エコシステムの国際比較 オープンイノベーションとは(その3)

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【オープンイノベーションとは 連載目次】

 オープンイノベーション白書、第二版の中から興味深い内容をピックアップして、解説しています。今回は、その3です
 
 「第三章 オープンイノベーションを創出するエコシステムの国際比較」、この章では、オープンイノベーションを創出するエコシステムについての国際比較やエコシステムを持つシンガポール、 ボストン、 ロンドン、 ベルリン、パリについて紹介しています。
 
 各都市の行政にとしての補助金などを含めた施策が詳細にまとめられていますので読んでいただくとして、この記事では行政施策以外の2つの内容を取り上げます。
 

1. ボストンとシリコンバレーの比較

 
 ボストンはケンブリッジを中心にハーバード大学、 マサチューセッツ工科大学などがあり、シリコンバレーと比較されやすいイノベーション ・ エコシステムということで、各々の特徴が表としてまとめられています。この表を見て感じたことは、ボストン≒日本の大企業、シリコンバレー≒ベンチャー企業のように見えることです。

 

 
 半導体産業からいち早く産業構造の変化に対応したシリコンバレーに対し、ボストンは、垂直統合型 ・ 自給自足型で大量生産方式の大企業的な特徴があり、保守的な体制であると記載されるところからも感じられないでしょうか。
 
 近年は挽回すべく 「イノベーション地区」 の再開発が進んでいると記されています。日本でも「シリコンバレー式」というタイトルの書籍が溢れていますが、もしかすると「ボストン式」の施策を真似る方が肌に合ったイノベーション・エコシステムを実現できるのかもしれません。
 

2. コラム:CIC(ケンブリッジ・イノベーションセンター)の日本進出

 
 二つ目は、スタートアップが入居する「イノベーション空間」を提供する世界最大級のスタートアップ支援組織CIC:Cambridge Innovation Centerのコラムからです。
 
 このコラムには、日本のイノベーション ・ エコシステムへの課題認識と提言が記載されています。記載されている課題と提言は、「全体として、 日本はリスクをあまりにも避けすぎている」「民間企業とスタートアップの連携」などいずれも一度は目にしたことがある内容とな...
 
  技術マネジメント
 

 

【オープンイノベーションとは 連載目次】

 オープンイノベーション白書、第二版の中から興味深い内容をピックアップして、解説しています。今回は、その3です
 
 「第三章 オープンイノベーションを創出するエコシステムの国際比較」、この章では、オープンイノベーションを創出するエコシステムについての国際比較やエコシステムを持つシンガポール、 ボストン、 ロンドン、 ベルリン、パリについて紹介しています。
 
 各都市の行政にとしての補助金などを含めた施策が詳細にまとめられていますので読んでいただくとして、この記事では行政施策以外の2つの内容を取り上げます。
 

1. ボストンとシリコンバレーの比較

 
 ボストンはケンブリッジを中心にハーバード大学、 マサチューセッツ工科大学などがあり、シリコンバレーと比較されやすいイノベーション ・ エコシステムということで、各々の特徴が表としてまとめられています。この表を見て感じたことは、ボストン≒日本の大企業、シリコンバレー≒ベンチャー企業のように見えることです。

 

 
 半導体産業からいち早く産業構造の変化に対応したシリコンバレーに対し、ボストンは、垂直統合型 ・ 自給自足型で大量生産方式の大企業的な特徴があり、保守的な体制であると記載されるところからも感じられないでしょうか。
 
 近年は挽回すべく 「イノベーション地区」 の再開発が進んでいると記されています。日本でも「シリコンバレー式」というタイトルの書籍が溢れていますが、もしかすると「ボストン式」の施策を真似る方が肌に合ったイノベーション・エコシステムを実現できるのかもしれません。
 

2. コラム:CIC(ケンブリッジ・イノベーションセンター)の日本進出

 
 二つ目は、スタートアップが入居する「イノベーション空間」を提供する世界最大級のスタートアップ支援組織CIC:Cambridge Innovation Centerのコラムからです。
 
 このコラムには、日本のイノベーション ・ エコシステムへの課題認識と提言が記載されています。記載されている課題と提言は、「全体として、 日本はリスクをあまりにも避けすぎている」「民間企業とスタートアップの連携」などいずれも一度は目にしたことがある内容となっています。
 
 同じような指摘や助言にうんざりしてしまうこともあるかと思いますが、多くの専門機関が同様の課題を提言するのであれば、事実であると受け止めて改善活動を進めたいものです。また他のコラムには各国の企業の具体的な事業活動が記載されていますので、ご自身の新規事業創出のヒントになるものがあるかもしれません。
 
 次回は、我が国のオープンイノベーション推進事例を解説します。
 

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この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

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