新商品開発リーダーに必要なスキルとは 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その55)

更新日

投稿日

 
  技術戦略
 
 今回は、新商品開発リーダーに必要なスキルで最も大切な考え方として、「チームで成果を出すための1stステップ」の「人」の解説です。ここで言う「人」とは、ご自身の部下や決裁者である上司、協力依頼先であるR&D組織が該当しますが、今回はその中でも部下や同僚であるチームメンバーを中心に話を進めます。
 
 リーダーシップに関する書籍をお読みになっている方は、もしかするとチームで成果を出すなんて当たり前だと思われるかもしれません。しかし、知識として理解したとしても実際に行動に移すこと、その行動を継続することがいかに難しいかを考えさせられる機会があります。
 
 セミナーをはじめ、コンサルティングを行うにあたり、いわゆる新規事業・新商品の立ち上げノウハウや技術戦略の進め方をお伝えしていくのですが、その中で非常に多い悩みとしてあがるのが、頑張っているのに「人がついてこない」という課題です。 
 
 特に既存事業と掛け持ちで新規事業・新商品の要素開発を行う場合、昨今の働き方改革の影響も多少あるのか、部下から検討する時間がないという不満が上がったり、実際に既存事業を優先したがために新規関連の業務を放棄されてしまうこともあるようです。
 
 このような場合、真面目な開発リーダーはご自身で全てを引き受けてしまう傾向があります。実際、会社員時代の私も同じく「私がなんとかしなくては」と息巻いて一人奮闘していた記憶があります。しかし、VUCAと呼ばれる不安定で不確実、複雑かつ曖昧な現代において真新しい事業や商品を開発する、そのための戦略構想を行うことは一人ではとてもなし得ません。
 
 では開発リーダーは何をするべきなのか?
 
 その答えは、チームで成果を出すための行動を心がけることです。行動は結果が出るまで継続するんだと覚悟することも重要です。チームで成果を出すためには、まず目的に合わせたチーム体制を作ることから始めます。
 
 開発リーダーは目標とする成果を実現するためのシナリオを描き、推進することに注力するのです。
 
 チームメンバーにはシナリオを実現できそうなメンバーをアサインする、場合によってはご自身の部下ではないメンバーをアサインできるように交渉することも必要です。チーム体制を作ったら、メンバー個々に期待しているミッションを説明します。
 
 多くの場合、なぜ自分がメンバーに選出されたのか分からないまま、プロジェクトに任命され、不満を持っている状態からスタートという光景を目にします。具体的に何を期待しているのかを伝える...
 
  技術戦略
 
 今回は、新商品開発リーダーに必要なスキルで最も大切な考え方として、「チームで成果を出すための1stステップ」の「人」の解説です。ここで言う「人」とは、ご自身の部下や決裁者である上司、協力依頼先であるR&D組織が該当しますが、今回はその中でも部下や同僚であるチームメンバーを中心に話を進めます。
 
 リーダーシップに関する書籍をお読みになっている方は、もしかするとチームで成果を出すなんて当たり前だと思われるかもしれません。しかし、知識として理解したとしても実際に行動に移すこと、その行動を継続することがいかに難しいかを考えさせられる機会があります。
 
 セミナーをはじめ、コンサルティングを行うにあたり、いわゆる新規事業・新商品の立ち上げノウハウや技術戦略の進め方をお伝えしていくのですが、その中で非常に多い悩みとしてあがるのが、頑張っているのに「人がついてこない」という課題です。 
 
 特に既存事業と掛け持ちで新規事業・新商品の要素開発を行う場合、昨今の働き方改革の影響も多少あるのか、部下から検討する時間がないという不満が上がったり、実際に既存事業を優先したがために新規関連の業務を放棄されてしまうこともあるようです。
 
 このような場合、真面目な開発リーダーはご自身で全てを引き受けてしまう傾向があります。実際、会社員時代の私も同じく「私がなんとかしなくては」と息巻いて一人奮闘していた記憶があります。しかし、VUCAと呼ばれる不安定で不確実、複雑かつ曖昧な現代において真新しい事業や商品を開発する、そのための戦略構想を行うことは一人ではとてもなし得ません。
 
 では開発リーダーは何をするべきなのか?
 
