モノづくりのレベル 儲かるメーカー改善の急所101項(その64)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ モノづくりのレベル

 自社のモノづくりの実力を把握することはとても大切だと思います。しかし何をもって実力というのかと考えると、これはけっこう難しいテーマです。

 昨年よりは良いとか、同業者の中では一番良いといった相対的な比較ではなく、絶対的な基準に沿った把握が必要だと考えました。例えば、地震のマグニチュードや武道の段位のように、モノづくりにも基準があればいいなと思ったのです。

 

 そこで20年ほど前のことですが、私は当時の改善コンサルタント会社の上司であった御沓佳美氏と一緒に、モノづくりのレベルを「モノと情報の流れの良さ」で判断することを考え、6段階のレベルを設定しました。そしてそれを日本経営合理化協会から『最強のモノづくり』という本にして出版しました。モノづくりには6段階のレベルがあり、基準に照らせば自社の現在の実力と次に目指すステップが分かるというものです。次の6段階のレベルです。

 

  • レベル1:「工程内の流れ」

  • レベル2:「工程間の流れ」

  • レベル3:「工場内の流れ」

  • レベル4:「工場間の流れ」

  • レベル5:「お客様への流れ」

  • レベル6:「一気通貫の流れ」

 

 レベル1は「工程内の流れ」で、例えば組立工程におけるレベル1は「セル生産」ということになります。当時はセル生産が電気業界に普及し始めたころで、導入により在庫削減と生産性向上で大成果が上がり、注目されていました。しかし20年後の今ではセル生産は世界中で当たり前の技術になっています。

 最高のレベル6は「一気通貫」とし、現在世の中にないモノも全社一丸で作れる実力を持つラインとしました。当時思いつく最高のレベルでしたが、今では3Dプリンターなど、新技術の登場で実現の可能性が高くなっているともいえます。ここ最近の技術・管理レベルの向上は目を見張ります。レベル7の開発が必要な時代かもしれません。

 しかしモノづくりの基本は変わりません。付加価値をいかに上手に付けるかにおいて、流れを追求することは...

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ モノづくりのレベル

 自社のモノづくりの実力を把握することはとても大切だと思います。しかし何をもって実力というのかと考えると、これはけっこう難しいテーマです。

 昨年よりは良いとか、同業者の中では一番良いといった相対的な比較ではなく、絶対的な基準に沿った把握が必要だと考えました。例えば、地震のマグニチュードや武道の段位のように、モノづくりにも基準があればいいなと思ったのです。

 

 そこで20年ほど前のことですが、私は当時の改善コンサルタント会社の上司であった御沓佳美氏と一緒に、モノづくりのレベルを「モノと情報の流れの良さ」で判断することを考え、6段階のレベルを設定しました。そしてそれを日本経営合理化協会から『最強のモノづくり』という本にして出版しました。モノづくりには6段階のレベルがあり、基準に照らせば自社の現在の実力と次に目指すステップが分かるというものです。次の6段階のレベルです。

 

  • レベル1:「工程内の流れ」

  • レベル2:「工程間の流れ」

  • レベル3:「工場内の流れ」

  • レベル4:「工場間の流れ」

  • レベル5:「お客様への流れ」

  • レベル6:「一気通貫の流れ」

 

 レベル1は「工程内の流れ」で、例えば組立工程におけるレベル1は「セル生産」ということになります。当時はセル生産が電気業界に普及し始めたころで、導入により在庫削減と生産性向上で大成果が上がり、注目されていました。しかし20年後の今ではセル生産は世界中で当たり前の技術になっています。

 最高のレベル6は「一気通貫」とし、現在世の中にないモノも全社一丸で作れる実力を持つラインとしました。当時思いつく最高のレベルでしたが、今では3Dプリンターなど、新技術の登場で実現の可能性が高くなっているともいえます。ここ最近の技術・管理レベルの向上は目を見張ります。レベル7の開発が必要な時代かもしれません。

 しかしモノづくりの基本は変わりません。付加価値をいかに上手に付けるかにおいて、流れを追求することは大切です。作業スピードを上げるのではなく、ゆっくりでいいから止まらないモノづくりを目指して下さい。

今回の言葉   

**************************
 自社の実力は、モノづくり6段階のレベルで把握せよ。
**************************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

 日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
段取り替えの改善ポイント 儲かるメーカー改善の急所101項(その69)

  6、強いモノづくり ◆ 段取り替えの改善ポイント  一度締めたら緩まないのがボルトの利点です。  物を固定するときや製品の組み上...

  6、強いモノづくり ◆ 段取り替えの改善ポイント  一度締めたら緩まないのがボルトの利点です。  物を固定するときや製品の組み上...


中国工場での従業員教育の進め方 中国工場の品質改善(その52)

 前回のその51に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方 【3.14 中国工場での従業員教育の進め方】 ◆ 管理者育成...

 前回のその51に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方 【3.14 中国工場での従業員教育の進め方】 ◆ 管理者育成...


段取り8割の仕事術(自工程完結)

 日々進む国際化の中で、仕事は益々複雑化、多様化が進み、職場には外国出身者も含め多様な方々が増えてきています。従来の仕事の進め方、考え方、つまり仕事が個人...

 日々進む国際化の中で、仕事は益々複雑化、多様化が進み、職場には外国出身者も含め多様な方々が増えてきています。従来の仕事の進め方、考え方、つまり仕事が個人...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
提案制度の考察、参加しやすいルールとは、継続できるしくみとは

      1. 参加しやすいルールとは メーカーでは全従業員が毎月何かしらの提案を行っている会社が多いと思います。メーカーで...

      1. 参加しやすいルールとは メーカーでは全従業員が毎月何かしらの提案を行っている会社が多いと思います。メーカーで...


「生産性底上げ時代」のモノづくり戦略 - 協働型スマート工場で、勝ち筋の見える三位一体の製造DXを ―

  生産性向上に取り組まなければ、生き残れない時代に 早稲田大学 研究院教授 藤本 隆宏 氏 【目次】 付加価値の良...

  生産性向上に取り組まなければ、生き残れない時代に 早稲田大学 研究院教授 藤本 隆宏 氏 【目次】 付加価値の良...


柔軟なものづくり技術 伸びる金型メーカーの秘訣 (その23)

 今回、紹介する加工メーカーは、A鉄工所です。同社は、永年培った職人技術と、最新のレーザー切断やレーザー溶接などを駆使し、二百を超える多くの顧客の要望に応...

 今回、紹介する加工メーカーは、A鉄工所です。同社は、永年培った職人技術と、最新のレーザー切断やレーザー溶接などを駆使し、二百を超える多くの顧客の要望に応...