自分の目で見る 儲かるメーカー改善の急所101項(その31)

更新日

投稿日

生産マネジメント

3.仕組みを改善する基本

◆ 問題に対する最大の対策は自分の“目で見る”

 2010年10月ですから、今からちょうど10年くらい前のことです。今はもうないのですが、経団連が主催する「日本経団連洋上研修」というユニークな研修がありました。

 多くの会社の管理者や監督者あるいはその候補者が200人くらい船に乗り込んで8日間にわたる研修をするのです。私はその研修の講師の一人で、毎年多くの方々と一緒に様々な議論を繰り広げることを楽しみにしておりました。

 その年の名誉団長はコマツ会長(当時)の坂根正弘氏でした。そしてみんなで食事をしていた時に坂根名誉団長が「この中で、ボルトがひとりでに緩む瞬間を見たことある人はいるかい?」とニコニコしながら質問されました。ボルトを緩めたことはありますが、ひとりでに緩む瞬間は見たことがありません。私もみんなも黙っていました。すると坂根会長は続けて「そうだろう、見たことないだろう…。でも自動車や設備でボルトが緩むことで起こる問題は多いよ。実際に誰もその瞬間を見ていないという大問題は実に多いんだよな」とおっしゃいました。

 確かに不良統計でボルト緩みという項目は多く、数字も具体的ですが、その瞬間は誰も見ていません。実際に自分の目で見ていないにも関わらず、その事についてあたかも分かっているように振舞ってしまう事は多いなあとその時に思ったものでした。実際、見ればすぐに分かる事であっても見ないで間違った判断を下したり、解決を遠回りさせたりすることも起きているでしょう。

 不良が出続けている時に、誰も現場を見ておらず、正確な状況判断ができていないまま対症療法を取り続けていることもあります。対策だけ行おうとするからなのですが、実は簡単に解決できることが原因だったりします。見る事ができるモノはまず見ることが大切です。

 管理では「見ること」を補うことはできないのです。しかし、もしそれらを自分の目で見れば、瞬時に正確な対策を打つことができるでしょう。現場で現物を見るということは最大の対策...

生産マネジメント

3.仕組みを改善する基本

◆ 問題に対する最大の対策は自分の“目で見る”

 2010年10月ですから、今からちょうど10年くらい前のことです。今はもうないのですが、経団連が主催する「日本経団連洋上研修」というユニークな研修がありました。

 多くの会社の管理者や監督者あるいはその候補者が200人くらい船に乗り込んで8日間にわたる研修をするのです。私はその研修の講師の一人で、毎年多くの方々と一緒に様々な議論を繰り広げることを楽しみにしておりました。

 その年の名誉団長はコマツ会長(当時)の坂根正弘氏でした。そしてみんなで食事をしていた時に坂根名誉団長が「この中で、ボルトがひとりでに緩む瞬間を見たことある人はいるかい?」とニコニコしながら質問されました。ボルトを緩めたことはありますが、ひとりでに緩む瞬間は見たことがありません。私もみんなも黙っていました。すると坂根会長は続けて「そうだろう、見たことないだろう…。でも自動車や設備でボルトが緩むことで起こる問題は多いよ。実際に誰もその瞬間を見ていないという大問題は実に多いんだよな」とおっしゃいました。

 確かに不良統計でボルト緩みという項目は多く、数字も具体的ですが、その瞬間は誰も見ていません。実際に自分の目で見ていないにも関わらず、その事についてあたかも分かっているように振舞ってしまう事は多いなあとその時に思ったものでした。実際、見ればすぐに分かる事であっても見ないで間違った判断を下したり、解決を遠回りさせたりすることも起きているでしょう。

 不良が出続けている時に、誰も現場を見ておらず、正確な状況判断ができていないまま対症療法を取り続けていることもあります。対策だけ行おうとするからなのですが、実は簡単に解決できることが原因だったりします。見る事ができるモノはまず見ることが大切です。

 管理では「見ること」を補うことはできないのです。しかし、もしそれらを自分の目で見れば、瞬時に正確な対策を打つことができるでしょう。現場で現物を見るということは最大の対策手段です。

今回の言葉   

*****************************
 本当に自分の目で見たことと、そうでないことを区別せよ。
*****************************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

    日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫  

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
不良をさらけ出す勇気を持とう 品質を考える(その9)

    【目次】 ◆ 不良をさらけ出す勇気を持とう 1.品質を考える:発生した不良を見えるようにして、恥さ...

    【目次】 ◆ 不良をさらけ出す勇気を持とう 1.品質を考える:発生した不良を見えるようにして、恥さ...


中国工場の実状を知る、部品・材料について 中国工場の品質改善(その33)

 前回のその32に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方 【3.2 中国工場のABC】  「中国工場のABC」、これは...

 前回のその32に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方 【3.2 中国工場のABC】  「中国工場のABC」、これは...


身近なところから見える化の再発見【連載記事紹介】 

  身近なところから見える化の再発見が無料でお読みいただけます!   ◆身近なところから見える化の再発見 ものづくりには、...

  身近なところから見える化の再発見が無料でお読みいただけます!   ◆身近なところから見える化の再発見 ものづくりには、...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
現場リーダーの育成 -経営と現場をつなぐ3つの質問-

 中小ものづくり経営者様より、よく頂戴するお題に「現場リーダーの育成」があります。経営者が笛吹けども現場は踊らずの状況に「経営と現場とのつなぎ役になって欲...

 中小ものづくり経営者様より、よく頂戴するお題に「現場リーダーの育成」があります。経営者が笛吹けども現場は踊らずの状況に「経営と現場とのつなぎ役になって欲...


事例紹介:加工現場における課長という立場

  ◆ 現場の課長が抱える悩みと解決策 【目次】 1、部長と現場の板挟み 2、加工をやっていない課長の苦悩 3、現場肌の課長さんの...

  ◆ 現場の課長が抱える悩みと解決策 【目次】 1、部長と現場の板挟み 2、加工をやっていない課長の苦悩 3、現場肌の課長さんの...


‐段取り替え時間の短縮‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その33)

 前回の事例その32に続いて解説します。繰り返し性のある大量生産品はアジアの各国に生産拠点が移転し、多品種少量の生産が当然の状態になっています。つまり、段...

 前回の事例その32に続いて解説します。繰り返し性のある大量生産品はアジアの各国に生産拠点が移転し、多品種少量の生産が当然の状態になっています。つまり、段...