イノベーションの創出 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その125)

投稿日

技術マネジメント

 

今回も前回と同様「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にもとづき、日々の活動の中でどうイノベーションを創出するかについて解説します。

 

◆前回の提示内容:「小イノベーションを起こすには前提を常に問い直せ」

前回は小イノベーションを起こすために、その前提を常に問い直す必要性を説明し、以下の4つの点を常に思考する重要性を提示しました。

 

  1.  今考えている前提は正しいか?(前回の「 正しい前提は何かを問う」から変更)
  2.  その前提の変化の可能性を考える
  3.  その他の前提を考える
  4.  それら前提の軽重を評価する

 

●「1. 今考えている前提は正しいか?」

今考えている前提が間違っている場合として、以下の3つがあるように思えます。一つ一つ解説します。

 

〇1.今考えている前提は正しいかA:今考えている前提は特異点
〇1.今考えている前提は正しいかB:今考えている前提は誤り
   -1.今考えている前提は正しいかB1:「自分」の誤った思考や経験に基づく
   -1.今考えている前提は正しいかB2:「他人」の誤った思考や経験を墨守
〇1.今考えている前提は正しいかC:今考えている前提は余分な誤った前提を含んでいる

 

〇1A:今考えている前提は特異点

日々の活動の中、もしくは主体的な観察の中である興味深い発見をした場合、それは特異な例であるということ、もしくは全体の前提の一部のみが表出しているだけということは現実は起こります。しかし、次の点から実際以上に過度に強力な前提条件となるということがありえます。特にこれらの要素が複数組み合わさることで、その確信度は多いに高まります。

 

  • それが自身にとって興味深かったり関心があること
  • 自分自身の過去の経験や思いと整合性があること
  • 目の前に現実のものとして存在すること
  • 全くの誤りではなく、一部の真実が含まれていること
  • そう考えることに自分にとってのメリットがあること

 

実際以上に過度に強力な前提条件となるということがありえます。特にこれらの要素が複数組み合わさることで、その確信度は多いに高まります。

 

まさに今起こっているロシアのウクライナの侵攻に関して、ロシアの国民の間ではプーチンの指示が高まっているというのは、このような前提があるからと思います。当然ロシアの国民がウクライナというロシア系住民が一部居住する国で迫害された自国民を助けるということには多いに関心があります(「それが自身にとって興味深かったり関心があること」)。

 

また第二次世界大戦を初め、ロシアの他国に侵略された歴史からロシア系住民の迫害はロシア人の彼らの経験や思いとは強い整合性があります(「自分自身の過去の経験や思いと整合性があること」)。

 

また国営放送などでロシア系住民を助けている映像が放映されていること(「目の前に現実のものとして存在すること」)。

 

ロシア系住民の迫害は、その程度や範囲はどうあれ、現実に起こってきたこと(「全くの誤りではなく、一部の真実が含まれていること」)。

...

技術マネジメント

 

今回も前回と同様「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にもとづき、日々の活動の中でどうイノベーションを創出するかについて解説します。

 

◆前回の提示内容:「小イノベーションを起こすには前提を常に問い直せ」

前回は小イノベーションを起こすために、その前提を常に問い直す必要性を説明し、以下の4つの点を常に思考する重要性を提示しました。

 

  1.  今考えている前提は正しいか?(前回の「 正しい前提は何かを問う」から変更)
  2.  その前提の変化の可能性を考える
  3.  その他の前提を考える
  4.  それら前提の軽重を評価する

 

●「1. 今考えている前提は正しいか?」

今考えている前提が間違っている場合として、以下の3つがあるように思えます。一つ一つ解説します。

 

〇1.今考えている前提は正しいかA:今考えている前提は特異点
〇1.今考えている前提は正しいかB:今考えている前提は誤り
   -1.今考えている前提は正しいかB1:「自分」の誤った思考や経験に基づく
   -1.今考えている前提は正しいかB2:「他人」の誤った思考や経験を墨守
〇1.今考えている前提は正しいかC:今考えている前提は余分な誤った前提を含んでいる

 

