工程間の運搬方法 儲かるメーカー改善の急所101項(その38)

更新日

投稿日

生産マネジメント

3.仕組みを改善する基本

◆ 工程間の運搬方法

 モノの動かし方には2種類あります。一つは「押し込む方法、push」でもう一つは「引き取る方法、pull」です。

 前者はこちらの都合で作ったモノを後工程に持って行くやり方で、売り方でいうと「押し売り(?)」になります。一方で後者の方法は、後工程の望むタイミングで用意したモノを引き取ってもらう方法で、こちらは「スーパーマーケットで並んでいる商品からの買い物(?)」といえます。

 私は工場で作るあらゆる製品は基本的には売れたモノや注文があったモノをタイムリーに作るべきだと考えています。

 売れないモノはたとえ1個であっても作りすぎのムダだからです。もちろん、これは一般的な理論やある程度の平準化されたマーケットを前提とするなどの条件に基づいた考えで、すべてに当てはまることではありません。生産リードタイムの長さによっても、できることとできないことがあります。それと予想を超えた変化、例えば新型コロナウィルスの感染拡大に伴う突然のマスク需要といった事態には当てはまりません。

 必要な時に必要なだけのモノを引き取りに行く運搬は、お客様からの注文情報を工場内で上流に向けて発信し続ける動きの現れと考えるのです。

 必要な時に必要なだけ取りに行くモノづくり。一方、上流工程は常に準備はしているが、それでも在庫は段取り改善や設計改善をしてなるべく少なく持つように管理されているようにするのです。こうすれば少ない在庫でもお客様のご注文に応えられるので、資金の回転率が向上し儲かるからです。

 工程間の運搬は、合理的なモノ作りとお客様への流れを完成させる工場内の必須の実務といえます。先回の...

生産マネジメント

3.仕組みを改善する基本

◆ 工程間の運搬方法

 モノの動かし方には2種類あります。一つは「押し込む方法、push」でもう一つは「引き取る方法、pull」です。

 前者はこちらの都合で作ったモノを後工程に持って行くやり方で、売り方でいうと「押し売り(?)」になります。一方で後者の方法は、後工程の望むタイミングで用意したモノを引き取ってもらう方法で、こちらは「スーパーマーケットで並んでいる商品からの買い物(?)」といえます。

 私は工場で作るあらゆる製品は基本的には売れたモノや注文があったモノをタイムリーに作るべきだと考えています。

 売れないモノはたとえ1個であっても作りすぎのムダだからです。もちろん、これは一般的な理論やある程度の平準化されたマーケットを前提とするなどの条件に基づいた考えで、すべてに当てはまることではありません。生産リードタイムの長さによっても、できることとできないことがあります。それと予想を超えた変化、例えば新型コロナウィルスの感染拡大に伴う突然のマスク需要といった事態には当てはまりません。

 必要な時に必要なだけのモノを引き取りに行く運搬は、お客様からの注文情報を工場内で上流に向けて発信し続ける動きの現れと考えるのです。

 必要な時に必要なだけ取りに行くモノづくり。一方、上流工程は常に準備はしているが、それでも在庫は段取り改善や設計改善をしてなるべく少なく持つように管理されているようにするのです。こうすれば少ない在庫でもお客様のご注文に応えられるので、資金の回転率が向上し儲かるからです。

 工程間の運搬は、合理的なモノ作りとお客様への流れを完成させる工場内の必須の実務といえます。先回の「後工程はお客様」の文章と合わせて考えて頂くとさらに良い改善が生れるかもしれません。

今回の言葉   

**************
 持って行くな、取りに行け。
**************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

    日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ものづくり原価低減の進め方 【連載記事紹介】

  ものづくり原価低減の進め方 連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆ものづくり原価低減の進め方 企業のコスト競争力...

  ものづくり原価低減の進め方 連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆ものづくり原価低減の進め方 企業のコスト競争力...


化学産業のE-BOM、M-BOMについて

1.乖離の問題が顕在化するE-BOMとM-BOM  今回は、設計部品表と製造部品表について、中小規模の化学産業にあてはめて解説します。E-BOMとは...

1.乖離の問題が顕在化するE-BOMとM-BOM  今回は、設計部品表と製造部品表について、中小規模の化学産業にあてはめて解説します。E-BOMとは...


  生産管理とコストダウン  (その2)

 生産管理システムとコストダウンについて、3回に分けて解説しています。第1回は、生産管理について整理しました。第2回は、生産管理ソフトについてです。  ...

 生産管理システムとコストダウンについて、3回に分けて解説しています。第1回は、生産管理について整理しました。第2回は、生産管理ソフトについてです。  ...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
事例紹介:加工現場における課長という立場

  ◆ 現場の課長が抱える悩みと解決策 【目次】 1、部長と現場の板挟み 2、加工をやっていない課長の苦悩 3、現場肌の課長さんの...

  ◆ 現場の課長が抱える悩みと解決策 【目次】 1、部長と現場の板挟み 2、加工をやっていない課長の苦悩 3、現場肌の課長さんの...


油圧部品などの中ロット生産 伸びる金型メーカーの秘訣 (その21)

 今回、紹介する部品加工メーカーは、M精密工業です。同社は、NC旋盤を主とした機械加工を行っており、特に小型サイズの精密部品の加工を得意としています。筆者...

 今回、紹介する部品加工メーカーは、M精密工業です。同社は、NC旋盤を主とした機械加工を行っており、特に小型サイズの精密部品の加工を得意としています。筆者...


外観検査-検査員が判断しない検査方法とは 中国企業の壁(その31)

        弊社では定期的に外観目視検査セミナーを開催していますが、今回はそのセミナーの中で話をする内容のひとつを参加者からの質問という形で紹介...

        弊社では定期的に外観目視検査セミナーを開催していますが、今回はそのセミナーの中で話をする内容のひとつを参加者からの質問という形で紹介...