設計工程の進捗管理とは

更新日

投稿日

  
 今回は、設計の進捗管理の方法についてみていきます。設計の進捗管理は、どの企業においても難しいという意見をお聞きします。その理由としては、機械加工工程などとは異なり、加工部品数のようにボリュームを定量的に表現することが難しく、また構想設計のように必要工数がなかなか予測できない点などがあります。そういった点を考慮した中で、私がベストと考える設計工程の進捗管理の方法をご紹介します。
 
 まず、よく行われている下図のようなガントチャート、これによる進捗管理から見ていきたいと思います。
 
 技術マネジメント
 
 これは本当に多くの企業でとられている方法で、上図の例では、緑色の線で示す計画日程と、日々の進捗を赤色線で埋めていく方法です。実はこれは良くない方法で、計画に対しどれだけ先行しているのか、また遅れているのかわかりません。赤色線を日々更新して伸ばしていくうちに、結果的に緑色の計画線を追い越してしまい、工程納期直前になって何の対策も取られないまま、工程納期を過ぎてしまうパターンです。また、赤い円グラフによる進度管理についても、現状どれだけの割合が完成しているのか一応わかりますが、日程とリンクしておらず、やはりあと何日遅れているのか、逆に余裕があるのかがわかりません。
 

◆ あるべき進捗管理の方法

 
 そこで私が推奨する進捗管理が下図の形式です。
 
 進捗管理
 
 まず、オレンジ色で示すマスが、計画日程です。これは先ほど見てきた事例と方法は変わりません。違うのは、進捗状況を表す青色のマスの日程です。これは、先ほどの良くない事例のように日にちで更新してもほとんど意味がありません。達成率で更新することが重要です。青色のマスは、母数である計画日数に対し、今日現在の設計工程の完成度の割合を日数に換算して表現しています。上図の例では、組図設計は着手日が2/25、完了予定が3/8ですので、土日を除いた実質稼働日数は10日となります。設計担当者は毎日の進捗報告として、現状の設計の完成度割合を達成率のところへパーセント数値で入力していきます。上の例では、達成率は30%と入力されています。
 
 したがって、計画日数10日のうちの30%ということで、3日分の完成度割合ということになり、着手日の2/25から2/27までが青いマスで埋められるということになります。今日現在の位置は、赤く太い縦線で表現します。この赤い線は、毎日横に移動していきます。したがって、今日現在を表す赤い太線と、青いマスとの差が、現状との進み・遅れを表す差異となります。
 
 上の例では、今日現在を示す赤い線は3/1となっており、着手日の2/25から5日が経過しているので、本来50%完成していなければいけませんが、進捗報告では30%しか完成していませんので、2日分の遅れが出ております(オレンジの両側矢印)。逆に下図のように、先行する場合もあります。
 
 設計管理
 
 この例では、同じく3/1の時点で、本来50%の完成度で良いところが、70%の達成率が報告されているので、完成度で換算した青いマスの日数は、実質稼働日数ベースで3/5まで進んでおり、土日を除くと、2日分先行できています(オレンジ色の両側矢印)。このように本来、進捗管理というものは、締め切り日が到来して、間に合った・間に合わなかったという結果論ではなく、日々の管理の中でどれだけ早く対策(アクション)が取れるかが重要なポイントになります。例えば、遅れを未然に察知した時点で、残業や休日出勤の手続きをとる、受応援の手続きをとる、工程納期を見直すなどの対策をとります。
 
 また、顧客による設計変更や仕様追加などにより、設計ボリュームに変更があれば、計画日程を増やすか、別途、新たな設計工程として追加するなどの調整を行います。重要なのは、ボリュームが増えたことを放置するのではなく、改めて達成率による進捗管理ができる状態に更新することです。
 
 最後に、こうし...
  
 今回は、設計の進捗管理の方法についてみていきます。設計の進捗管理は、どの企業においても難しいという意見をお聞きします。その理由としては、機械加工工程などとは異なり、加工部品数のようにボリュームを定量的に表現することが難しく、また構想設計のように必要工数がなかなか予測できない点などがあります。そういった点を考慮した中で、私がベストと考える設計工程の進捗管理の方法をご紹介します。
 
 まず、よく行われている下図のようなガントチャート、これによる進捗管理から見ていきたいと思います。
 
 技術マネジメント
 
 これは本当に多くの企業でとられている方法で、上図の例では、緑色の線で示す計画日程と、日々の進捗を赤色線で埋めていく方法です。実はこれは良くない方法で、計画に対しどれだけ先行しているのか、また遅れているのかわかりません。赤色線を日々更新して伸ばしていくうちに、結果的に緑色の計画線を追い越してしまい、工程納期直前になって何の対策も取られないまま、工程納期を過ぎてしまうパターンです。また、赤い円グラフによる進度管理についても、現状どれだけの割合が完成しているのか一応わかりますが、日程とリンクしておらず、やはりあと何日遅れているのか、逆に余裕があるのかがわかりません。
 

◆ あるべき進捗管理の方法

 
 そこで私が推奨する進捗管理が下図の形式です。
 
 進捗管理
 
 まず、オレンジ色で示すマスが、計画日程です。これは先ほど見てきた事例と方法は変わりません。違うのは、進捗状況を表す青色のマスの日程です。これは、先ほどの良くない事例のように日にちで更新してもほとんど意味がありません。達成率で更新することが重要です。青色のマスは、母数である計画日数に対し、今日現在の設計工程の完成度の割合を日数に換算して表現しています。上図の例では、組図設計は着手日が2/25、完了予定が3/8ですので、土日を除いた実質稼働日数は10日となります。設計担当者は毎日の進捗報告として、現状の設計の完成度割合を達成率のところへパーセント数値で入力していきます。上の例では、達成率は30%と入力されています。
 
