 連載目次】 1. リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成 2. コンティンジェンシープランの注意事項 3. リスク管理...

【設計部門とリスク管理 連載目次】 1. リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成 2. コンティンジェンシープランの注意事項 3. リスク管理...


国際財務報告基準への技術部門の対応とは

1. 国際財務報告基準とは    国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)...

1. 国際財務報告基準とは    国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)...


‐現場観察のチェックポイント‐  製品・技術開発力強化策の事例(その8)

 前回の事例その7に続いて解説します。現場観察はどのような場合でも非常に大切です。 価値ある情報をくみ上げる観察力を絶えず自己啓発する必要があります。現場...

 前回の事例その7に続いて解説します。現場観察はどのような場合でも非常に大切です。 価値ある情報をくみ上げる観察力を絶えず自己啓発する必要があります。現場...