イノベーションの創出 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その126)

更新日

投稿日

技術マネジメント

 

【この連載の前回へのリンク】

【この連載の次回へのリンク】

今回も前回、前々回と同様、「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にもとづき、日々の活動の中でどうイノベーションを創出するかについて、解説します。今回は、今考えている前提が間違っている場合として、前回提示した4つの場合の内「自分の誤った思考や経験に基づいていないか?」を解説します。

 

 

◆前回の提示内容:「小イノベーションを起こすには前提を常に問い直せ」

前回は小イノベーションを起こすために、その前提を常に問い直す必要性を説明し、以下の4つの点を常に思考する重要性を提示しました。

  1. 今考えている前提は正しいか?(前回の「 正しい前提は何かを問う」から変更)
  2. その前提の変化の可能性を考える
  3. その他の前提を考える
  4. それら前提の軽重を評価する

 

●「1. 今考えている前提は正しいか?」

今考えている前提が間違っている場合として、以下の3つがあるように思えます。一つ一つ議論をしていきたいと思います。

〇1A:今考えている前提は特異点
〇1B:今考えている前提は誤り
-1B1:「自分」の誤った思考や経験に基づく
-1B2:「他人」の誤った思考や経験を墨守
〇1C:今考えている前提は余分な誤った前提を含んでいる

 

●1B1:「自分」の誤った思考や経験に基づいていないか?

人間は、思考においては、必ず過去の自分の思考の結果や経験に基づき行います。そもそも、それらがなければ、思考はできません。どんなに自分の頭脳の処理能力が高くても、そこへのインプットがなければ、アウトプットを出しようがないからです。

 

しかしここでの問題は、そのインプットが正しいかです。インプットには、今直近で収集した情報と過去からの蓄積の2つから構成されます。仮に直近の収集した情報が正しくても、過去からの蓄積の部分が誤っているのでは、間違ったアウトプットが出力されてしまいます。

 

過去からの蓄積に関しては、当然過去生きてきた数十年のみという時間的な制約、またその間に自分が身を置くことができた場所は限られているのですから、様々な面における自分自身の認識が間違っている可能性はかなり高いと言えます。

 

最近NHKのあるラジオ番組を聞いていて、その中で岩波ホールの支配人の高野律子さんが、「海外の映画を見ると、外国の人もまったく日本人と同じ思考をしているということと、全く異なる思考をしていることの2つがわかる」という趣旨の話をしていました。後者に関しては、海外というその場に身を置かなければ、知ることのできないことです。

 

このように、20世紀の後半から21世紀の前半という時に、日本という場に生活している我々にとって、全て正しい思考や経験をすることは土台不可能です。しかし、そのような限られた環境でもできる限り正しい経験や思考をする努力をすれば、そのような努力をしない場合に比べて、何倍もの正しい思考、経験をすることはできます。

 

●時間的な経験・思考の制約への対処

残念ながらタイムマシンでもない限り、過去を直接に経験することはありません。しかし、古今東西の数多くの研究者や著述家によるものを含め、過去に関する情報は沢山ありますます。また現在にも過去の活動の痕跡を残す歴史的な事物は数多く存在しています。

 

それらから、過去について学ぶことは可能です。イギリスの著名な歴史家であるトインビーは、「歴史の教訓は未来に関してなにものかをわれわれに教えるのである」、(A.J...

技術マネジメント

 

【この連載の前回へのリンク】

【この連載の次回へのリンク】

今回も前回、前々回と同様、「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にもとづき、日々の活動の中でどうイノベーションを創出するかについて、解説します。今回は、今考えている前提が間違っている場合として、前回提示した4つの場合の内「自分の誤った思考や経験に基づいていないか?」を解説します。

 

 

◆前回の提示内容:「小イノベーションを起こすには前提を常に問い直せ」

前回は小イノベーションを起こすために、その前提を常に問い直す必要性を説明し、以下の4つの点を常に思考する重要性を提示しました。

  1. 今考えている前提は正しいか?(前回の「 正しい前提は何かを問う」から変更)
  2. その前提の変化の可能性を考える
  3. その他の前提を考える
  4. それら前提の軽重を評価する

 

●「1. 今考えている前提は正しいか?」

今考えている前提が間違っている場合として、以下の3つがあるように思えます。一つ一つ議論をしていきたいと思います。

〇1A:今考えている前提は特異点
〇1B:今考えている前提は誤り
-1B1:「自分」の誤った思考や経験に基づく
-1B2:「他人」の誤った思考や経験を墨守
〇1C:今考えている前提は余分な誤った前提を含んでいる

 

●1B1:「自分」の誤った思考や経験に基づいていないか?

