位置関係-1 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その104)

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 現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。随分長く「関係性」の解説をしてきました。前回は「『解決策』先にありきのイノベーションの発想」を解説しましたが、今回からは「位置(関係)」の解説します。<

1. 位置の分類例

 位置は、それまで得た知識や経験を空間上の位置の違いを使って分類し、そこからなんらかのイノベーションのヒントにつなげようとするものです。過去に解説した「知識・経験を物理量で整理する」では、物理量を広く定義していましたので、その分類は「知識・経験を物理量で整理する」と一部重複するかもしれません。

 この点に関しては、この分類は発想の切り口を提示するものですので、これら重複は特に問題はないと思います。またさらには以下でも議論をしますが、位置の分類から出発して、物理量の分類との関係をも利用して、ノベーションにつなげることができると考えています。

 位置の分類の例には、静的な分類と動的な分類を分けて考えると、以下のようなものがあります。

・静的な分類

 上下、左右、東西、南北、表裏、表中、高低、遠近、内外、深浅、天地

・動的な分類

 上昇・下降、南下・北上、東進・西進、発散・集中、時計回り・反時計周り、平行移動、入る・出る

2. 位置の分類からイノベーションのヒントを得る

 静的な分類と動的分類では、イノベーションにつなげるための思考が異なるように思えます。まずは静的な位置の分類からイノベーションを起こす思考法を考えてみたいと思います。

・位置からイノベーションのヒントを得るための2つの視点

 これら位置を単に分類するだけでは、何も起こりません。静的な位置からイノベーションのヒントを引き出すためには、2つの視点「両者の相違を徹底して考えてみる」と「両者の相対的な関係性」を考えてみることが重要です。

3. 両者の相違を徹底して考えてみる

 両者の相違を考える場合、ここまで議論した物理量(広義)での分類が役に立ちます。例えば、地球の上の方は空気が薄いですし下の方は濃いので「濃淡」があります。同じく地球を考えると深部は密度が高く、表面に近い部分では密度が低いので「粗密」など表現で考えることができ...

 

 現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。随分長く「関係性」の解説をしてきました。前回は「『解決策』先にありきのイノベーションの発想」を解説しましたが、今回からは「位置(関係)」の解説します。<

1. 位置の分類例

 位置は、それまで得た知識や経験を空間上の位置の違いを使って分類し、そこからなんらかのイノベーションのヒントにつなげようとするものです。過去に解説した「知識・経験を物理量で整理する」では、物理量を広く定義していましたので、その分類は「知識・経験を物理量で整理する」と一部重複するかもしれません。

 この点に関しては、この分類は発想の切り口を提示するものですので、これら重複は特に問題はないと思います。またさらには以下でも議論をしますが、位置の分類から出発して、物理量の分類との関係をも利用して、ノベーションにつなげることができると考えています。

 位置の分類の例には、静的な分類と動的な分類を分けて考えると、以下のようなものがあります。

・静的な分類

 上下、左右、東西、南北、表裏、表中、高低、遠近、内外、深浅、天地

・動的な分類

 上昇・下降、南下・北上、東進・西進、発散・集中、時計回り・反時計周り、平行移動、入る・出る

2. 位置の分類からイノベーションのヒントを得る

 静的な分類と動的分類では、イノベーションにつなげるための思考が異なるように思えます。まずは静的な位置の分類からイノベーションを起こす思考法を考えてみたいと思います。

・位置からイノベーションのヒントを得るための2つの視点

 これら位置を単に分類するだけでは、何も起こりません。静的な位置からイノベーションのヒントを引き出すためには、2つの視点「両者の相違を徹底して考えてみる」と「両者の相対的な関係性」を考えてみることが重要です。

3. 両者の相違を徹底して考えてみる

 両者の相違を考える場合、ここまで議論した物理量(広義)での分類が役に立ちます。例えば、地球の上の方は空気が薄いですし下の方は濃いので「濃淡」があります。同じく地球を考えると深部は密度が高く、表面に近い部分では密度が低いので「粗密」など表現で考えることができます。内外では、安全(内)と危険(外)などのキーワードが出てきます。また南北では、豊か(北)と貧しい(南)などの相違が出てきます。

 また両者の相違は、一つではなく、複数ありますし、イノベーションにつなげる目的から考えると両者の分類から出される相違はできる限り数多く、まさにMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive:だぶりなくもれなく)で出されることが期待されます。

 

 次回に続きます。

 

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この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

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