整理の為に考える要素、その中の物理量の選択 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その70)

更新日

投稿日

技術マネジメント

 前回のその69に続いて解説します。

 現在、収集した知識・経験をイノベーションに向けて整理するフレームワークを解説していますが、今回も前回に引き続き「知識・経験を物理量で整理する」に当たっての「整理の為に考える要素」からさらに、その中の物理量の選択について解説をします。

1. 物理量を選ぶ補助線:二字熟語

 世の中には数多くの物理量がありますが、それらの中から適切な物理量を選ぶ上でヒントとなる視点に、二字熟語があります。日本語には幸い二次熟語があり、その中で対局を表す二字熟語があり、それらは物理量を見つける補助線として役に立ちます。

 二字熟語の中で、大小、高低、長短、軽重、強弱、多少、前後、上下、左右、表裏などは誰でも考え、二字熟語などのフレームでなくても思い付くものですが、その他にいろいろな二字熟語があります。

 思い付くところを以下にあげます。

遠近、深浅、老若、男女、濃淡、凸凹、緩急、内外、貧富、着脱、東西、南北、紅白、白黒、
細太、冷熱、集散、同異、粗密、主客、本末、陰陽、欧亜、勝負、天地、硬軟、愛憎、明暗、
朝夕、有無、寒暖、晴雨、親子、甘辛、木石、兄弟、姉妹、昇降、昼夜、得失、彼我、自他、
泣笑、官民、山谷、師弟、心技、生死、加減、禍福、栄枯、盛衰、動静、固液、虚実、内外、
伸縮、苦楽、公私、雌雄、主従、新旧、清濁、出入、正邪、美醜、干満、難易、和洋、開閉、
後先、貴賤、難易、吉凶、喜怒、和戦、正誤、象具、起臥、文理、賞罰、開閉、攻守、躁鬱、
今昔、厚薄、古今、終始、善悪、単複、賛否、正逆、長幼、取捨、暑寒、真偽、真贋、進退、
君臣、信疑、貸借、直環、商工、気水、死活、将卒、乾湿、人馬など。

 二字熟語があれば四字熟語も可能性があるのですが、四字となると対立概念にはなりにくいことがあります。中には物理量の選択にヒントになるものもありますが(鶏口牛後、東西南北、栄枯盛衰など)、二字熟語程は数は多くないようです。

2. 新たな二次熟語を創作する

 これら以外にも、現実には二字熟語としては存在しないのですが、あってもよさそうなもので、自分で容易に創作できるものもあります。

 例えば、鋭鈍、賢愚、広狭、直曲、心縁、悪良、油水、薬毒、乱静、角丸、嫌好などが思い付きます。

3. 二字熟語の意味を広く捉えてみる

 上の一番最後に挙げた「嫌好」ですが、細菌には嫌気性細菌と好気性細菌があります。嫌気性細菌とは、生育に酸素を必要としない細菌で、好気性細菌とは逆に酸素を必要とする細菌です。

 「嫌好」は基本的に人間が主語となって使う言葉ですが、他の動植物(更には他の物質や環境)にも適用できるということです。現実に嫌気性細菌と好気性細菌の発見に「嫌好」という二字熟語が役に立...

技術マネジメント

 前回のその69に続いて解説します。

 現在、収集した知識・経験をイノベーションに向けて整理するフレームワークを解説していますが、今回も前回に引き続き「知識・経験を物理量で整理する」に当たっての「整理の為に考える要素」からさらに、その中の物理量の選択について解説をします。

1. 物理量を選ぶ補助線:二字熟語

 世の中には数多くの物理量がありますが、それらの中から適切な物理量を選ぶ上でヒントとなる視点に、二字熟語があります。日本語には幸い二次熟語があり、その中で対局を表す二字熟語があり、それらは物理量を見つける補助線として役に立ちます。

 二字熟語の中で、大小、高低、長短、軽重、強弱、多少、前後、上下、左右、表裏などは誰でも考え、二字熟語などのフレームでなくても思い付くものですが、その他にいろいろな二字熟語があります。

