製品開発とコストダウン(その2)

投稿日

1.設計でのコストダウン

 コストダウン設計でのコストダウンは、大きく2つに分けて考えることが出来ます。一つは、設計者が、設計業務の中で着目すべきコストダウンポイントを知っておくことです。そしてもう一つは、コストダウンを容易に検討できる仕組みを作ることです。順番に解説する前に、ひとつ大切な確認をします。それは、製品を作るにあたって、製造部門に伝達するコミュニケーションの道具になる図面や仕様書が、相手に理解できているかと言うことです。
 
 コストダウンどのように作るのか、組立するのかわからないということがありませんか。設計者が、製品の構造や形状を頭の中だけで考え、実際に品物や現品を見ることがないために生じるもので、説明しないと理解できないこともあります。これは、製品原価を作る立場にある人たちに任せてしまうことであり、設計でのコストダウンとは程遠い話になります。それでは、コストダウンの着眼点に戻って、設計業務の中で着目すべきコストダウンポイントを4つ紹介します。
 

①.部品点数を見直す

 製品をつくるための情報として部品表があります。部品表には必要な部品が記載されているわけで、この点数を減らすことです。部品の点数が多くなれば、それだけ組立に時間がかかることになり、組立費用もそれだけ増えます。また、部品で考えた場合には、組合せ部分が増えることになって、そのために部品の組合せ部分の品質や精度を厳しく設定していかなくてはなりません。
 
 これは、部品を加工する上で、工程や作業が増えることになり、それだけ手間をかけることになり、原価を押し上げる要因であることは間違いありません。
 

②.材料単価のチェックをする

 車や家電製品に使われている部品を考えてみてください。昔の車や家電製品は、鋼板という鉄の板をたくさん使用していました。現在は、鋼板から樹脂に変わってきています。これは、要求を満たせる安価な材料を選択してきたからです。材料単価の情報を知ることがポイントの一つです。
 

③.標準化・共通化

 基本的なことなのですが、「量に勝るコストダウンなし。」という言葉をご存知でしょうか。これは、製品を作るときに1個作っても100個作っても段取費のように数量に関係なく一定額発生する費用と数量が増えると加工費のように比例して増える費用があります。当然、数量がまとまれば、段取費を数量で割ると、1台あたりの段取費が下がります。ここでコストダウンが出来ます。また、数量がまとまれば、作り方を変えて、効率よく生産することもできます。あまりむずかしく考えなくても、同じものを1個買うのと100個買うのでは、100個のときに安くしてくれますよね。これと同じことです。コストダウンを進めるにあたっても、もっとも効果的な方法は、やはり数量をまとめることです。数量をまとめるには、A.製品として数量がまとめる、B.製品ではなくユニットのレベルで数量をまとめる、C.部品レベルで数量をまとめる3つがあります。つまり、共通化を図り、まとめて買う、まとめて作ることによってコストダウンを図ることになります。
 

④.組立、メンテナンスのしやすさ

 ここでは、製品を組立てるときのコストダウンのポイントについて考えます。近年では、製品の組立について、セル生産方式が浸透し、一人で完成まで組み立てることを考えるようになってきています。
 
 セル生産方式は、部品や仕掛り在庫を削減でき、作業動作の中での付加...

1.設計でのコストダウン

 コストダウン設計でのコストダウンは、大きく2つに分けて考えることが出来ます。一つは、設計者が、設計業務の中で着目すべきコストダウンポイントを知っておくことです。そしてもう一つは、コストダウンを容易に検討できる仕組みを作ることです。順番に解説する前に、ひとつ大切な確認をします。それは、製品を作るにあたって、製造部門に伝達するコミュニケーションの道具になる図面や仕様書が、相手に理解できているかと言うことです。
 
 コストダウンどのように作るのか、組立するのかわからないということがありませんか。設計者が、製品の構造や形状を頭の中だけで考え、実際に品物や現品を見ることがないために生じるもので、説明しないと理解できないこともあります。これは、製品原価を作る立場にある人たちに任せてしまうことであり、設計でのコストダウンとは程遠い話になります。それでは、コストダウンの着眼点に戻って、設計業務の中で着目すべきコストダウンポイントを4つ紹介します。
 

①.部品点数を見直す

 製品をつくるための情報として部品表があります。部品表には必要な部品が記載されているわけで、この点数を減らすことです。部品の点数が多くなれば、それだけ組立に時間がかかることになり、組立費用もそれだけ増えます。また、部品で考えた場合には、組合せ部分が増えることになって、そのために部品の組合せ部分の品質や精度を厳しく設定していかなくてはなりません。
 
