知識・経験を関係性で整理する 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その71)

更新日

投稿日

技術マネジメント

 今回からKETICモデルの「思考」の中の、「知識・経験を関係性で整理する」について解説をします。前回までに解説した時系列や物理量などで整理した要素を、さらにそれら要素間の関係性も考えることは、得られた知識や経験をより構造的に整理するものとして重要です。なぜなら、それら要素の間には単なる分割ではない関係性が存在することが多いからです。

1. 関係性の種類

 それでは、要素の間にはどのような関係性の種類があるのでしょうか?

(1) 原因と結果

 関係性で誰でもすぐ気が付くものに、原因と結果があります。ある要素が他の要素を生み出すという関係です。

(2) 影響を与える

 原因と結果のようにある要素が他の要素を生み出すというまでの強い関係ではなく、前者が後者になんらかの影響を当える関係も存在します。

(3) 包含

 ある要素が他のより大きな要素の一部になっている、すなわち包含されているという関係です。

(4) 一部を共有

 ある要素とある要素が完全に独立しておらず、一部を共有しているような関係です。

(5) 並列

 なんらかの関係性の全体の構造の中で同じ位置付けであり、かつ両者間には重複はなく独立している関係です。

2. 原因と結果

 それでは、これらの関係性の種類の中にある1つ目の原因と結果について解説します。原因と結果の数の組み合わせなどにより、次の類型があるように思えます。

(1) リニア(1つの原因→1つの結果)

 「風が吹けば桶屋がもうかる」構造。

(2) ピラミッド(1つの原因→複数の結果)

 1つの原因が様...

技術マネジメント

 今回からKETICモデルの「思考」の中の、「知識・経験を関係性で整理する」について解説をします。前回までに解説した時系列や物理量などで整理した要素を、さらにそれら要素間の関係性も考えることは、得られた知識や経験をより構造的に整理するものとして重要です。なぜなら、それら要素の間には単なる分割ではない関係性が存在することが多いからです。

1. 関係性の種類

 それでは、要素の間にはどのような関係性の種類があるのでしょうか?

(1) 原因と結果

 関係性で誰でもすぐ気が付くものに、原因と結果があります。ある要素が他の要素を生み出すという関係です。

(2) 影響を与える

 原因と結果のようにある要素が他の要素を生み出すというまでの強い関係ではなく、前者が後者になんらかの影響を当える関係も存在します。

(3) 包含

 ある要素が他のより大きな要素の一部になっている、すなわち包含されているという関係です。

(4) 一部を共有

 ある要素とある要素が完全に独立しておらず、一部を共有しているような関係です。

(5) 並列

 なんらかの関係性の全体の構造の中で同じ位置付けであり、かつ両者間には重複はなく独立している関係です。

2. 原因と結果

 それでは、これらの関係性の種類の中にある1つ目の原因と結果について解説します。原因と結果の数の組み合わせなどにより、次の類型があるように思えます。

(1) リニア(1つの原因→1つの結果)

 「風が吹けば桶屋がもうかる」構造。

(2) ピラミッド(1つの原因→複数の結果)

 1つの原因が様々な結果を生む構造。

(3) 逆ピラミッド(複数の原因→1つの結果)

 ある結果は複数の原因からもたらされる。

(4) 環状構造

 原因と結果の連鎖が環状に循環している構造で、結果がその結果を生み出している原因の原因になっている構造。

 次回に続きます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その19)

1. 人間は合理性と非合理性を合わせ持つ生き物    人間に他の動物とは異なり、今ある高い文明を実現させたのは、合理的に思考するという人間の...

1. 人間は合理性と非合理性を合わせ持つ生き物    人間に他の動物とは異なり、今ある高い文明を実現させたのは、合理的に思考するという人間の...


新規事業ができない理由?それはエラい人にある?~技術企業の高収益化:実践的な技術戦略の立て方(その31)

  【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら! 「テーマ創出が出来た後はどのような見通...

  【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら! 「テーマ創出が出来た後はどのような見通...


普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その177) 妄想とイノベーション創出

・見出しの番号は、前回からの連番です。 【目次】 妄想はネガティブに捉えられがちですが、私は妄想はイノベーション創出において、極め...

・見出しの番号は、前回からの連番です。 【目次】 妄想はネガティブに捉えられがちですが、私は妄想はイノベーション創出において、極め...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
品質の仕組みとは1 プロジェクト管理の仕組み (その27)

 製品開発を行っている組織において、設計・製造の仕組みを構築したり見直したりするというとき、品質向上に貢献することが何らかの形でゴールのひとつとなっている...

 製品開発を行っている組織において、設計・製造の仕組みを構築したり見直したりするというとき、品質向上に貢献することが何らかの形でゴールのひとつとなっている...


設計部門とリスク管理(その3)

【設計部門とリスク管理 連載目次】 1. リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成 2. コンティンジェンシープランの注意事項 3. リスク管理...

【設計部門とリスク管理 連載目次】 1. リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成 2. コンティンジェンシープランの注意事項 3. リスク管理...


擦り合わせ型と組み合わせ型、目指すべき開発体制とは(その2)

【目指すべき開発体制 連載目次】 目指すべき開発体制とは(その1)擦り合わせ型と組み合わせ型 目指すべき開発体制とは(その2)日本企業文化を引きず...

【目指すべき開発体制 連載目次】 目指すべき開発体制とは(その1)擦り合わせ型と組み合わせ型 目指すべき開発体制とは(その2)日本企業文化を引きず...