人間は、思考においては、必ず過去の自分の思考の結果や経験に基づき行います。そもそも、それらがなければ、思考はできません。どんなに自分の頭脳の処理能力が高くても、そこへのインプットがなければ、アウトプットを出しようがないからです。

 

しかしここでの問題は、そのインプットが正しいかです。インプットには、今直近で収集した情報と過去からの蓄積の2つから構成されます。仮に直近の収集した情報が正しくても、過去からの蓄積の部分が誤っているのでは、間違ったアウトプットが出力されてしまいます。

 

過去からの蓄積に関しては、当然過去生きてきた数十年のみという時間的な制約、またその間に自分が身を置くことができた場所は限られているのですから、様々な面における自分自身の認識が間違っている可能性はかなり高いと言えます。

 

最近NHKのあるラジオ番組を聞いていて、その中で岩波ホールの支配人の高野律子さんが、「海外の映画を見ると、外国の人もまったく日本人と同じ思考をしているということと、全く異なる思考をしていることの2つがわかる」という趣旨の話をしていました。後者に関しては、海外というその場に身を置かなければ、知ることのできないことです。

 

このように、20世紀の後半から21世紀の前半という時に、日本という場に生活している我々にとって、全て正しい思考や経験をすることは土台不可能です。しかし、そのような限られた環境でもできる限り正しい経験や思考をする努力をすれば、そのような努力をしない場合に比べて、何倍もの正しい思考、経験をすることはできます。

 

●時間的な経験・思考の制約への対処

残念ながらタイムマシンでもない限り、過去を直接に経験することはありません。しかし、古今東西の数多くの研究者や著述家によるものを含め、過去に関する情報は沢山ありますます。また現在にも過去の活動の痕跡を残す歴史的な事物は数多く存在しています。

 

それらから、過去について学ぶことは可能です。イギリスの著名な歴史家であるトインビーは、「歴史の教訓は未来に関してなにものかをわれわれに教えるのである」、(A.J.トインビー著、「歴史の教訓」、岩波書店、松本重治訳)と述べています。

 

●場所的な経験・思考の制約への対処

また我々は生まれ育った土地、また生活することのできた土地、また身を置いてきた場には、当然限度があります。一人の人生における数十年の間で経験できる場所また場は多くはありません。しかしそれでも、より多くの場を経験する活動をすることで、その経験は何倍にも拡大をすることができます。

 

それには2つの方向があります。一つは、文字通り様々な場を直接的に経験する機会を数多く持つことです。もう一つは、多様なバックグラウンドを持つ人達との接触を持ち、間接的に様々な場を経験することです。

 

次回に続きます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
『価値づくり』の研究開発マネジメント (その3)

     前回は、「自社の市場と技術を目いっぱい広げ活動する」というタイトルで、解説しました。今回は、その中で、「市場」につい...

     前回は、「自社の市場と技術を目いっぱい広げ活動する」というタイトルで、解説しました。今回は、その中で、「市場」につい...


恐れずに目標設定をするための仕組みとは 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その60)

◆ 不明確な状況であってもゴールを設定する 1. 不明確はデフォルト  先日コンサルティング現場で次のような事例を目にすることがありました。  ...

◆ 不明確な状況であってもゴールを設定する 1. 不明確はデフォルト  先日コンサルティング現場で次のような事例を目にすることがありました。  ...


アウトプット量を増やす効果とは 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その73)

   2020年は新コロナ騒動で、例年以上に何かと閉塞感を感じます。日常当たり前であった出張会議はほぼゼロへ、会議はオンラインへ移行し、こ...

   2020年は新コロナ騒動で、例年以上に何かと閉塞感を感じます。日常当たり前であった出張会議はほぼゼロへ、会議はオンラインへ移行し、こ...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
マトリクス体制での品質保証2 プロジェクト管理の仕組み (その31)

 前回のマトリクス体制での品質保証1に続いて解説します。品質計画は、製品開発に必要となる手順やリソースが誰によっていつ適用されるかを明確にした個別製品の開...

 前回のマトリクス体制での品質保証1に続いて解説します。品質計画は、製品開発に必要となる手順やリソースが誰によっていつ適用されるかを明確にした個別製品の開...


設計部門の仕組み構築(その3)

【設計部門の仕組み構築 連載目次】 1. 設計部門の仕組み構築 2. 設計部門の仕組み構築(解決すべき根本原因) 3. 設計部門の仕組み構築(具...

【設計部門の仕組み構築 連載目次】 1. 設計部門の仕組み構築 2. 設計部門の仕組み構築(解決すべき根本原因) 3. 設計部門の仕組み構築(具...


設計部門とリスク管理(その2)

【設計部門とリスク管理 連載目次】 1. リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成 2. コンティンジェンシープランの注意事項 3. リスク管理...

【設計部門とリスク管理 連載目次】 1. リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成 2. コンティンジェンシープランの注意事項 3. リスク管理...