 これは、部品を加工する上で、工程や作業が増えることになり、それだけ手間をかけることになり、原価を押し上げる要因であることは間違いありません。
 

②.材料単価のチェックをする

 車や家電製品に使われている部品を考えてみてください。昔の車や家電製品は、鋼板という鉄の板をたくさん使用していました。現在は、鋼板から樹脂に変わってきています。これは、要求を満たせる安価な材料を選択してきたからです。材料単価の情報を知ることがポイントの一つです。
 

③.標準化・共通化

 基本的なことなのですが、「量に勝るコストダウンなし。」という言葉をご存知でしょうか。これは、製品を作るときに1個作っても100個作っても段取費のように数量に関係なく一定額発生する費用と数量が増えると加工費のように比例して増える費用があります。当然、数量がまとまれば、段取費を数量で割ると、1台あたりの段取費が下がります。ここでコストダウンが出来ます。また、数量がまとまれば、作り方を変えて、効率よく生産することもできます。あまりむずかしく考えなくても、同じものを1個買うのと100個買うのでは、100個のときに安くしてくれますよね。これと同じことです。コストダウンを進めるにあたっても、もっとも効果的な方法は、やはり数量をまとめることです。数量をまとめるには、A.製品として数量がまとめる、B.製品ではなくユニットのレベルで数量をまとめる、C.部品レベルで数量をまとめる3つがあります。つまり、共通化を図り、まとめて買う、まとめて作ることによってコストダウンを図ることになります。
 

④.組立、メンテナンスのしやすさ

 ここでは、製品を組立てるときのコストダウンのポイントについて考えます。近年では、製品の組立について、セル生産方式が浸透し、一人で完成まで組み立てることを考えるようになってきています。
 
 セル生産方式は、部品や仕掛り在庫を削減でき、作業動作の中での付加価値を生まない行為を減らし、効率を上げることができること、作業者のやる気を起こさせる非常に有効な方法です。このセル生産方式でさらに効果をあげるためにも、組立しやすいことが求められます。
 
 その方法とは、組立時に組み付けの方向を変えないで、一方向から取り付けていけることです。製品を一方向から組立ができる場合と製品を反転させたり、起こしたりする場合であれば、少なくとも反転や起こしたりする時間分だけ組立時間に差がでてきます。この結果は、コストアップにつながります。また、製品の修理が発生します。このときに部品の交換をしなければなりません。この場合のメンテナンスのしやすさも考えられます。一方向から取付け取外しができれば、その分、コストダウンできます。
 
 次回、その3では、コストダウンのための仕組み作りを解説します。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

間舘 正義

製品を切り口に最適コスト追求のためのコスト・ソリューションを提供します。

製品を切り口に最適コスト追求のためのコスト・ソリューションを提供します。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
クレーム率シングルppmをゼロに(2) 【快年童子の豆鉄砲】(その57)

  1.「連関図法」による不具合発生体質の把握 1)スタッフワークレベルの連関図法の使い方 採取した言語データ91を連関図法で解析する...

  1.「連関図法」による不具合発生体質の把握 1)スタッフワークレベルの連関図法の使い方 採取した言語データ91を連関図法で解析する...


市場知識 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その34)

         前回まではKETICモデルの知識の3つの構成要素である、技術知識、市場知識、自社...

         前回まではKETICモデルの知識の3つの構成要素である、技術知識、市場知識、自社...


普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その177) 妄想とイノベーション創出

・見出しの番号は、前回からの連番です。 【目次】 妄想はネガティブに捉えられがちですが、私は妄想はイノベーション創出において、極め...

・見出しの番号は、前回からの連番です。 【目次】 妄想はネガティブに捉えられがちですが、私は妄想はイノベーション創出において、極め...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
追求するのは擦り合わせ能力を活かすマネジメント(その3)

 前回のその2に続いて解説します。図15は製品開発(設計)における調整の仕組みを詳細化したものです。「可視化」「分析」「視点切り替え」3つの要素から成り立...

 前回のその2に続いて解説します。図15は製品開発(設計)における調整の仕組みを詳細化したものです。「可視化」「分析」「視点切り替え」3つの要素から成り立...


ソフトウェア開発スケジュールと結合テスト プロジェクト管理の仕組み (その7)

 前回のその6:進捗管理可能なソフト開発計画に続いて解説します。    ソフトウェア開発スケジュールでは次のような問題を抱えています。 &...

 前回のその6:進捗管理可能なソフト開発計画に続いて解説します。    ソフトウェア開発スケジュールでは次のような問題を抱えています。 &...


設計部門と組織政治の影響(その3)

 前回のその2に続いて解説します。   ◆政治的要因の検討で決まるスケジュールの確度・精度    日程を決めるときには、仕組み...

 前回のその2に続いて解説します。   ◆政治的要因の検討で決まるスケジュールの確度・精度    日程を決めるときには、仕組み...