公開資料の活用 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その35)

更新日

投稿日

 
  技術マネジメント
 
 前回からKETICモデルの知識の3つの構成要素である、市場知識について解説を始めました。今回は前回に解説をした「公開資料の活用」についてを続けます。
 

1. 公開資料の調査では、どのような視点で何を調べるのか

 
 それでは具体的に公開資料の調査では、どのような視点で何を調べるのでしょうか。それには、私は3つの軸、すなわち時間軸(Time)、分野軸(Area)、深度軸(Depth)で、市場を見ることが重要と考えています。私はこの3軸をTADと名付けていていますが、この3つの軸で市場を多面的、多角的に見て、市場を調べることが大事です。
 

2. 時間軸の活動

 
 時間軸では、市場が長期にわたってどう変わるのか、もしくは変わらないのかを考えます。特に研究開発部門は、目先の製品ではなく、将来の製品や事業を考えるという重要なミッションを担っているため、この視点を持って活動を行うことは極めて重要です。
 
 その際に重要になるのが、上で「時間軸では、市場が長期にわたってどう変わるのか、もしくは変わらないのかを考えます」と述べたように、「何がどう変わるのか?」、と一方で「何が変わらないのか?」の2つに目を向けることです。
 

3. 「何がどう変わるか」を考える

 
 マーケティングの市場分析の一つに、マクロ環境分析というものがあります。市場に長期に影響を与えるマクロ環境変化の因子を抽出し、それら因子がどう変化するかを予想し、その変化の自社への影響を考えるというものです。
 

4. PESTの視点

 
 マクロ環境分析は、別名PEST分析を言われるように、対象の市場(既存市場・新市場)に影響を与える因子を政治(Political)、経済(Economical)、社会(Societal)、技術(Technological)という4つの分野から抽出し、それら因子の市場への影響を考えるということをします。
 

5. WHAT(ニーズ)とHOW(ニーズ充足)の視点

 
 私はこのPESTの視点に加え、WHATとHOWの視点でマクロ環境変化を見ることが大事であると考えています。WHATでは、新たなニーズを生み出したり、既存のニーズを変化させるマクロ環境変化を抽出し、その影響を考えるものです。つまりニーズそのもの(WHAT)に働き掛けるマクロ環境変化を対象とするものです。
 
 一方で、HOWは、既に存在する顕在ニーズ、もしくは未だ顕在化していないが潜在的に存在するニーズを、製品として実現するための前提条件の変化や新たな前提条件を出現させるマクロ環境変化を考える、すなわちニーズの充足(HOW)の視点からマクロ環境変化を考えるものです。
 

(1) WHAT(ニーズ)の2つの視点

 
 WHATは2つの視点に分けられます。それはニーズの「質的変化」と「量的変化」です。「質的変化」は、文字通り、ニーズの質的な変化ですが、そこには新たなニーズの出現も含まれます。「量的変化」は、既に存在するニーズを持つ顧客の数の変化を考えるものです。例えば、それまで先進国に偏在していた顧客が、途上国の顧客も持つようになるといった場合です。
 

(2) HOW(ニーズ充足法)の2つの視点

 
 HOWにも2つの視点があります。それは「技術」と「技術以外」のマクロ環境変化因子...
 
  技術マネジメント
 
 前回からKETICモデルの知識の3つの構成要素である、市場知識について解説を始めました。今回は前回に解説をした「公開資料の活用」についてを続けます。
 

1. 公開資料の調査では、どのような視点で何を調べるのか

 
 それでは具体的に公開資料の調査では、どのような視点で何を調べるのでしょうか。それには、私は3つの軸、すなわち時間軸(Time)、分野軸(Area)、深度軸(Depth)で、市場を見ることが重要と考えています。私はこの3軸をTADと名付けていていますが、この3つの軸で市場を多面的、多角的に見て、市場を調べることが大事です。
 

2. 時間軸の活動

 
 時間軸では、市場が長期にわたってどう変わるのか、もしくは変わらないのかを考えます。特に研究開発部門は、目先の製品ではなく、将来の製品や事業を考えるという重要なミッションを担っているため、この視点を持って活動を行うことは極めて重要です。
 
 その際に重要になるのが、上で「時間軸では、市場が長期にわたってどう変わるのか、もしくは変わらないのかを考えます」と述べたように、「何がどう変わるのか?」、と一方で「何が変わらないのか?」の2つに目を向けることです。
 

