モノの流し方と生産性 儲かるメーカー改善の急所101項(その76)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ 生産性を劇的に上げるヒント

 生産性の向上やいろいろな効率アップを考える時、私たちは「設備は現状のまま」という前提で改善を考えてしまいがちです。つまり「設備は動かないもの」と思い込んでいることが多いのです。しかし動かせないと思っていた設備が動いて、モノの流し方が変わると、劇的な変化が起きる可能性が高いのです。設備は動かせないといった前提は固定観念であるということです。

 ある会社で社長はじめ、営業や設計、技術、管理者といったモノづくりにかかわりのある人すべてが参加して整理整頓をするKZ法活動(全社的な改善活動)を進めていた時の話です。すぐに使わないモノがたくさんあり、ごちゃごちゃとしていた職場でしたが、余分な物をどけてすぐに使う物だけにしたところ、設備の回りが見違えるほどスッキリしました。するとそこにいた社長が「離れ離れになっている設備を移動して、工程順に繋げたらいいんじゃないか?」と疑問の声を上げました。現場がすっきりとし、場所も空いたことでひらめきが生まれたのです。

 ほとんどの参加者は設備を動かすということを全く考えていなかったのですが、言われてみるとその通りで、やればできそうなので、そこにいた10人で一気にやってみることにしました。結果的に運搬・停滞がほぼなくなり、配員も減らせたため生産性を2倍に上げることができました。

 ある自動車メーカーでは製造ラインに流す自動車の向きをそれまでの常識である縦から横に変え、ライン長を3分の2に短縮しました。作業員は移動距離が短くなり生産性がアップし、建設費も4割の削減ができたと聞きました。

 以上のように「昔からそうなのでこういうもの」と思い込んでいるだけであって、それがベストとは限りません。天地反転、左右逆、縦横を変えるとどうなるのか?出荷の際...

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ 生産性を劇的に上げるヒント

 生産性の向上やいろいろな効率アップを考える時、私たちは「設備は現状のまま」という前提で改善を考えてしまいがちです。つまり「設備は動かないもの」と思い込んでいることが多いのです。しかし動かせないと思っていた設備が動いて、モノの流し方が変わると、劇的な変化が起きる可能性が高いのです。設備は動かせないといった前提は固定観念であるということです。

 ある会社で社長はじめ、営業や設計、技術、管理者といったモノづくりにかかわりのある人すべてが参加して整理整頓をするKZ法活動(全社的な改善活動)を進めていた時の話です。すぐに使わないモノがたくさんあり、ごちゃごちゃとしていた職場でしたが、余分な物をどけてすぐに使う物だけにしたところ、設備の回りが見違えるほどスッキリしました。するとそこにいた社長が「離れ離れになっている設備を移動して、工程順に繋げたらいいんじゃないか?」と疑問の声を上げました。現場がすっきりとし、場所も空いたことでひらめきが生まれたのです。

 ほとんどの参加者は設備を動かすということを全く考えていなかったのですが、言われてみるとその通りで、やればできそうなので、そこにいた10人で一気にやってみることにしました。結果的に運搬・停滞がほぼなくなり、配員も減らせたため生産性を2倍に上げることができました。

 ある自動車メーカーでは製造ラインに流す自動車の向きをそれまでの常識である縦から横に変え、ライン長を3分の2に短縮しました。作業員は移動距離が短くなり生産性がアップし、建設費も4割の削減ができたと聞きました。

 以上のように「昔からそうなのでこういうもの」と思い込んでいるだけであって、それがベストとは限りません。天地反転、左右逆、縦横を変えるとどうなるのか?出荷の際の箱詰めでも、今の個数や向きは本当にベストなのか?全員で知恵を出し合ってラインを短縮し、作業を大きく変える可能性を探ってみませんか。

今回の言葉   

***********
 モノの流し方を疑え。
***********

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

 日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
中国と日本企業の違いとは 中国工場の品質改善(その64)

 前回のその63に続いて解説します。 【第4章】中国新規取引先選定のポイント ◆ 新規取引先を選ぶときのポイント 6、システムや仕組みの整備状況...

 前回のその63に続いて解説します。 【第4章】中国新規取引先選定のポイント ◆ 新規取引先を選ぶときのポイント 6、システムや仕組みの整備状況...


現場から人を抜く:現場改善のヒント(その3)

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...


生産計画変更と現場 見える化(その7)

【見える化 連載目次】 1. 情報の取り扱いで競争力をつける 2. 見えないことの方が大切なことがある 3. 職場の全員がコスト意識を持つに...

【見える化 連載目次】 1. 情報の取り扱いで競争力をつける 2. 見えないことの方が大切なことがある 3. 職場の全員がコスト意識を持つに...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
マシニング加工における荒取りと仕上げは機械を分けるべきか

 「マシニング加工における荒取りと仕上げは機械を分けるべきか」この内容についてはコンサルティングの際、よく受ける相談でもありますし、マシニング加工がボ...

 「マシニング加工における荒取りと仕上げは機械を分けるべきか」この内容についてはコンサルティングの際、よく受ける相談でもありますし、マシニング加工がボ...


中国工場・指示内容の実施確認は必須の管理事項 中国企業の壁(その17)

          立ち上げて2年が経過した日系の中国工場での事例です。この工場は、日本人総経理を頂点として、その下に同じく日本人の副総経理、中国人...

          立ち上げて2年が経過した日系の中国工場での事例です。この工場は、日本人総経理を頂点として、その下に同じく日本人の副総経理、中国人...


当たり前のことも知らなければできないことを認識せよ 中国企業の壁(その8)

1. 当たり前のことも知らなければできないことを認識せよ  ある時取引先に品質が良くないと言うクレームの文書を一斉に配布することになりました。文面は...

1. 当たり前のことも知らなければできないことを認識せよ  ある時取引先に品質が良くないと言うクレームの文書を一斉に配布することになりました。文面は...