思い付くには何が必要か 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その60)

更新日

投稿日

 

技術マネジメント

 前回は思考の構成要素として、「その1:思い付く」と「その2:思い付いたことの発展」があるという話をしました。今回からは「その1:思い付く」には何が必要かについて、議論していきたいと思います。

1. 効率的に「思い付く」ために必要な2つのこと

 「思い付く」ためには、何が必要でしょうか?それには、まずは当然のこと知識や経験が必要です。アイデアは何もないところからは生まれません。この部分は、ここまでKETICモデルのK:Knowledge(知識)とE:Experience(経験)でずっと議論をしてきたものです。

 この知識と経験だけで、自然発生的に「思い付く」ことはもちろんあるのですが、より効率的に「思い付く」には、加えて思い付きに至るプロセスを促進するための思考のフレームワークが有効です。

2.「思い付く」ための思考のフレームワークの構成要素

 更に、「思い付く」ための思考のフレームワークは2つの部分から構成されているように思えます。1つは蓄積した知識や経験から思い付きが起こり易くするための下地を整える「整理するフレームワーク」と、もう1つはそこからの思い付きをより積極的に引き出す、すなわち発想するための「発想のフレームワーク」です。

3. 整理するフレームワーク

 整理するフレームワークの基本プロセスは、大きくは2つあります。まず1つ目が、整理する対象の知識や経験を一度分割する作業です。そして2つ目が、その分割した構成要素を何かしらの整理の切り口で再構成するという作業です。もちろん1つ目の作業と2つ目の作業は密接に関係していて、1つ目の分割する作業は当然、2つ目の作業で再構成することを考えて分割します。

 したがって、この基本プロセスは、明確に独立して行われるのではなく、現実には行ったり来たりしながら進められることになります。

4. 全体を広く俯瞰的に捉える

 この「整理するフレームワーク」で忘れてならない点が、その対象をできるだけ広く捉えて整理することです。一部のみを捉えての整理では、後の「発想のフレームワーク」で、沢山の良...

 

技術マネジメント

 前回は思考の構成要素として、「その1:思い付く」と「その2:思い付いたことの発展」があるという話をしました。今回からは「その1:思い付く」には何が必要かについて、議論していきたいと思います。

1. 効率的に「思い付く」ために必要な2つのこと

 「思い付く」ためには、何が必要でしょうか?それには、まずは当然のこと知識や経験が必要です。アイデアは何もないところからは生まれません。この部分は、ここまでKETICモデルのK:Knowledge(知識)とE:Experience(経験)でずっと議論をしてきたものです。

 この知識と経験だけで、自然発生的に「思い付く」ことはもちろんあるのですが、より効率的に「思い付く」には、加えて思い付きに至るプロセスを促進するための思考のフレームワークが有効です。

2.「思い付く」ための思考のフレームワークの構成要素

 更に、「思い付く」ための思考のフレームワークは2つの部分から構成されているように思えます。1つは蓄積した知識や経験から思い付きが起こり易くするための下地を整える「整理するフレームワーク」と、もう1つはそこからの思い付きをより積極的に引き出す、すなわち発想するための「発想のフレームワーク」です。

3. 整理するフレームワーク

 整理するフレームワークの基本プロセスは、大きくは2つあります。まず1つ目が、整理する対象の知識や経験を一度分割する作業です。そして2つ目が、その分割した構成要素を何かしらの整理の切り口で再構成するという作業です。もちろん1つ目の作業と2つ目の作業は密接に関係していて、1つ目の分割する作業は当然、2つ目の作業で再構成することを考えて分割します。

 したがって、この基本プロセスは、明確に独立して行われるのではなく、現実には行ったり来たりしながら進められることになります。

4. 全体を広く俯瞰的に捉える

 この「整理するフレームワーク」で忘れてならない点が、その対象をできるだけ広く捉えて整理することです。一部のみを捉えての整理では、後の「発想のフレームワーク」で、沢山の良いアイデアに結びつかない可能性が高まります。

5.「整理するフレームワーク」の切り口

 それでは知識や経験を整理するフレームワークには、どのようなものがあるのでしょうか。次のような切り口があります。

  • 時系列(発生順)
  • 思考順
  • 関係性(最終的になんらかの大きな成果を生み出す原因と結果の構造)
  • 物理特性(大小、高低、長短、遠近、深浅、軽重など)
  • 位置(左右、上下、東西、南北、対立、反対、類似など) など

 次回もこの解説を続けます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
技術文書の品質管理(その3)技術文書の品質管理に必要なこと

【目次】 今回は「技術文書の品質管理に必要なこと」について「内容が明確に伝わる技術文書の書き方」の考え方に基づき解説します。 &n...

【目次】 今回は「技術文書の品質管理に必要なこと」について「内容が明確に伝わる技術文書の書き方」の考え方に基づき解説します。 &n...


イノベーションの創出 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その129)

  【この連載の前回へのリンク】 現在「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にむけて、日...

  【この連載の前回へのリンク】 現在「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にむけて、日...


イノベーション 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その145)

  イノベーションの活動を行うことを妨げる「失敗のコストのマネジメント」の解説をしていますが、今回もこの解説を続けたいと思います。 &n...

  イノベーションの活動を行うことを妨げる「失敗のコストのマネジメント」の解説をしていますが、今回もこの解説を続けたいと思います。 &n...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
女性視点の製品アイデア発想事例

 「女性活躍推進」に優れた「なでしこ銘柄」と呼ばれる上場企業が、平成25年度で26社存在します。しかし、私もソニー時代からハードウェアエンジニアですが、モ...

 「女性活躍推進」に優れた「なでしこ銘柄」と呼ばれる上場企業が、平成25年度で26社存在します。しかし、私もソニー時代からハードウェアエンジニアですが、モ...


ハイヒール型プルタブオープナー  異分野市場での事業化事例 (その1)

「部品技術の見える化」で、B2Bの部品からB2Cの完成品事業に成功したクライアントの事例を紹介します。A社は、金属加工の部品メーカーであり、田植え機、AT...

「部品技術の見える化」で、B2Bの部品からB2Cの完成品事業に成功したクライアントの事例を紹介します。A社は、金属加工の部品メーカーであり、田植え機、AT...


進捗管理の精度を上げる:第3回 プロジェクト管理の仕組み (その15)

 回路図や実装図からは、端子数以外にも標準部品、後付部品、自動実装機部品などをカウントすることも可能です。図45 は、これらについて見積もり(計画)を作成...

 回路図や実装図からは、端子数以外にも標準部品、後付部品、自動実装機部品などをカウントすることも可能です。図45 は、これらについて見積もり(計画)を作成...