モノづくりにおける流れの追求 儲かるメーカー改善の急所101項(その74)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ 付加価値が付かない運搬や停滞に注目

 工場は付加価値を付ける場所です。原材料を加工して部品にし、部品を組み立てて製品にします。それぞれの工程で、最初の状態に付加価値を付けて次の状態にすることを繰り返します。このようにして工場では、たくさんの部品や製品が作られますが、付加価値が付く時間は意外に短いものです。

 例えばペンの本体にキャップをはめる組み立て作業では、キャップがはまる「カチン」という音がする瞬間だけで、それ以外は運搬または停滞ということになります。もし付加価値が付く作業だけでモノづくりができたら、すごい生産性向上になります。

 

 工程全体を見て、もし部品や中間品が多い場合は注意が必要です。

 自分たちは一生懸命にモノづくりをしているつもりであっても、付加価値が付いている作業時間は極めて短く、モノを移動させたり、使われるのを待っている時間に多くが割かれているかもしれません。

 付加価値が付かない運搬や停滞を、なしで済ますことができれば生産性は上がるし、仕事がとても楽になります。例えば運搬は重量や距離によっては、大変な仕事であることが多いので改善したいものです。置き場所や設備位置変更などの改善で運搬を減らすことができませんか?このことは、儲かるメーカー改善の急所101項(その60)物の動かし方でも述べました。

 停滞については、箱の大きさによっても発生します。例えば、もし部品箱が20個入りであれば、現在使われている1個目の部品以外の19個の部品は停滞中ということになります。そのようにみると、停滞は工場内に蔓延(まんえん)している可能性があります。

 もし1個ずつ製品を完成させる1個作りができれば、停滞は材料と完成品に集約することができます。そして、これができている状態を「流れている」状態といいます。

 

 工場を歩いてモノの様子を見てみてください。これまでは何気なく見過ごしていたとしても、運搬と停滞という言葉を使って改めて現場を見てみると、付加価値が付いていない状態が次々と見つかることでしょう。気付くことができれば、どうすればそれを改善できるかを考えて実行する次のステップが自動的に始まるのではないでしょうか。どう...

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ 付加価値が付かない運搬や停滞に注目

 工場は付加価値を付ける場所です。原材料を加工して部品にし、部品を組み立てて製品にします。それぞれの工程で、最初の状態に付加価値を付けて次の状態にすることを繰り返します。このようにして工場では、たくさんの部品や製品が作られますが、付加価値が付く時間は意外に短いものです。

 例えばペンの本体にキャップをはめる組み立て作業では、キャップがはまる「カチン」という音がする瞬間だけで、それ以外は運搬または停滞ということになります。もし付加価値が付く作業だけでモノづくりができたら、すごい生産性向上になります。

 

 工程全体を見て、もし部品や中間品が多い場合は注意が必要です。

 自分たちは一生懸命にモノづくりをしているつもりであっても、付加価値が付いている作業時間は極めて短く、モノを移動させたり、使われるのを待っている時間に多くが割かれているかもしれません。

 付加価値が付かない運搬や停滞を、なしで済ますことができれば生産性は上がるし、仕事がとても楽になります。例えば運搬は重量や距離によっては、大変な仕事であることが多いので改善したいものです。置き場所や設備位置変更などの改善で運搬を減らすことができませんか?このことは、儲かるメーカー改善の急所101項(その60)物の動かし方でも述べました。

 停滞については、箱の大きさによっても発生します。例えば、もし部品箱が20個入りであれば、現在使われている1個目の部品以外の19個の部品は停滞中ということになります。そのようにみると、停滞は工場内に蔓延(まんえん)している可能性があります。

 もし1個ずつ製品を完成させる1個作りができれば、停滞は材料と完成品に集約することができます。そして、これができている状態を「流れている」状態といいます。

 

 工場を歩いてモノの様子を見てみてください。これまでは何気なく見過ごしていたとしても、運搬と停滞という言葉を使って改めて現場を見てみると、付加価値が付いていない状態が次々と見つかることでしょう。気付くことができれば、どうすればそれを改善できるかを考えて実行する次のステップが自動的に始まるのではないでしょうか。どうぞ頑張ってより多くの流れるモノづくりを実現してください。

 

今回の言葉   

********************************
 モノづくりは、付加価値が付く瞬間以外は、運搬または停滞である。
********************************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

 日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
工場の機能と生産形態

  1. 工場の機能  ものづくりをしている製造業では規模の大小は別として工場があります。営業や企画、顧客からの要求 に基いて設計を行い...

  1. 工場の機能  ものづくりをしている製造業では規模の大小は別として工場があります。営業や企画、顧客からの要求 に基いて設計を行い...


ものづくり工場の日常管理のしくみ(その3)

◆三現主義を定着化する(製造業の工場品質改善の進め方・事例の解説) ◆関連解説『生産マネジメントとは』    前回のその2に続いて解説しま...

◆三現主義を定着化する(製造業の工場品質改善の進め方・事例の解説) ◆関連解説『生産マネジメントとは』    前回のその2に続いて解説しま...


強い工場を作るプログラムとは

 強い工場を作るプログラムとは一体どのようなものでしょうか、今までの工場はモノを作るための「ものづくりの現場」を大事にして来ました。ただこれからは、「もの...

 強い工場を作るプログラムとは一体どのようなものでしょうか、今までの工場はモノを作るための「ものづくりの現場」を大事にして来ました。ただこれからは、「もの...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
作業者任せの作業速度 物流業としての原価低減の取り組み(その3)

  ◆ 倉庫内労務費コストを削減する  前回のドライバーの人件費改善では、輸送行為の内のロス時間削減として、現場での「待ち時間」を考えま...

  ◆ 倉庫内労務費コストを削減する  前回のドライバーの人件費改善では、輸送行為の内のロス時間削減として、現場での「待ち時間」を考えま...


農民の年配作業者たちの意識 中国企業の壁(その22)

         以前、関与先企業のサテライト工場が天津にあり品質管理に問題があるので、そちらも指導することになったこと、そこで働いている作業者は地...

         以前、関与先企業のサテライト工場が天津にあり品質管理に問題があるので、そちらも指導することになったこと、そこで働いている作業者は地...


トップの方針と工場運営 中国工場管理の基本事例(その2)

1、中国工場の良し悪しはトップの方針・考え方で決まる(その2)  今回は、トップの方針や考え方が工場運営に大きく影響した事例を2つ紹介します。良くな...

1、中国工場の良し悪しはトップの方針・考え方で決まる(その2)  今回は、トップの方針や考え方が工場運営に大きく影響した事例を2つ紹介します。良くな...