仕事の評価基準 儲かるメーカー改善の急所101項(その99)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 

7、これからのモノづくり経営

 前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その98)投資の判断基準に続いて、解説します。

◆ 仕事の評価基準

 仕事を評価する方法はいろいろありますが、その多くは生産性や品質を基準とした結果指標なのではないでしょうか。もちろんこのような指標を見ながら改善を行って競争力を付けていく活動はとても大切です。しかしこれらの活動はとても管理的です。

 管理という方法は生産性や品質においてはとても有効ですが、人間を相手にする場合には限界があります。私たち人間は機械と違って意思や自発性があります。ですから作業が楽で仕事が楽しく、その人が幸せかどうかを評価する指標が必要だと思います。従業員それぞれに課題が与えられていて、それぞれに頑張れる環境があり、そして結果が出たらが必ずほめられ、難しかったら助けてもらえる体制が欲しいものです。

 皆が助け合い意欲的に改善を進めれば、会社は自然と進歩向上します。効率の追求と幸せの追求。前者に偏りがちな会社が多いのですが、人は自らの幸せのために自発的に動き出した時、驚くほど大きな力を発揮するものです。

 

 私は自分の改善指導の中で、現場で皆が改善を追求して、実行して下されば効果の大小を問わずすべての人がほめられてご褒美をもらうというやり方をしています。このやり方にチョコ案という名前を付けました。何を改善しなさいということではなく、皆さんが自分で考えてできることをどんどん実行して、その結果を簡単に書いて報告するものです。改善の内容は独自でユニークなモノである必要はなく、ほかの人がやった良い改善をマネしてもいいし、工場内の不具合の修繕でもいいし、何でもありです。1人月1件以上という以外の目標は設定していないのですが、品質も生産性も在庫もものすごく向上します。

 欧米でも同じようなことが話題になっていて、「ティール組織」という本が出ています。これまでのビジネススクールで習うような、戦略に従って目標を設定してそれをトップダウンで指示して実行するやり方だと、人はそれぞれ頑張るけれど委縮しがちであるし自発的な助け合いは起きないが、それらが無い組織だと人はのびのびと力を発揮して助け合いも生じるという新しい仕事のやり方の発見の報告といった感じの本でした。

 人が思いっきり実力を発揮し、助け合いがある、楽しく幸せな仕事のやり方を追...

生産マネジメント

 

7、これからのモノづくり経営

 前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その98)投資の判断基準に続いて、解説します。

◆ 仕事の評価基準

 仕事を評価する方法はいろいろありますが、その多くは生産性や品質を基準とした結果指標なのではないでしょうか。もちろんこのような指標を見ながら改善を行って競争力を付けていく活動はとても大切です。しかしこれらの活動はとても管理的です。

 管理という方法は生産性や品質においてはとても有効ですが、人間を相手にする場合には限界があります。私たち人間は機械と違って意思や自発性があります。ですから作業が楽で仕事が楽しく、その人が幸せかどうかを評価する指標が必要だと思います。従業員それぞれに課題が与えられていて、それぞれに頑張れる環境があり、そして結果が出たらが必ずほめられ、難しかったら助けてもらえる体制が欲しいものです。

 皆が助け合い意欲的に改善を進めれば、会社は自然と進歩向上します。効率の追求と幸せの追求。前者に偏りがちな会社が多いのですが、人は自らの幸せのために自発的に動き出した時、驚くほど大きな力を発揮するものです。

 

 私は自分の改善指導の中で、現場で皆が改善を追求して、実行して下されば効果の大小を問わずすべての人がほめられてご褒美をもらうというやり方をしています。このやり方にチョコ案という名前を付けました。何を改善しなさいということではなく、皆さんが自分で考えてできることをどんどん実行して、その結果を簡単に書いて報告するものです。改善の内容は独自でユニークなモノである必要はなく、ほかの人がやった良い改善をマネしてもいいし、工場内の不具合の修繕でもいいし、何でもありです。1人月1件以上という以外の目標は設定していないのですが、品質も生産性も在庫もものすごく向上します。

 欧米でも同じようなことが話題になっていて、「ティール組織」という本が出ています。これまでのビジネススクールで習うような、戦略に従って目標を設定してそれをトップダウンで指示して実行するやり方だと、人はそれぞれ頑張るけれど委縮しがちであるし自発的な助け合いは起きないが、それらが無い組織だと人はのびのびと力を発揮して助け合いも生じるという新しい仕事のやり方の発見の報告といった感じの本でした。

 人が思いっきり実力を発揮し、助け合いがある、楽しく幸せな仕事のやり方を追求することもこれからのテーマだと思います。

今回の言葉   

**************

幸せ中心、楽中心で評価する。

**************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」 

日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

 

【参考文献】
『ちょこっと改善が企業を変える』(柿内幸夫著 2012年 経団連出版)
『ティール組織』(フレデリック・ラルー 2018年 英治出版)

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
問題を顕在化してトップが改善の現場に参加 見える化(その4)

【見える化 連載目次】 1. 情報の取り扱いで競争力をつける 2. 見えないことの方が大切なことがある 3. 職場の全員がコスト意識を持つに...

【見える化 連載目次】 1. 情報の取り扱いで競争力をつける 2. 見えないことの方が大切なことがある 3. 職場の全員がコスト意識を持つに...


変化の状況を客観的に見る 見える化(その9)

【見える化 連載目次】 1. 情報の取り扱いで競争力をつける 2. 見えないことの方が大切なことがある 3. 職場の全員がコスト意識を持つに...

【見える化 連載目次】 1. 情報の取り扱いで競争力をつける 2. 見えないことの方が大切なことがある 3. 職場の全員がコスト意識を持つに...


請負費用の工場間比較

 同じような製品を作り、同じような作業を請負させている工場が複数 ある場合(セメント、紙業、建設資材などの複数工場持つ専業メーカー が該当すると思いま...

 同じような製品を作り、同じような作業を請負させている工場が複数 ある場合(セメント、紙業、建設資材などの複数工場持つ専業メーカー が該当すると思いま...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
金型改修の後にとるべき処置とは

        今回は、すでに量産体制に入った金型において、例えば故障や製品不良が起こった際に行う金型改修の...

        今回は、すでに量産体制に入った金型において、例えば故障や製品不良が起こった際に行う金型改修の...


ゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その16)

    前回のゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その15)に続けて解説します。 国内最多のものづくりに関す...

    前回のゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その15)に続けて解説します。 国内最多のものづくりに関す...


ゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その11)

前回のゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その10)に続けて解説します。   ◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイト...

前回のゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その10)に続けて解説します。   ◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイト...