10年後のロードマップの考え方 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その14)

更新日

投稿日

 
  技術マネジメント
 
 今回は、「10年後のロードマップの考え方」について解説します。
 
 事業や組織に関わる戦略を立案することは、ロードマップを作り上げることを示します。技術戦略も同じことです。
 
 ロードマップを作成する際によく聞く困りごとにこんな事例があります。
 
 「2~3年後は予測可能だけれど、10年後なんて分からない。」
 
 「無理にロードマップを作ったって、世の中(経営戦略)が変わってしまうし意味ない。」
 
 皆様は、どう感じましたか?
 
 どれも私自身が感じたことがある内容ですし、このような不満をよく言われました。では、ロードマップは直近2~3年のみを作成すれば、よいのでしょうか。
 
 答えは「否」。一つの物差しとして、10年先まで作成するべきです。
 
 理由は、2~3年先を具体的な「目標」とするならば、10年先は事業・技術の「戦略・ビジョン」そのものを示すと言っても過言ではないからです。
 
 確かに世の中のトレンドや市場ニーズ、企業戦略などによってロードマップは変化します。しかし、将来のありたい姿を示す戦略やビジョンは必要だと理解いただけると思います。それでは、変化ありきの予測しづらい長期的なロードマップをどのように構想したらよいか、そのポイントをご紹介します。
 

 

 それは、あなたのビジネス・技術を取り巻くエコシステムを構想することです。エコシステムとは、『ビジネスの生態系』とされ、新しい産業全体の依存関係や協調関係など企業間の連携関係を表す用語です。
 
 つまりあなたのビジネス・技術に現時点で関係がなくとも、長期的に捉えれば、互いに影響を与えやすい事業・技術となりえます。現状のエコシステムが明確になっている産業においても、新規参入や代替手段などの新たな事業・技術があるのであれば、10年後を想定してエコシステムを構想してください。
 
 エコシステムを取り入れた構想のよい点は、現時点の事業・技術の立ち位置が明確になるのと同時に将来の自社のありたい立ち位置が、ビジョン化できることです。
 
 構想した結果は必ず図に示し、ステークホルダーに提案することで、社会における自社の影響度が...
 
  技術マネジメント
 
 今回は、「10年後のロードマップの考え方」について解説します。
 
 事業や組織に関わる戦略を立案することは、ロードマップを作り上げることを示します。技術戦略も同じことです。
 
 ロードマップを作成する際によく聞く困りごとにこんな事例があります。
 
 「2~3年後は予測可能だけれど、10年後なんて分からない。」
 
 「無理にロードマップを作ったって、世の中(経営戦略)が変わってしまうし意味ない。」
 
 皆様は、どう感じましたか?
 
 どれも私自身が感じたことがある内容ですし、このような不満をよく言われました。では、ロードマップは直近2~3年のみを作成すれば、よいのでしょうか。
 
 答えは「否」。一つの物差しとして、10年先まで作成するべきです。
 
 理由は、2~3年先を具体的な「目標」とするならば、10年先は事業・技術の「戦略・ビジョン」そのものを示すと言っても過言ではないからです。
 
 確かに世の中のトレンドや市場ニーズ、企業戦略などによってロードマップは変化します。しかし、将来のありたい姿を示す戦略やビジョンは必要だと理解いただけると思います。それでは、変化ありきの予測しづらい長期的なロードマップをどのように構想したらよいか、そのポイントをご紹介します。
 

 

 それは、あなたのビジネス・技術を取り巻くエコシステムを構想することです。エコシステムとは、『ビジネスの生態系』とされ、新しい産業全体の依存関係や協調関係など企業間の連携関係を表す用語です。
 
 つまりあなたのビジネス・技術に現時点で関係がなくとも、長期的に捉えれば、互いに影響を与えやすい事業・技術となりえます。現状のエコシステムが明確になっている産業においても、新規参入や代替手段などの新たな事業・技術があるのであれば、10年後を想定してエコシステムを構想してください。
 
 エコシステムを取り入れた構想のよい点は、現時点の事業・技術の立ち位置が明確になるのと同時に将来の自社のありたい立ち位置が、ビジョン化できることです。
 
 構想した結果は必ず図に示し、ステークホルダーに提案することで、社会における自社の影響度が明確になり、また戦略自体の客観性や魅力度が格段に上がるので、ロードマップ作成にはエコシステムの構想を取り入れてみてください。
 
 次回は、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その15)トレンド技術は課題ありきで取り入れるを解説します。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
IPランドスケープとは~技術企業の高収益化:実践的な技術戦略の立て方(その11)

    ◆ IPランドスケープで何か見えると思っていないか?  「当社でも遅ればせながらIPランドスケープ、らしきものを始めたん...

    ◆ IPランドスケープで何か見えると思っていないか?  「当社でも遅ればせながらIPランドスケープ、らしきものを始めたん...


インポスター症候群とは 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その83)

 前回エドワード・デシの4段階理論における第3段階を実現する活動として「(その1)有能感への貢献:目的達成が自分自身の成長につながることを理解する」に...

 前回エドワード・デシの4段階理論における第3段階を実現する活動として「(その1)有能感への貢献:目的達成が自分自身の成長につながることを理解する」に...


普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その179)妄想とイノベーション創出 

・見出しの番号は、前回からの連番です。 【目次】 妄想はネガティブに捉えられがちですが、私は妄想はイノベーション創出において、極め...

・見出しの番号は、前回からの連番です。 【目次】 妄想はネガティブに捉えられがちですが、私は妄想はイノベーション創出において、極め...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
新事業開発のステップを事例で考える

 中小ものづくり企業が自前のヒット商品を開発し、販売まで行うのは容易なことではありません。しかし、だからと言って下請け仕事を続けていて、利益を上げることは...

 中小ものづくり企業が自前のヒット商品を開発し、販売まで行うのは容易なことではありません。しかし、だからと言って下請け仕事を続けていて、利益を上げることは...


ソフト開発計画の作成方法 プロジェクト管理の仕組み (その5)

 前回のその4:プロジェクトの進捗管理に続いて解説します。前回は CMMI を使い、要件管理、計画作成、進捗管理のポイントを紹介しました。多くの開発組織で...

 前回のその4:プロジェクトの進捗管理に続いて解説します。前回は CMMI を使い、要件管理、計画作成、進捗管理のポイントを紹介しました。多くの開発組織で...


材料研究、最適化のワナと温故知新の事例

  1.  材料研究と最適化  材料研究の場合、「最適化」という言葉でモノを考えない方がいいでしょう。  若い人、時にはおじ...

  1.  材料研究と最適化  材料研究の場合、「最適化」という言葉でモノを考えない方がいいでしょう。  若い人、時にはおじ...