社外技術知識の収集・蓄積 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その29)

更新日

投稿日

 現在この連載では、KETICモデルの最初の知識(Knowledge)の内、技術の知識の解説をしていますが、今回からは社外の技術知識をどう収集・蓄積するかについて解説します。
 

1. イノベーションを起こすために収集する社外技術知識の収集・蓄積の拠り所の必要性

 
 この連載の中でも何度が議論をしてきたように、革新的なテーマを創出するには、技術知識、市場知識そして自社の強みが必要であると考えています。
 
 このモデルを前提とすると、自社の強み以外の2つの要素である技術知識と市場知識は、多ければ多い程それら3要素の間でスパークが起きる頻度が高まり、革新的なテーマが数多く創出されることになります。
 
 しかし、多ければ多いと言っても、対象を絞らなければ効率的に知識を収集・蓄積することはできません。知識の収集・蓄積にはその起点となる拠り所が必要です。社外から技術知識を収集し蓄積するには、どのような点を拠り所にすれば良いのでしょうか?
 
 技術マネジメント
 

2. 社外技術知識の収集・蓄積の拠り所:自社のコア技術

 
 技術知識の収集・蓄積の拠り所になるのが、まさに前回まで解説をしてきた自社のコア技術です。自社は今後の展開として、このコア技術を多いに活用してイノベーションを起こすと決めているのですから(それがコア技術設定の目的です)、社外の技術知識の収集・蓄積においてこのコア技術を重要な拠り所とすることは、理に適っています。
 
 自社のコア技術を拠り所にして外部の技術知識を収集・蓄積する活動には、大きくは2つの方向性があります。
 

(1) 自社のコア技術の補完技術

 
 通常革新的な製品を実現するには、自社のコア技術だけでの達成は不可能です。自社のコア技術と外部の何等かの技術のスパークにより、革新的なテーマをスパークにて創出するのです。ですから、一つの方向性が、自社のコア技術との間でスパークを起こし、革新的な製品が生み出されるような外部の技術です。ですので、外部の技術の収集・蓄積となるのは、コア技術とスパークを起こしてくれるような技術です。
 
 もちろん、自社でこのようなコア技術を利用してスパークを起こす機会を社外において探すわけですが、どのような外部技術と組み合わさるとスパークが起きるかを自社の現有の知識や経験だけ探すのでは、その発想が限定されてしまいます。ここに何かしらの工夫が必要です。
 

(2) 自社のコア技術...

 現在この連載では、KETICモデルの最初の知識(Knowledge)の内、技術の知識の解説をしていますが、今回からは社外の技術知識をどう収集・蓄積するかについて解説します。
 

1. イノベーションを起こすために収集する社外技術知識の収集・蓄積の拠り所の必要性

 
 この連載の中でも何度が議論をしてきたように、革新的なテーマを創出するには、技術知識、市場知識そして自社の強みが必要であると考えています。
 
 このモデルを前提とすると、自社の強み以外の2つの要素である技術知識と市場知識は、多ければ多い程それら3要素の間でスパークが起きる頻度が高まり、革新的なテーマが数多く創出されることになります。
 
 しかし、多ければ多いと言っても、対象を絞らなければ効率的に知識を収集・蓄積することはできません。知識の収集・蓄積にはその起点となる拠り所が必要です。社外から技術知識を収集し蓄積するには、どのような点を拠り所にすれば良いのでしょうか?
 
 技術マネジメント
 

2. 社外技術知識の収集・蓄積の拠り所:自社のコア技術

 
 技術知識の収集・蓄積の拠り所になるのが、まさに前回まで解説をしてきた自社のコア技術です。自社は今後の展開として、このコア技術を多いに活用してイノベーションを起こすと決めているのですから(それがコア技術設定の目的です)、社外の技術知識の収集・蓄積においてこのコア技術を重要な拠り所とすることは、理に適っています。
 
 自社のコア技術を拠り所にして外部の技術知識を収集・蓄積する活動には、大きくは2つの方向性があります。
 

(1) 自社のコア技術の補完技術

 
 通常革新的な製品を実現するには、自社のコア技術だけでの達成は不可能です。自社のコア技術と外部の何等かの技術のスパークにより、革新的なテーマをスパークにて創出するのです。ですから、一つの方向性が、自社のコア技術との間でスパークを起こし、革新的な製品が生み出されるような外部の技術です。ですので、外部の技術の収集・蓄積となるのは、コア技術とスパークを起こしてくれるような技術です。
 
 もちろん、自社でこのようなコア技術を利用してスパークを起こす機会を社外において探すわけですが、どのような外部技術と組み合わさるとスパークが起きるかを自社の現有の知識や経験だけ探すのでは、その発想が限定されてしまいます。ここに何かしらの工夫が必要です。
 

(2) 自社のコア技術の強化のための技術

 
 もう一つの方向性が、自社のコア技術をより強化するための技術を探すということです。自社のコア技術がより強化されると、すなわち技術の水準が向上し、さらにコア技術を構成する新たな要素技術の知識が得られれば、スパークの頻度は上がることになります。
 
 次回は、上記の(1)自社のコア技術の補完技術をどう探すかの工夫や活動について個別の解説をします。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
クレーム率シングルppmをゼロに(4) 【快年童子の豆鉄砲】(その59)

  1.「連関図」の結論引き出し関連部分の表示 この事例の場合、熟成が完了した連関図は、データ数が91と多い上、熟成度指数が2.23(筆...

  1.「連関図」の結論引き出し関連部分の表示 この事例の場合、熟成が完了した連関図は、データ数が91と多い上、熟成度指数が2.23(筆...


マクロ環境分析:技術 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その41)

        現在、この連載ではマクロ環境分析の議論をしていますが、今回は、PESTEL(Politica...

        現在、この連載ではマクロ環境分析の議論をしていますが、今回は、PESTEL(Politica...


製品設計におけるトレードオフのコントロール(その2)

 製品設計におけるトレードオフのコントロールを、前回に続いて解説します。   1.トレードオフ対応フロー  図1はトレードオフへの対応フローの一...

 製品設計におけるトレードオフのコントロールを、前回に続いて解説します。   1.トレードオフ対応フロー  図1はトレードオフへの対応フローの一...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
設計部門と組織政治の影響(その3)

 前回のその2に続いて解説します。   ◆政治的要因の検討で決まるスケジュールの確度・精度    日程を決めるときには、仕組み...

 前回のその2に続いて解説します。   ◆政治的要因の検討で決まるスケジュールの確度・精度    日程を決めるときには、仕組み...


設計工程の進捗管理とは

    今回は、設計の進捗管理の方法についてみていきます。設計の進捗管理は、どの企業においても難しいという意見をお聞きします。その理...

    今回は、設計の進捗管理の方法についてみていきます。設計の進捗管理は、どの企業においても難しいという意見をお聞きします。その理...


イノベーションのための「チーム体制」

 「最後の砦、技術力がアブナイ」では、技術者は自律性、創意工夫、挑戦意欲、変化対応力などを期待されているにもかかわらず、開発現場はそのような技術者に育てる...

 「最後の砦、技術力がアブナイ」では、技術者は自律性、創意工夫、挑戦意欲、変化対応力などを期待されているにもかかわらず、開発現場はそのような技術者に育てる...