自社の存在意義とは 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その111)

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技術マネジメント

 

 前回は企業でイノベーションを起こすには、「自社の存在意義」を徹底して問い直すこが重要であるという解説をしました。しかし、「自社の存在意義」を問い直すには、そもそもイノベーションを引き起こす「自社の存在意義」というのはどのようなものかを、知らなければなりません。今回はこの解説です。

1.「自社の存在意義」の定義の満たすべき要件は何か

 ここでは「自社の存在意義」は、それによってイノベーションを引き起こすものとして扱っていますので、今一度イノベーションとは何かを解説したいと思います。

 私は企業におけるイノベーションを、「これまで存在してこなかった大きな顧客価値」を実現するものと定義をしています。この定義としている理由は、民間企業においては、なんといってもその原点においては、収益を上げることを目的としていますので、まずはイノベーションを大きな収益を生みだすものと考えています。

 それではどうしたら大きな収益を挙げることができるかというと、一つ目に顧客が沢山の対価を払っても良いと考える価値、すなわち「大きな顧客価値」を提供しなければなりません。

 しかし、大きな収益を挙げるにはそれだけでは不十分です。顧客が大きな対価を払っても良いと考えてくれたとしても、そこに競争、すなわち同じ顧客価値を実現している競合製品があれば、顧客が払ってくれる対価は低下してしまします。どいうことかと言うと、競合している企業は各社売上を上げたいがために、顧客が仮に1万円払っても良いと思っていても、サプライヤー側が、「うちは9,000円にしておきますので、是非うちの製品を買ってください」と言います。

 そうすると、別のサプライヤーが「うちは8,000円にしておきますので、うちの製品を買ってください」というわけです。そうすると、売値、すなわち顧客が実際に払ってくれる対価はどんどん下がってしまいます。そのため二つ目に「競争が回避」できることが必要となります。

 

2.「自社の存在価値」:「大きな顧客価値」と「競争の回避」を生み出すもの

 したがって、徹底して問い直すべき「自社の存在価値」は「大きな顧客価値」と「競争の回避」の2つに貢献すべきものであるということができます。

(1)「大きな顧客価値」創出への貢献

 それでは「大きな顧客価値」においては「自社の存在価値」は何に貢献することが求められるのでしょうか。

 それには3点あると思います。「提供する顧客価値自体が大きいこと」「顧客価値の適用範囲が広いこと」「長期にわたって通用すること」です。

〇提供する顧客価値自体が大きいこと

 提供する価値が大きければ、顧客はそれだけ多くの対価を払っても良いと考えます。ですので、自社が提供する顧客にとっての価値(顧客価値)が大きくなければなりません。

〇顧客価値の適用...

技術マネジメント

 

 前回は企業でイノベーションを起こすには、「自社の存在意義」を徹底して問い直すこが重要であるという解説をしました。しかし、「自社の存在意義」を問い直すには、そもそもイノベーションを引き起こす「自社の存在意義」というのはどのようなものかを、知らなければなりません。今回はこの解説です。

1.「自社の存在意義」の定義の満たすべき要件は何か

 ここでは「自社の存在意義」は、それによってイノベーションを引き起こすものとして扱っていますので、今一度イノベーションとは何かを解説したいと思います。

 私は企業におけるイノベーションを、「これまで存在してこなかった大きな顧客価値」を実現するものと定義をしています。この定義としている理由は、民間企業においては、なんといってもその原点においては、収益を上げることを目的としていますので、まずはイノベーションを大きな収益を生みだすものと考えています。

 それではどうしたら大きな収益を挙げることができるかというと、一つ目に顧客が沢山の対価を払っても良いと考える価値、すなわち「大きな顧客価値」を提供しなければなりません。

 しかし、大きな収益を挙げるにはそれだけでは不十分です。顧客が大きな対価を払っても良いと考えてくれたとしても、そこに競争、すなわち同じ顧客価値を実現している競合製品があれば、顧客が払ってくれる対価は低下してしまします。どいうことかと言うと、競合している企業は各社売上を上げたいがために、顧客が仮に1万円払っても良いと思っていても、サプライヤー側が、「うちは9,000円にしておきますので、是非うちの製品を買ってください」と言います。

 そうすると、別のサプライヤーが「うちは8,000円にしておきますので、うちの製品を買ってください」というわけです。そうすると、売値、すなわち顧客が実際に払ってくれる対価はどんどん下がってしまいます。そのため二つ目に「競争が回避」できることが必要となります。

 

2.「自社の存在価値」:「大きな顧客価値」と「競争の回避」を生み出すもの

 したがって、徹底して問い直すべき「自社の存在価値」は「大きな顧客価値」と「競争の回避」の2つに貢献すべきものであるということができます。

(1)「大きな顧客価値」創出への貢献

 それでは「大きな顧客価値」においては「自社の存在価値」は何に貢献することが求められるのでしょうか。

 それには3点あると思います。「提供する顧客価値自体が大きいこと」「顧客価値の適用範囲が広いこと」「長期にわたって通用すること」です。

〇提供する顧客価値自体が大きいこと

 提供する価値が大きければ、顧客はそれだけ多くの対価を払っても良いと考えます。ですので、自社が提供する顧客にとっての価値(顧客価値)が大きくなければなりません。

〇顧客価値の適用範囲が広いこと

 「大きな顧客価値」を創出するには、より多くの顧客にその価値を認識してもらう必要、すなわちその「顧客価値の適用範囲が広い」ことも重要になります。

〇長期にわたって通用すること

 一度創出した価値が長い期間継続することで、顧客が認識する価値の累積は大きくなります。

 また、顧客価値実現には投資が必要となりますので、ROI(Return on Investment)を拡大するためにも、その投資から生み出される価値の累積も大きくなければなりません。そのため、その価値が長期にわたって通用する必要があります。

 

 次回に続きます。

 

 

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この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

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