 その答えは、チームで成果を出すための行動を心がけることです。行動は結果が出るまで継続するんだと覚悟することも重要です。チームで成果を出すためには、まず目的に合わせたチーム体制を作ることから始めます。
 
 開発リーダーは目標とする成果を実現するためのシナリオを描き、推進することに注力するのです。
 
 チームメンバーにはシナリオを実現できそうなメンバーをアサインする、場合によってはご自身の部下ではないメンバーをアサインできるように交渉することも必要です。チーム体制を作ったら、メンバー個々に期待しているミッションを説明します。
 
 多くの場合、なぜ自分がメンバーに選出されたのか分からないまま、プロジェクトに任命され、不満を持っている状態からスタートという光景を目にします。具体的に何を期待しているのかを伝えることで、メンバーの意識が変わります。
 
 伝える際には、なぜあなたに依頼するのが最善なのか理由を付けると表情がガラリと変わり、積極的に関与するようになった事例があります。開発リーダーは一人で戦ってはいけません。素直に「ここの業務を助けて欲しい」と言えるリーダーは心強い協力者を得る事ができます。「人がついてこない」とお悩みのリーダーは実践してください。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
行動の重要性 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その147)

  前回は「思考の頻度を高める2つの重要要素」をあげました。今回から、まず一つ目の「行動を増やすことで思考を促進する機会を拡大する」を解説...

  前回は「思考の頻度を高める2つの重要要素」をあげました。今回から、まず一つ目の「行動を増やすことで思考を促進する機会を拡大する」を解説...


普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その179)妄想とイノベーション創出 

・見出しの番号は、前回からの連番です。 【目次】 妄想はネガティブに捉えられがちですが、私は妄想はイノベーション創出において、極め...

・見出しの番号は、前回からの連番です。 【目次】 妄想はネガティブに捉えられがちですが、私は妄想はイノベーション創出において、極め...


設計標準の必要性と作り方(その3)

1.設計標準と最適なコストの例  前回のその2に続いて解説します。炭素鋼板という材料を用いて、機械に取り付けるカバーを設計するとします。形状は、L字...

1.設計標準と最適なコストの例  前回のその2に続いて解説します。炭素鋼板という材料を用いて、機械に取り付けるカバーを設計するとします。形状は、L字...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
進捗管理の精度を上げる:第1回 プロジェクト管理の仕組み (その13)

 前回は進捗管理の基本的な考え方を紹介しました。今回は、この考え方にしたがってどのような方法で実際に進捗を把握できるのかを紹介したいと思います。具体的な話...

 前回は進捗管理の基本的な考え方を紹介しました。今回は、この考え方にしたがってどのような方法で実際に進捗を把握できるのかを紹介したいと思います。具体的な話...


設計部門の仕組み改革(その2)

【設計部門の仕組み改革 連載目次】 1. システムやツールの導入を伴う設計部門の仕組み改革の進め方 2. 設計部門の仕組み改革、事例解説 3. ...

【設計部門の仕組み改革 連載目次】 1. システムやツールの導入を伴う設計部門の仕組み改革の進め方 2. 設計部門の仕組み改革、事例解説 3. ...


プロジェクトの問題を見極める1 プロジェクト管理の仕組み (その23)

 進捗管理のための基本メトリクスセットのひとつである開発工数メトリクスについて解説していますが、前回は、プロジェクト構造(WBS)軸とアクティビティ軸のそ...

 進捗管理のための基本メトリクスセットのひとつである開発工数メトリクスについて解説していますが、前回は、プロジェクト構造(WBS)軸とアクティビティ軸のそ...