ムーンショットとは 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その62)

更新日

投稿日

技術マネジメント

◆ 挑戦的な研究開発:ムーンショット型研究開発事業について感じたこと

 今回は、内閣府が主導する「ムーンショット型研究開発制度」の話題です。

 ムーンショット型研究開発とは、内閣府のWebサイトによると次のように定義されています。「我が国発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)」

 この研究開発テーマ「総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の下、関係省庁が一体となって推進する新たな制度」がムーンショット型研究開発事業と表現されています。

 文部科学省・経済産業省にそれぞれ国家予算が当てられ、科学技術振興機構と新エネルギー・産業技術総合開発機構を通して、これから公募・採択が行われる予定となっています。

 冒頭にある「従来の延長にない」というキーワードですが、私が携わる企業コンサルティング現場やセミナーにおいても重要ワードであることは、間違いありません。

 業種・職種の違いはあっても、従来の延長線にない新規事業へとつなげるR&Dテーマをどのように創出したら良いか、確実な利益につなげるにはどのようにR&Dテーマに投資育成していけば良いかという悩み・課題を抱えているクライアントがほとんどです。

 こういった企業・大学が抱える課題を解決するための一手段として、今回のムーンショット型研究開発事業への期待が高まっていると感じています。

 この事業の中で一つ新しい感覚を得ました。

 公募内容の詳細は2020.01.25時点(※1)で発表されていませんが、少子高齢化や自然災害などの社会的課題解決に向け、世界中から科学者の英知を結集し国際連携するという表現です。具体的な内容は示されていませんが、日本国内にとどまらずグローバルな協力を通して社会課題を解決するという意思表明がされています。

 これまでももちろん国際協力はされてきたはずですが、明確に表現されていることで、もはや一企業・大学だけで社会課題を解決することはできないので、ビジネスだけではなく、研究開発の世界においても企業・大学内から国内の他社・他大学、さらには国外・地球規模へとオープンなイノベーション活動による価値創造が広がっていくのだという希望と期待を感じるに至りました。

 実際にこの事業を利用...

技術マネジメント

◆ 挑戦的な研究開発:ムーンショット型研究開発事業について感じたこと

 今回は、内閣府が主導する「ムーンショット型研究開発制度」の話題です。

 ムーンショット型研究開発とは、内閣府のWebサイトによると次のように定義されています。「我が国発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)」

 この研究開発テーマ「総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の下、関係省庁が一体となって推進する新たな制度」がムーンショット型研究開発事業と表現されています。

 文部科学省・経済産業省にそれぞれ国家予算が当てられ、科学技術振興機構と新エネルギー・産業技術総合開発機構を通して、これから公募・採択が行われる予定となっています。

 冒頭にある「従来の延長にない」というキーワードですが、私が携わる企業コンサルティング現場やセミナーにおいても重要ワードであることは、間違いありません。

 業種・職種の違いはあっても、従来の延長線にない新規事業へとつなげるR&Dテーマをどのように創出したら良いか、確実な利益につなげるにはどのようにR&Dテーマに投資育成していけば良いかという悩み・課題を抱えているクライアントがほとんどです。

 こういった企業・大学が抱える課題を解決するための一手段として、今回のムーンショット型研究開発事業への期待が高まっていると感じています。

 この事業の中で一つ新しい感覚を得ました。

 公募内容の詳細は2020.01.25時点(※1)で発表されていませんが、少子高齢化や自然災害などの社会的課題解決に向け、世界中から科学者の英知を結集し国際連携するという表現です。具体的な内容は示されていませんが、日本国内にとどまらずグローバルな協力を通して社会課題を解決するという意思表明がされています。

 これまでももちろん国際協力はされてきたはずですが、明確に表現されていることで、もはや一企業・大学だけで社会課題を解決することはできないので、ビジネスだけではなく、研究開発の世界においても企業・大学内から国内の他社・他大学、さらには国外・地球規模へとオープンなイノベーション活動による価値創造が広がっていくのだという希望と期待を感じるに至りました。

 実際にこの事業を利用する・しないはともかく、企業内・大学内における新規事業の企画・推進課題を解決するヒントが隠れているかもしれません。今後もムーンショット型研究開発事業の動向を追いつつ、この連載において気づきを発信します。

※1・令和2年2月20日、内閣府から同制度のムーンショット目標5つについてプロジェクトマネージャー(PM)の公募が始まりました。
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200220moonshot.html

   続きを読むには・・・


この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
リスクベース設計とは

 今回は、潜在不良流出を防止するリスクベースの設計手法について解説します。設計終了後の評価テストや、製造工程の試験、検査で発見できない不具合が市場で発生す...

 今回は、潜在不良流出を防止するリスクベースの設計手法について解説します。設計終了後の評価テストや、製造工程の試験、検査で発見できない不具合が市場で発生す...


トヨタ発のフロントローディングとは。方法やメリット・落とし穴を解説

【目次】 製造プロセスにおける設計部門を中心とした業務を表す開発の初期段階であるエンジニアリングチェーンエンジニアリングチェーン( ...

【目次】 製造プロセスにおける設計部門を中心とした業務を表す開発の初期段階であるエンジニアリングチェーンエンジニアリングチェーン( ...


中国が追い付けない日本の技術の優位性~中国が超えられない日中間の高い壁

【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら! ▼さらに幅広く学ぶなら!「分野別のカリキュラム」に...

【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら! ▼さらに幅広く学ぶなら!「分野別のカリキュラム」に...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
ピンチをチャンスに変えるアイディアを模索する

1. 自粛ムード漂う経済環境  2020年3月、新型コロナウイルスの感染が拡大し、鉄道各社によるマスクと咳エチケットの呼び掛けが随時車内アナウンスさ...

1. 自粛ムード漂う経済環境  2020年3月、新型コロナウイルスの感染が拡大し、鉄道各社によるマスクと咳エチケットの呼び掛けが随時車内アナウンスさ...


システム設計4 プロジェクト管理の仕組み (その36)

 前回はシステム設計を、開発工程上はシステムエンジニアリングと、ハードやソフトなどのサブシステムのエンジニアリングの両方と定義しました。ここで、システムエ...

 前回はシステム設計を、開発工程上はシステムエンジニアリングと、ハードやソフトなどのサブシステムのエンジニアリングの両方と定義しました。ここで、システムエ...


設計部門とリスク管理(その2)

【設計部門とリスク管理 連載目次】 1. リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成 2. コンティンジェンシープランの注意事項 3. リスク管理...

【設計部門とリスク管理 連載目次】 1. リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成 2. コンティンジェンシープランの注意事項 3. リスク管理...