 思い付くところを以下にあげます。

遠近、深浅、老若、男女、濃淡、凸凹、緩急、内外、貧富、着脱、東西、南北、紅白、白黒、
細太、冷熱、集散、同異、粗密、主客、本末、陰陽、欧亜、勝負、天地、硬軟、愛憎、明暗、
朝夕、有無、寒暖、晴雨、親子、甘辛、木石、兄弟、姉妹、昇降、昼夜、得失、彼我、自他、
泣笑、官民、山谷、師弟、心技、生死、加減、禍福、栄枯、盛衰、動静、固液、虚実、内外、
伸縮、苦楽、公私、雌雄、主従、新旧、清濁、出入、正邪、美醜、干満、難易、和洋、開閉、
後先、貴賤、難易、吉凶、喜怒、和戦、正誤、象具、起臥、文理、賞罰、開閉、攻守、躁鬱、
今昔、厚薄、古今、終始、善悪、単複、賛否、正逆、長幼、取捨、暑寒、真偽、真贋、進退、
君臣、信疑、貸借、直環、商工、気水、死活、将卒、乾湿、人馬など。

 二字熟語があれば四字熟語も可能性があるのですが、四字となると対立概念にはなりにくいことがあります。中には物理量の選択にヒントになるものもありますが(鶏口牛後、東西南北、栄枯盛衰など)、二字熟語程は数は多くないようです。

2. 新たな二次熟語を創作する

 これら以外にも、現実には二字熟語としては存在しないのですが、あってもよさそうなもので、自分で容易に創作できるものもあります。

 例えば、鋭鈍、賢愚、広狭、直曲、心縁、悪良、油水、薬毒、乱静、角丸、嫌好などが思い付きます。

3. 二字熟語の意味を広く捉えてみる

 上の一番最後に挙げた「嫌好」ですが、細菌には嫌気性細菌と好気性細菌があります。嫌気性細菌とは、生育に酸素を必要としない細菌で、好気性細菌とは逆に酸素を必要とする細菌です。

 「嫌好」は基本的に人間が主語となって使う言葉ですが、他の動植物(更には他の物質や環境)にも適用できるということです。現実に嫌気性細菌と好気性細菌の発見に「嫌好」という二字熟語が役に立ったかどうかは分かりませんが、このようなキーワードはイノベーションに結び付く物理量を考える上で大いに役に立つのではないでしょうか?

 したがって、もとの意味だけではなく、その二字熟語の意味を広く捉えてみることが、大変重要と思います。

 

4.二字熟語をどう利用するか?

 すぐにはイノベーションに結び付くとは限らず、常に物理量を考える場は多くはありませんので、迂遠(うえん)に思えるかもしれませんが、この様な二字熟語(四字熟語)を常に考えてリストにしてみましょう。また、そのリストを時々眺め、上述したように広く考えてみるということは意味があることと思います。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
どう強みを未来志向で設定するのか 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その48)

        今回は、前回から引き続き「どう強みを未来志向で設定するのか」を解説します。前回は「将来に向か...

        今回は、前回から引き続き「どう強みを未来志向で設定するのか」を解説します。前回は「将来に向か...


短期開発プロセスのしくみづくり(その2)

【短期開発プロセスのしくみづくり 連載目次】 1. リードタイムが長くなる理由 2. 短期開発プロセスのしくみ構築を進めていく方法 3. 短期開...

【短期開発プロセスのしくみづくり 連載目次】 1. リードタイムが長くなる理由 2. 短期開発プロセスのしくみ構築を進めていく方法 3. 短期開...


法律 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その43)

        現在、この連載ではマクロ環境分析の解説をしていますが、今回は、PESTEL(Politica...

        現在、この連載ではマクロ環境分析の解説をしていますが、今回は、PESTEL(Politica...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
品質の仕組みとは2 プロジェクト管理の仕組み (その28)

 品質の仕組み、前回に続いて解説します。今回は、品質計画についてです。    計画の重要性は ISO9001でも「品質計画」として強調されて...

 品質の仕組み、前回に続いて解説します。今回は、品質計画についてです。    計画の重要性は ISO9001でも「品質計画」として強調されて...


追求するのは擦り合わせ能力を活かすマネジメント(その2)

 前回のその1に続いて解説します。それでは、まず「調整」の仕組みについて考えたいと思います。最初に質問です。調整の仕組みが欠如した製品開発はどのような状態...

 前回のその1に続いて解説します。それでは、まず「調整」の仕組みについて考えたいと思います。最初に質問です。調整の仕組みが欠如した製品開発はどのような状態...


設計者の流出防止策は 中国企業の壁(その21)

        前回、中国企業の設計者には、設計者としての考え方、知識、経験、どれもが不足している。そのために設計に起因する不良が発生し大きな問題に...

        前回、中国企業の設計者には、設計者としての考え方、知識、経験、どれもが不足している。そのために設計に起因する不良が発生し大きな問題に...