3. 「何がどう変わるか」を考える

 
 マーケティングの市場分析の一つに、マクロ環境分析というものがあります。市場に長期に影響を与えるマクロ環境変化の因子を抽出し、それら因子がどう変化するかを予想し、その変化の自社への影響を考えるというものです。
 

4. PESTの視点

 
 マクロ環境分析は、別名PEST分析を言われるように、対象の市場(既存市場・新市場)に影響を与える因子を政治(Political)、経済(Economical)、社会(Societal)、技術(Technological)という4つの分野から抽出し、それら因子の市場への影響を考えるということをします。
 

5. WHAT(ニーズ)とHOW(ニーズ充足)の視点

 
 私はこのPESTの視点に加え、WHATとHOWの視点でマクロ環境変化を見ることが大事であると考えています。WHATでは、新たなニーズを生み出したり、既存のニーズを変化させるマクロ環境変化を抽出し、その影響を考えるものです。つまりニーズそのもの(WHAT)に働き掛けるマクロ環境変化を対象とするものです。
 
 一方で、HOWは、既に存在する顕在ニーズ、もしくは未だ顕在化していないが潜在的に存在するニーズを、製品として実現するための前提条件の変化や新たな前提条件を出現させるマクロ環境変化を考える、すなわちニーズの充足(HOW)の視点からマクロ環境変化を考えるものです。
 

(1) WHAT(ニーズ)の2つの視点

 
 WHATは2つの視点に分けられます。それはニーズの「質的変化」と「量的変化」です。「質的変化」は、文字通り、ニーズの質的な変化ですが、そこには新たなニーズの出現も含まれます。「量的変化」は、既に存在するニーズを持つ顧客の数の変化を考えるものです。例えば、それまで先進国に偏在していた顧客が、途上国の顧客も持つようになるといった場合です。
 

(2) HOW(ニーズ充足法)の2つの視点

 
 HOWにも2つの視点があります。それは「技術」と「技術以外」のマクロ環境変化因子です。例えば前者の「技術」は、これまですでにニーズ存在していながら、ニーズを充足して製品を実現する有効な技術が無かったものが、新たな充足技術が出現したような場合です。
 
 後者の「技術以外」は、同じようにこれまですでにニーズ存在していながら、原材料のコストが高すぎたり、そのニーズの充足を規制する法律の存在によりそのニーズを実際の製品やサービスで充足できなかったものが、そのような「技術以外」の制約が解消し、ニーズを充足することができるようになるといったものです。
 
 次回に続きます。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その171) 動物を深く知る

  【目次】   【この連載の前回:普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その170)へのリンク】 これまでアナロ...

  【目次】   【この連載の前回:普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その170)へのリンク】 これまでアナロ...


IS/ISNOT思考法は、問題分析の基本

 多くの場合、問題が起きて原因を推定する際には、何が起きたか、どこで起きたか、いつ起きたか、どの程度起きたかといった事実を頭の中に入れた上で、可能性のある...

 多くの場合、問題が起きて原因を推定する際には、何が起きたか、どこで起きたか、いつ起きたか、どの程度起きたかといった事実を頭の中に入れた上で、可能性のある...


エネルギーインフラ 見えてきた、2030年の技術社会 (その3)

  【見えてきた、2030年の技術社会 連載目次】 1.  自動車業界のパラダイムシフト 2.  シェアリングエコ...

  【見えてきた、2030年の技術社会 連載目次】 1.  自動車業界のパラダイムシフト 2.  シェアリングエコ...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
プリウスの開発事例から学ぶ画期的挑戦

トヨタ・プリウスが1997年に世界初の量産ハイブリッド車として市場に出た時は大きな衝撃を社会にもたらしました。2009年に20万8876台を売り上げ、...

トヨタ・プリウスが1997年に世界初の量産ハイブリッド車として市場に出た時は大きな衝撃を社会にもたらしました。2009年に20万8876台を売り上げ、...


追求するのは擦り合わせ能力を活かすマネジメント(その3)

 前回のその2に続いて解説します。図15は製品開発(設計)における調整の仕組みを詳細化したものです。「可視化」「分析」「視点切り替え」3つの要素から成り立...

 前回のその2に続いて解説します。図15は製品開発(設計)における調整の仕組みを詳細化したものです。「可視化」「分析」「視点切り替え」3つの要素から成り立...


材料研究、最適化のワナと温故知新の事例

  1.  材料研究と最適化  材料研究の場合、「最適化」という言葉でモノを考えない方がいいでしょう。  若い人、時にはおじ...

  1.  材料研究と最適化  材料研究の場合、「最適化」という言葉でモノを考えない方がいいでしょう。  若い人、時にはおじ...