自社のコア技術の発信 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その32)

更新日

投稿日

 
 技術マネジメント
 
 今回も前回に引き続き、「その1:自社のコア技術の補完技術」を探す方法としての自社のコア技術の発信について、解説します。
 

1. コア技術の未活用部分をどう見つけるか

 
 前回の解説では、技術機能展開法を用いて、自社のコア技術でできること、すなわち機能を目いっぱい考えて広げようという話をしました。この方法では、外部への発信内容は、「自社のコア技術ではこんなこともできます」ということで、自社のコア技術の新用途を『自社が考え』そしてそれを外部に発信をしようというものです。
 
 しかし、現実には、『自社の考えの及ばない』新用途も沢山あるわけで、当然それら『自社の考えの及ばない』新用途も見つけたいという強いニーズがあります。そのような用途を見つけるには、どうしたらよいのでしょうか?
 

2. コア技術を五感で感じてもらえる場の提供

 
 そのための方法が、パートナーに新用途を見つけてもらうことを目的に、パートナー(候補)に自社の技術を五感で感じてもらえる場を作ることです。このような場を世界で最初に作ったのが、日本の住友3Mです。そのような場を、同社は、Customer Technical Center(CTC)と呼び、日本では東京郊外の相模原に保有しています。
 
 その後、このCTCの概念は3Mの全世界の活動に組み込まれ、現在3Mには世界中に同様の拠点が30以上もあります。また日本でもこの概念を真似て展開している企業が、少なからずあります。
 

3. 技術ショールームは、自社技術を「そのまま感じてもらう」場

 
 もちろんこのような技術ショールームは、自社の技術を『自社が知っている』有用なポイントをアピールするということが目的としてはあるのですが、『自社が知らない』技術のポテンシャルをパートナーに、もしくはパートナーと一緒に見つけることも重要な目的です。したがって、このような場においては、自社の技術を『アピール』するのではなく、自社の技術をそのままパートナーに『感じてもらう』工夫が極めて重要となります。
 

4. きれいすぎる展示が技術ショールームの問題

 
 私は、時々日本企業の技術ショールームを拝見する機会があるのですが、多くの日本企業の技術ショールームは「きれいすぎ」ていて、強い違和感を感じます。そこでは製品ショールームと同じ様に、その技術を使って実現されたキレイな製品のディスプレーが用意されていて、一言で言うと「無機質」な展示になっています。そして、そのような技術ショールームは、多くの場合、鳴り物入りで導入されたにもかかわらず、閑散としていて閑古鳥が鳴いているものです。
 

5. 技術ショールームは、『ひっくり返されたおもちゃ箱』の実現

 
 私は技術ショールームでは、面白そうなものがあちこちに散在している「ひっくり返されたおもちゃ箱」のような状態が実現されていることが、重要であると考...
 
 技術マネジメント
 
 今回も前回に引き続き、「その1:自社のコア技術の補完技術」を探す方法としての自社のコア技術の発信について、解説します。
 

1. コア技術の未活用部分をどう見つけるか

 
 前回の解説では、技術機能展開法を用いて、自社のコア技術でできること、すなわち機能を目いっぱい考えて広げようという話をしました。この方法では、外部への発信内容は、「自社のコア技術ではこんなこともできます」ということで、自社のコア技術の新用途を『自社が考え』そしてそれを外部に発信をしようというものです。
 
 しかし、現実には、『自社の考えの及ばない』新用途も沢山あるわけで、当然それら『自社の考えの及ばない』新用途も見つけたいという強いニーズがあります。そのような用途を見つけるには、どうしたらよいのでしょうか?
 

