・見出しの番号は、前回からの連番です。
妄想はネガティブに捉えられがちですが、私は妄想はイノベーション創出において、極めて重要な役割を果たすものであると考えています。引き続き、妄想のすすめについて解説します。妄想をするには、それなりにエネルギーが必要になります。そのようなエネルギーを生み出すためには、それなりの心構えや工夫が必要になります。今回も引き続き、妄想を積極的に促す方法について、考えてみたいと思います。
17. 妄想を積極的に促す方法(その17):妄想を得意とする身近な人の思考・行動を知る
皆さんがこれまで出会ってきた人の中には、妄想を得意とする人がいるのではないかと思います。私にも、数は大変限られていますが、妄想の得意な人を同僚や友人にもった経験があります。これまで「妄想を積極的に促す方法」を数多くあげてきましたが、まさに彼らはこれらの特質を強く持っている傾向があります。私のかつての同僚で、その後、彼はその当時はめずらしい業種のベンチャー企業を立ち上げ、さらには私がその会社に転職して一緒に数年ですが、社長・部下の関係で仕事をした経験があります。
彼の思考や行動を見てみると、常日頃からさまざまなことに広く関心を持つということがありました。また普通の人から見ると軽率に思えること、そして実際に軽率なことにも、あまりその結果を深く考えずに行動にうつす。そのため、人から軽率なある意味ルーズな人間と思われていることもあります。そして、それら軽率な行動の結果大きな失敗を含め、失敗を沢山する。その失敗は時に他人や会社に迷惑をかけることもありますが、憎めない性格で、ひどくは非難されません(もともと彼は、他人を悪く思ったりすることがないようで、私は彼が他人の悪口を言ったことを聞いたことはありません)。ただし、そのような性格なので、彼は日本の歴史のある有名大企業では、あまり出世はしていなかったと思います。また彼は難関大学を出ているものの、決して頭の回転の速いスマートな人間ではありません。
今この文章を書いていて、気がついたことがあります。私のもう一人の妄想の得意な友人(女性です)も、極めて彼と似た思考・行動パターンそして性格を持っていることです。時に軽率ととられかねない行動や発言をするものの、人から憎まれない性格です。また、彼女も決して頭の回転の速いスマートな人間ではありません。現在彼女はその妄想力、行動力そして人柄で(と思います)、社会でそれなりのポジションについています。
そしてさらにもう一つ気が付きました。この人は一緒にある会社の社外役員を経験した方です。その人は既にある分野で有名な人なのですが、まさに同じような思考、行動、性格を持っています。
皆さんの仕事や私的な関係でも、多かれ少なかれこのような人がいると思います。このような身近な人からその思考や行動を学ばない手はありません。私も今振り返ってみると、長年最初に挙げた同僚を自分のロールモデルと考え、自分の思考や行動の大いなる参考にしてきたように思えます。
18. 妄想を積極的に促す方法(その18):妄想を得意とする有名人の思考・行動を知る
上述の妄想を積極的に促す方法(その17)では、「妄想を得意とする「身近な」人の思考・行動を知る」と述べました。しかし、現実には身近な人では妄想の得意な人に遭遇する可能性はあまり高くはありません。また、脳科学者の中野信子によると、日本人は歴史的にも妄想を得意とする人が少ないという事実もあるようです。
そうであれば、身近でなくても、古...