原因結果、逆ピラミッド 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その74)

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技術マネジメント

 今回は、普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その73)で提示した原因の結果の4つの類型の内、3つ目の逆ピラミッドについて解説します。

1. 逆ピラミッド(複数の原因→1つの結果):まさにシュンペーターのイノベーションの定義

 この複数の原因から一つの結果が生まれる関係を上下の図で表現すると逆ピラミッドの構造となるために、ここではこの類型を「逆ピラミッド」と呼んでいます。

 これはまさに、シュンペーターのいう「既存の知識の新結合でイノベーションが起こる」状況を言っています。

2. 逆ピラミッドが起こる3つの要件

 この逆ピラミッドが起こる要件は以下の3つです。

  • 要件1:多様な知識・経験を持つ
  • 要件2:『超』俯瞰(ふかん)的視野を持つ
  • 要件3:多様な思考パターンで考える

(1) 要件1:多様な知識・経験を持つ

 新結合を起こすためには、多様な知識や経験が必要です。ただし、この部分はまさにKETICモデルの最初のK:知識とE:経験の中で議論してきた部分もあり、また現在の議論の対象のT:思考の中で既に「物理量で整理する」の中で扱ってきた部分でもありますので、ここでは解説はしません。

(2) 要件2:『超』俯瞰的視野を持つ

 俯瞰的な視点の重要性は、様々な場面でいわれていることです。しかし、多様な情報や経験から新結合を起こそうとした場合、自分の頭の中で整理された俯瞰的な知識や経験だけでは、新結合が起こる可能性はそれほど高くはありません。

 更に求められるのが、できるかぎり「多元的に」世界を俯瞰すること、言い換えると矛盾するような知識や経験も、頭の中に定着させて、それを前提に『超』俯瞰することではないかと思います。

 そのような状態はイメージ的にいうと、頭の中に脈略を持ってある程度整理された系が複数あり、一方ではその整理された系の間の関係は矛盾や未整理の状態を許容し、それらの系が頭の中に同居するような状態ではないでしょうか。

 しかし、脈絡のない情報や経験は頭の中に納めることが難しいということがあります。

 試験勉強などでも、それまで授業中に教えらえたことを、脈絡もなく丸暗記をすることは大変難しいものです。

 学んできた知識を一度全体を整理することで、頭の中に定着するということは皆経験していることだと思います。

 丸暗記が難しく、また記憶として定着されない理由は、人間の頭は全体の整合が取れていない情報について異物として排除する傾向にあるからではないでしょうか。このように排除される状況が、まさに「頭が固い」といわれる状況です。

 私は脳科学の専門家ではありませんが脈略のない未整理の情報が排除される理由は、人間の脳の記憶能力や処理能力の限界から来ているものと思われます。

 例えば太古から人間が猛獣に襲われるような状況で瞬時に対応策を考え行動を...

技術マネジメント

 今回は、普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その73)で提示した原因の結果の4つの類型の内、3つ目の逆ピラミッドについて解説します。

1. 逆ピラミッド(複数の原因→1つの結果):まさにシュンペーターのイノベーションの定義

 この複数の原因から一つの結果が生まれる関係を上下の図で表現すると逆ピラミッドの構造となるために、ここではこの類型を「逆ピラミッド」と呼んでいます。

 これはまさに、シュンペーターのいう「既存の知識の新結合でイノベーションが起こる」状況を言っています。

2. 逆ピラミッドが起こる3つの要件

 この逆ピラミッドが起こる要件は以下の3つです。

  • 要件1:多様な知識・経験を持つ
  • 要件2:『超』俯瞰(ふかん)的視野を持つ
  • 要件3:多様な思考パターンで考える

(1) 要件1:多様な知識・経験を持つ

 新結合を起こすためには、多様な知識や経験が必要です。ただし、この部分はまさにKETICモデルの最初のK:知識とE:経験の中で議論してきた部分もあり、また現在の議論の対象のT:思考の中で既に「物理量で整理する」の中で扱ってきた部分でもありますので、ここでは解説はしません。

(2) 要件2:『超』俯瞰的視野を持つ

 俯瞰的な視点の重要性は、様々な場面でいわれていることです。しかし、多様な情報や経験から新結合を起こそうとした場合、自分の頭の中で整理された俯瞰的な知識や経験だけでは、新結合が起こる可能性はそれほど高くはありません。

 更に求められるのが、できるかぎり「多元的に」世界を俯瞰すること、言い換えると矛盾するような知識や経験も、頭の中に定着させて、それを前提に『超』俯瞰することではないかと思います。

 そのような状態はイメージ的にいうと、頭の中に脈略を持ってある程度整理された系が複数あり、一方ではその整理された系の間の関係は矛盾や未整理の状態を許容し、それらの系が頭の中に同居するような状態ではないでしょうか。

 しかし、脈絡のない情報や経験は頭の中に納めることが難しいということがあります。

 試験勉強などでも、それまで授業中に教えらえたことを、脈絡もなく丸暗記をすることは大変難しいものです。

 学んできた知識を一度全体を整理することで、頭の中に定着するということは皆経験していることだと思います。

 丸暗記が難しく、また記憶として定着されない理由は、人間の頭は全体の整合が取れていない情報について異物として排除する傾向にあるからではないでしょうか。このように排除される状況が、まさに「頭が固い」といわれる状況です。

 私は脳科学の専門家ではありませんが脈略のない未整理の情報が排除される理由は、人間の脳の記憶能力や処理能力の限界から来ているものと思われます。

 例えば太古から人間が猛獣に襲われるような状況で瞬時に対応策を考え行動を起こすためには一瞬で思考しなければなりません。サバイバルのためには整理された少量の情報のみあればよかった、そういう脳の特質を現代人も持っているということではないでしょうか。

 したがって、自分の思考体系の中に納まらないような知識や経験が、イノベーションのきっかけになる可能性が高いことを理解する一方で、意図しないと人間の脳にはそのような知識を排除する強い仕組みが組み込まれていることを理解する必要があります。

 そしてその上で貪欲に非整合の知識や経験を吸収して、頭の中に記憶し、それを前提に『超』俯瞰することすることが重要ではないかと思います。

 次回は要件3、多様な思考パターンで考える。から解説を続けます。

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この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

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