2. コア技術を五感で感じてもらえる場の提供

 
 そのための方法が、パートナーに新用途を見つけてもらうことを目的に、パートナー(候補)に自社の技術を五感で感じてもらえる場を作ることです。このような場を世界で最初に作ったのが、日本の住友3Mです。そのような場を、同社は、Customer Technical Center(CTC)と呼び、日本では東京郊外の相模原に保有しています。
 
 その後、このCTCの概念は3Mの全世界の活動に組み込まれ、現在3Mには世界中に同様の拠点が30以上もあります。また日本でもこの概念を真似て展開している企業が、少なからずあります。
 

3. 技術ショールームは、自社技術を「そのまま感じてもらう」場

 
 もちろんこのような技術ショールームは、自社の技術を『自社が知っている』有用なポイントをアピールするということが目的としてはあるのですが、『自社が知らない』技術のポテンシャルをパートナーに、もしくはパートナーと一緒に見つけることも重要な目的です。したがって、このような場においては、自社の技術を『アピール』するのではなく、自社の技術をそのままパートナーに『感じてもらう』工夫が極めて重要となります。
 

4. きれいすぎる展示が技術ショールームの問題

 
 私は、時々日本企業の技術ショールームを拝見する機会があるのですが、多くの日本企業の技術ショールームは「きれいすぎ」ていて、強い違和感を感じます。そこでは製品ショールームと同じ様に、その技術を使って実現されたキレイな製品のディスプレーが用意されていて、一言で言うと「無機質」な展示になっています。そして、そのような技術ショールームは、多くの場合、鳴り物入りで導入されたにもかかわらず、閑散としていて閑古鳥が鳴いているものです。
 

5. 技術ショールームは、『ひっくり返されたおもちゃ箱』の実現

 
 私は技術ショールームでは、面白そうなものがあちこちに散在している「ひっくり返されたおもちゃ箱」のような状態が実現されていることが、重要であると考えています。パートナーが足を踏み入れた瞬間に、面白そうな技術があちこちにあり、ワクワクするという状況です。
 
 まさに、子供が沢山のおもちゃ、その中にはクビのとれそうなぬいぐるみや、タイヤが取れた自動車のおもちゃもあるかもしれませんが、そのようなおもちゃの山に接して、わくわくするという状況です。
 
 そしてパートナーがそれら技術で実現された様々なものを手にとって、自分の手でいじくりまわし始めるという光景が見られるのが理想です。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
新規事業の目標設定 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その89)

  ◆ 新規事業リーダーが行う目標設定  昨今、研究開発の現場においても、自らが新規事業を立ち上げるというミッションが課せられるようにな...

  ◆ 新規事業リーダーが行う目標設定  昨今、研究開発の現場においても、自らが新規事業を立ち上げるというミッションが課せられるようにな...


研究所主導の新商品開発プロセスとは

     高収益な商品開発をするためには、顧客の困り事:課題を把握する必要があります。顧客の困り事には、様々なものがあります。「◯◯できない...

     高収益な商品開発をするためには、顧客の困り事:課題を把握する必要があります。顧客の困り事には、様々なものがあります。「◯◯できない...


位置関係-3 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その106)

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。前回からは、KETICモデルの中の空間的な「位置(関係...

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。前回からは、KETICモデルの中の空間的な「位置(関係...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
作業要素の進捗分析3 プロジェクト管理の仕組み (その20)

 前回のその19:作業要素の進捗分析2に続いて解説します。    一つひとつの作業要素の完了判断は、明確になっている必要があります。改めて作...

 前回のその19:作業要素の進捗分析2に続いて解説します。    一つひとつの作業要素の完了判断は、明確になっている必要があります。改めて作...


手戻りのフィードバック・ループを小さくするとは プロジェクト管理の仕組み (その9)

 ソフトのモジュール作成(プログラム作成)は機能セット単位にスケジュールするのが基本となります。そして、機能セットごとのモジュール作成は、詳細設計、コーデ...

 ソフトのモジュール作成(プログラム作成)は機能セット単位にスケジュールするのが基本となります。そして、機能セットごとのモジュール作成は、詳細設計、コーデ...


品質の仕組みとは1 プロジェクト管理の仕組み (その27)

 製品開発を行っている組織において、設計・製造の仕組みを構築したり見直したりするというとき、品質向上に貢献することが何らかの形でゴールのひとつとなっている...

 製品開発を行っている組織において、設計・製造の仕組みを構築したり見直したりするというとき、品質向上に貢献することが何らかの形でゴールのひとつとなっている...