 したがって、計画日数10日のうちの30%ということで、3日分の完成度割合ということになり、着手日の2/25から2/27までが青いマスで埋められるということになります。今日現在の位置は、赤く太い縦線で表現します。この赤い線は、毎日横に移動していきます。したがって、今日現在を表す赤い太線と、青いマスとの差が、現状との進み・遅れを表す差異となります。
 
 上の例では、今日現在を示す赤い線は3/1となっており、着手日の2/25から5日が経過しているので、本来50%完成していなければいけませんが、進捗報告では30%しか完成していませんので、2日分の遅れが出ております(オレンジの両側矢印)。逆に下図のように、先行する場合もあります。
 
 設計管理
 
 この例では、同じく3/1の時点で、本来50%の完成度で良いところが、70%の達成率が報告されているので、完成度で換算した青いマスの日数は、実質稼働日数ベースで3/5まで進んでおり、土日を除くと、2日分先行できています(オレンジ色の両側矢印)。このように本来、進捗管理というものは、締め切り日が到来して、間に合った・間に合わなかったという結果論ではなく、日々の管理の中でどれだけ早く対策(アクション)が取れるかが重要なポイントになります。例えば、遅れを未然に察知した時点で、残業や休日出勤の手続きをとる、受応援の手続きをとる、工程納期を見直すなどの対策をとります。
 
 また、顧客による設計変更や仕様追加などにより、設計ボリュームに変更があれば、計画日程を増やすか、別途、新たな設計工程として追加するなどの調整を行います。重要なのは、ボリュームが増えたことを放置するのではなく、改めて達成率による進捗管理ができる状態に更新することです。
 
 最後に、こうした機能を何のソフトで行うかですが、ファイル共有の問題がなければ、エクセルにマクロなどを若干加えて実現できると思いますが、ある程度の企業規模で、複数名の設計者で共有した管理表を作るのであれば、自前でシステムを作るよりは、長期間付き合えるシステムベンダに依頼して作った方が良いかもしれません。
 
 私が多くの企業を見てきた経験では、特定のパソコンに詳しい社内人材にシステムを作らせると、その人の異動・退社・欠勤などにより、いずれトラブルを抱えることになります。目先のコストにとらわれると、もっと大きなロスコストに足を引っ張られることになるかもしれません。管理(コントロール)ができる、正しい進捗管理を行ってください。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

村上 英樹

金型・部品加工業専門コンサルティングです!販路開拓・生産改善・外注費削減の3つを支援するトライアングル支援パッケージ、技術を起点とする新しい経営コンサルタント

金型・部品加工業専門コンサルティングです!販路開拓・生産改善・外注費削減の3つを支援するトライアングル支援パッケージ、技術を起点とする新しい経営コンサルタント


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
『価値づくり』の研究開発マネジメント (その17)

   前回まで、オープンイノベーションの経済学について解説しました。今回からは、オープンイノベーションの心理学について、解説します。 ◆...

   前回まで、オープンイノベーションの経済学について解説しました。今回からは、オープンイノベーションの心理学について、解説します。 ◆...


未来志向でコア技術を設定する 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その28)

 そろそろ自社の技術ではなく、社外の技術の収集の議論に移りたいのですが、私のところで起こったある出来事で、『未来志向でコア技術を設定する』ことを強調してお...

 そろそろ自社の技術ではなく、社外の技術の収集の議論に移りたいのですが、私のところで起こったある出来事で、『未来志向でコア技術を設定する』ことを強調してお...


紙幣識別装置の技術進化と今後の展望、経済活動を支える重要な技術インフラとは

   【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら! 1. はじめに 紙幣識別装置は、自動販売機や...

   【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら! 1. はじめに 紙幣識別装置は、自動販売機や...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
プロジェクトの計画策定 プロジェクト管理の仕組み (その3)

 前回のその2:CMMIの要件管理に続いて、プロジェクトの計画策定について解説します。CMMIでは次のことができている必要があります。   ...

 前回のその2:CMMIの要件管理に続いて、プロジェクトの計画策定について解説します。CMMIでは次のことができている必要があります。   ...


R&Dの価値創造力を高めるシンプルツール、iMapとは、

 技術経営とは、「企業の経営資源である技術を経営戦略の中核に位置づけ、顧客価値の創造へ向けて、その獲得・強化・活用を戦略的に行うことにより、継続的な企業の...

 技術経営とは、「企業の経営資源である技術を経営戦略の中核に位置づけ、顧客価値の創造へ向けて、その獲得・強化・活用を戦略的に行うことにより、継続的な企業の...


‐市場の観察から開発テ-マを得る‐  製品・技術開発力強化策の事例(その6)

 前回の事例その5に続いて解説します。新技術が社会に普及し始めると、それに関連した新商品を顧客の要求に即応して供給出来ないで、新技術搭載製品の供給不足が起...

 前回の事例その5に続いて解説します。新技術が社会に普及し始めると、それに関連した新商品を顧客の要求に即応して供給出来ないで、新技術搭載製品の供給不足が起...