原因から結果 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その72)

更新日

投稿日

技術マネジメント

 前回から時系列や物理量で整理した知識を、それらの関係性で考えることについて解説しています。今回もその解説を続けます。

 前回は関係性をいくつかの種類に分け、その最初の項目の「原因と結果」を更に4つの類型に分けました。今回は「原因と結果」の最初の類型の「リニア(1つの原因→1つの結果)」についてです。

1. リニアの連鎖の例:「風が吹けば桶屋がもうかる」

 「風が吹けば桶屋がもうかる」の構造ですが、この話は皆さんもご存じの通り、風が吹くと土埃が舞い、盲人が増え、盲人はその昔三味線で生計をたてていたので、三味線が売れるようになる。そうすると三味線に使われる猫の皮の需要が増え…と一つの原因が一つの結果を生み、その結果がまた原因となり、別の結果を生む、といったような連鎖を示しています。

2. リニアを考える場合の重要な視点

 革新的なアイデアを創出するための前提を作る場合に、上記の例えのようにリニアの思考の連鎖で重視しなければならない点が、丁寧に原因と結果の関係をより完全な形で表現することです。それは何のためかというと、既に認識されている連鎖の関係性の不完全性を補い、その連鎖をより完全な形で表現することで、補強された部分も含めて詳細に表されているリニアの原因と結果の関係性の連鎖が、より多くの革新的なアイデアの源になるということです。

 これを別の視点からいうと、不完全な形ではあるけれども、既に一つの原因と結果もしくはその内の一つが認識されているので、そこを出発点に未認識の「結果」(そしてそれがまた原因となる)を発想することは容易なことであるということもいえます。このようなリニア思考の連鎖発想を行っていく際に重要な点を2つ挙げます。

(1) 重要点1:「原因」の「本質」を考え言語化する

 上の例では「風が吹くと土埃が舞う」という説明となっていますが「風が吹く」と「土埃が舞う」との間には、現実にはまだその原因がもたらす未認識の結果(またそれが原因となるのですが)があります。

その未認識の結果を見つけるために、まずは「風が吹く」とは本質的にどういうことかを考えます。「風が吹く」とは、そもそも「空気という質量を持ったものが移動する」ということです。したがって「風が吹く」の「本質」を言語化します。

(2) 重要点2:既に認識済の原因と結果の間の欠けている結果と原因(またその結果が原因となる)の連鎖を記述する

 次に「空気という質量を持ったものが移動する」という原因により、どのような結果が出るのかを考えます。結果として他のもの(気...

技術マネジメント

 前回から時系列や物理量で整理した知識を、それらの関係性で考えることについて解説しています。今回もその解説を続けます。

 前回は関係性をいくつかの種類に分け、その最初の項目の「原因と結果」を更に4つの類型に分けました。今回は「原因と結果」の最初の類型の「リニア(1つの原因→1つの結果)」についてです。

1. リニアの連鎖の例:「風が吹けば桶屋がもうかる」

 「風が吹けば桶屋がもうかる」の構造ですが、この話は皆さんもご存じの通り、風が吹くと土埃が舞い、盲人が増え、盲人はその昔三味線で生計をたてていたので、三味線が売れるようになる。そうすると三味線に使われる猫の皮の需要が増え…と一つの原因が一つの結果を生み、その結果がまた原因となり、別の結果を生む、といったような連鎖を示しています。

2. リニアを考える場合の重要な視点

 革新的なアイデアを創出するための前提を作る場合に、上記の例えのようにリニアの思考の連鎖で重視しなければならない点が、丁寧に原因と結果の関係をより完全な形で表現することです。それは何のためかというと、既に認識されている連鎖の関係性の不完全性を補い、その連鎖をより完全な形で表現することで、補強された部分も含めて詳細に表されているリニアの原因と結果の関係性の連鎖が、より多くの革新的なアイデアの源になるということです。

 これを別の視点からいうと、不完全な形ではあるけれども、既に一つの原因と結果もしくはその内の一つが認識されているので、そこを出発点に未認識の「結果」(そしてそれがまた原因となる)を発想することは容易なことであるということもいえます。このようなリニア思考の連鎖発想を行っていく際に重要な点を2つ挙げます。

(1) 重要点1:「原因」の「本質」を考え言語化する

 上の例では「風が吹くと土埃が舞う」という説明となっていますが「風が吹く」と「土埃が舞う」との間には、現実にはまだその原因がもたらす未認識の結果(またそれが原因となるのですが)があります。

その未認識の結果を見つけるために、まずは「風が吹く」とは本質的にどういうことかを考えます。「風が吹く」とは、そもそも「空気という質量を持ったものが移動する」ということです。したがって「風が吹く」の「本質」を言語化します。

(2) 重要点2:既に認識済の原因と結果の間の欠けている結果と原因(またその結果が原因となる)の連鎖を記述する

 次に「空気という質量を持ったものが移動する」という原因により、どのような結果が出るのかを考えます。結果として他のもの(気体、液体、固体)に作用し、それらを動かすという結果をもたらします(実は他に、変形させたり、摩擦熱を生み出すなどの結果を生み出すのですが、それはまた後に議論する「ピラミッド(1つの原因→複数の結果)」で議論します)。

 実は、土埃は作用する固体の一部に過ぎません。風は土埃だけでなく、様々なもの(固体、液体、気体)を動かすという効果があることが、ここから知ることができます。

 この重要点2は、上記の重要点1で「原因」の「本質」を考え言語化することができているため、比較的容易に作業を進めることができます。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
技術承継への道のり 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その45)

        国内産業の課題の一つにもなっている「事業承継」、あなたの会社・組織の技術資産は、承継の仕組み...

        国内産業の課題の一つにもなっている「事業承継」、あなたの会社・組織の技術資産は、承継の仕組み...


メトリクスによる開発のプロジェクト管理とは 【連載記事紹介】

       メトリクスによる開発のプロジェクト管理、連載記事が無料でお読みいただけます。   ...

       メトリクスによる開発のプロジェクト管理、連載記事が無料でお読みいただけます。   ...


エコシステムの国際比較 オープンイノベーションとは(その3)

         【オープンイノベーションとは 連載目次】 1. オープンイノベーショ...

         【オープンイノベーションとは 連載目次】 1. オープンイノベーショ...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
人的資源マネジメント:インダストリー4.0 を追いかけるその前に(その2)

 前回のその1に続いて解説します。   4. 開発・製造リンクによる製造性評価    少し具体的な例を紹介したいと思います。図...

 前回のその1に続いて解説します。   4. 開発・製造リンクによる製造性評価    少し具体的な例を紹介したいと思います。図...


プラント建設業者の効率的・効果的な探し方とは

        今回は、配管、土木建築、電気・計装、機器の設計を担当する設計業者に設計を注文する事例で、大型プラント建設に対応できるような業者を効率...

        今回は、配管、土木建築、電気・計装、機器の設計を担当する設計業者に設計を注文する事例で、大型プラント建設に対応できるような業者を効率...


CS-T法を起点とした技術開発プロセスとは、乗用車用エンジンの技術開発事例

▼さらに深く学ぶなら!「品質工学」に関するセミナーはこちら! 機能を起点に形を考案するというプロセスの成功例として,品質工学会でも多くの方々に大きな...

▼さらに深く学ぶなら!「品質工学」に関するセミナーはこちら! 機能を起点に形を考案するというプロセスの成功例として,品質工学会でも多くの方々に大きな...