〇1A:今考えている前提は特異点

日々の活動の中、もしくは主体的な観察の中である興味深い発見をした場合、それは特異な例であるということ、もしくは全体の前提の一部のみが表出しているだけということは現実は起こります。しかし、次の点から実際以上に過度に強力な前提条件となるということがありえます。特にこれらの要素が複数組み合わさることで、その確信度は多いに高まります。

 

  • それが自身にとって興味深かったり関心があること
  • 自分自身の過去の経験や思いと整合性があること
  • 目の前に現実のものとして存在すること
  • 全くの誤りではなく、一部の真実が含まれていること
  • そう考えることに自分にとってのメリットがあること

 

実際以上に過度に強力な前提条件となるということがありえます。特にこれらの要素が複数組み合わさることで、その確信度は多いに高まります。

 

まさに今起こっているロシアのウクライナの侵攻に関して、ロシアの国民の間ではプーチンの指示が高まっているというのは、このような前提があるからと思います。当然ロシアの国民がウクライナというロシア系住民が一部居住する国で迫害された自国民を助けるということには多いに関心があります(「それが自身にとって興味深かったり関心があること」)。

 

また第二次世界大戦を初め、ロシアの他国に侵略された歴史からロシア系住民の迫害はロシア人の彼らの経験や思いとは強い整合性があります(「自分自身の過去の経験や思いと整合性があること」)。

 

また国営放送などでロシア系住民を助けている映像が放映されていること(「目の前に現実のものとして存在すること」)。

 

ロシア系住民の迫害は、その程度や範囲はどうあれ、現実に起こってきたこと(「全くの誤りではなく、一部の真実が含まれていること」)。

 

同じ人種であるロシア系住民の迫害を止める活動が行われていること(「そう考えることに自分にとってのメリットがあること」)。

 

まさにこれら要素が組み合わさることで、ロシアの国民の間では、西側の人間には真っ赤な嘘で卑劣なこと思えるようなことに対しても、支持をするということが起こるのではないかと思います。プーチンはもとスパイとしてまさに、このような人間の心理のことを知り尽くして、巧妙なプロパガンダを繰り返していると言えます。

 

次回に続きます。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
『価値づくり』の研究開発マネジメント (その5)

  前回は、「自社の市場と技術を目いっぱい広げ活動する」の中の「市場」について議論しました。今回は「技術を目いっぱい拡大」に関する活動を議...

  前回は、「自社の市場と技術を目いっぱい広げ活動する」の中の「市場」について議論しました。今回は「技術を目いっぱい拡大」に関する活動を議...


関係性の種類、協調とは 普通の組織をイノベーティブにする処方箋(その99)

 現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」をテーマに解説しています。今回は前回に続き「協調」について考えてみます。 ◆関連解説記...

 現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」をテーマに解説しています。今回は前回に続き「協調」について考えてみます。 ◆関連解説記...


設計品質の作り込みと、人的設計ミス防止策(その2)

  【設計品質の作り込みと人的設計ミス防止策 連載目次】 1. 設計品質とはなにか 2. 設計プロセスと設計ミス回避策 3. 設計ミ...

  【設計品質の作り込みと人的設計ミス防止策 連載目次】 1. 設計品質とはなにか 2. 設計プロセスと設計ミス回避策 3. 設計ミ...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
製品設計におけるトレードオフのコントロールとは

        今回は、次のような想定で、製品設計におけるトレードオフのコントロールをどう考えればよいかを解...

        今回は、次のような想定で、製品設計におけるトレードオフのコントロールをどう考えればよいかを解...


先行技術テーマを企画段階で評価するには

1.先行技術開発    イノベーション、すなわち価値創造がものづくり企業におけるR&Dのミッションとして期待される中で、それを実現す...

1.先行技術開発    イノベーション、すなわち価値創造がものづくり企業におけるR&Dのミッションとして期待される中で、それを実現す...


設計部門と組織政治の影響(その3)

 前回のその2に続いて解説します。   ◆政治的要因の検討で決まるスケジュールの確度・精度    日程を決めるときには、仕組み...

 前回のその2に続いて解説します。   ◆政治的要因の検討で決まるスケジュールの確度・精度    日程を決めるときには、仕組み...