AIを活用する前に決めておくべきこととは 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その16)

更新日

投稿日

 
  技術マネジメント
 
 今回は「AI技術を活用する前に決めておくべきこと」について解説します。以前、記事にした「トレンド技術は課題ありきで取り入れる」も合わせてご参照ください。
 
 ここ数年、AI関連記事やセミナーが様々なところで開催されています。先日お話を伺った某AI開発企業の方もおっしゃっていたことですが、やはり「AIは業務課題をなんでも解決してくれるスーパーシステム」と思い込んでしまっている方が、まだまだいらっしゃるようです。
 
 公的機関をはじめ民間企業のPRなどにおいても夢のシステムとして期待あふれるキーワードが並んでいます。
 
 私が常々、感じていることですが、新しい技術を活用できるか否かは目的次第ではないでしょうか?
 
 スマートホンが流行りはじめた頃、「みんなが持っているから」「トレンドを追っていたいから」という理由で購入した方がいらっしゃいましたが、数ヶ月後にお会いしてみるとガラケーに戻っていたことがあります。
 
 理由をお尋ねすると「自分の生活には必要なかった、今までの方が使いやすかった」ということでした。さすがに今はスマートホンを使用されているかとは思いますが、個人レベルに置き換えてみても目的が明確でない状況における新規導入は失敗が付き物です。
 
 AI技術も同じことが言えます。
 
 「トレンド技術は課題ありきで取り入れる」で取り上げたように、課題から考える、つまり目的を明確にすることが第一に必要です。
 
 そしてAI開発者からお聴きした、もう一つのポイントがあります。それは何だと思いますか?
 
 答えは、「評価基準を明確にすること」です。
 
 例えば生産ラインの異物混入除去やセキュリティーカメラの不審人物判定など目的を明確にしたあとは、それらを解決するための判定基準が必要になります。
 
 当たり前に思われるかもしれませんが、実はこの判定基準がぼんやりしていることが多いのだそうです。判定するための対象が何か?どの範囲で?あるべき姿は何か?を数値指標として明確にすることが必要です。
 
 これらの情報を元に収集したデータを加工し、学習させることで自動化などのAI活用効果が表れてくるということです。
 
 AI万能説を一旦、脇に置いておき、会社・組織の課題を明確にする。そして、自動...
 
  技術マネジメント
 
 今回は「AI技術を活用する前に決めておくべきこと」について解説します。以前、記事にした「トレンド技術は課題ありきで取り入れる」も合わせてご参照ください。
 
 ここ数年、AI関連記事やセミナーが様々なところで開催されています。先日お話を伺った某AI開発企業の方もおっしゃっていたことですが、やはり「AIは業務課題をなんでも解決してくれるスーパーシステム」と思い込んでしまっている方が、まだまだいらっしゃるようです。
 
 公的機関をはじめ民間企業のPRなどにおいても夢のシステムとして期待あふれるキーワードが並んでいます。
 
 私が常々、感じていることですが、新しい技術を活用できるか否かは目的次第ではないでしょうか?
 
 スマートホンが流行りはじめた頃、「みんなが持っているから」「トレンドを追っていたいから」という理由で購入した方がいらっしゃいましたが、数ヶ月後にお会いしてみるとガラケーに戻っていたことがあります。
 
 理由をお尋ねすると「自分の生活には必要なかった、今までの方が使いやすかった」ということでした。さすがに今はスマートホンを使用されているかとは思いますが、個人レベルに置き換えてみても目的が明確でない状況における新規導入は失敗が付き物です。
 
 AI技術も同じことが言えます。
 
 「トレンド技術は課題ありきで取り入れる」で取り上げたように、課題から考える、つまり目的を明確にすることが第一に必要です。
 
 そしてAI開発者からお聴きした、もう一つのポイントがあります。それは何だと思いますか?
 
 答えは、「評価基準を明確にすること」です。
 
 例えば生産ラインの異物混入除去やセキュリティーカメラの不審人物判定など目的を明確にしたあとは、それらを解決するための判定基準が必要になります。
 
 当たり前に思われるかもしれませんが、実はこの判定基準がぼんやりしていることが多いのだそうです。判定するための対象が何か?どの範囲で?あるべき姿は何か?を数値指標として明確にすることが必要です。
 
 これらの情報を元に収集したデータを加工し、学習させることで自動化などのAI活用効果が表れてくるということです。
 
 AI万能説を一旦、脇に置いておき、会社・組織の課題を明確にする。そして、自動化するためのベースとなる評価基準を自ら決めるということがポイントです。AI技術はそのサポート役を担うシステムだというお話をご紹介しました。
 
 次回は、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その17)調査結果は記録しカテゴライズする、を解説します。  
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
技術棚卸はトレンド分析と表裏一体

1.技術の棚卸はトレンド分析と表裏一体  技術の棚卸しは将来の製品像を占うトレンド分析と表裏一体です。トレンド分析は、人口推計等の統計データから将来...

1.技術の棚卸はトレンド分析と表裏一体  技術の棚卸しは将来の製品像を占うトレンド分析と表裏一体です。トレンド分析は、人口推計等の統計データから将来...


MVP(minimum viable product:実用最小限の製品)とは 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その57)

1. 新規事業や新商品の立ち上げは、なぜスピードが問われるのか  新規事業や新商品の立ち上げをミッションに活動する際に必ずといっていいほどトップから...

1. 新規事業や新商品の立ち上げは、なぜスピードが問われるのか  新規事業や新商品の立ち上げをミッションに活動する際に必ずといっていいほどトップから...


大学との連携の形態を考える、産学連携のあり方

 産学連携の例として、企業が製品開発において大学の技術を活用しようとした場合、どういった提携をするのが一般的なのかを解説します。通常、大学との連携の形態は...

 産学連携の例として、企業が製品開発において大学の技術を活用しようとした場合、どういった提携をするのが一般的なのかを解説します。通常、大学との連携の形態は...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
プロジェクトの問題を見極める1 プロジェクト管理の仕組み (その23)

 進捗管理のための基本メトリクスセットのひとつである開発工数メトリクスについて解説していますが、前回は、プロジェクト構造(WBS)軸とアクティビティ軸のそ...

 進捗管理のための基本メトリクスセットのひとつである開発工数メトリクスについて解説していますが、前回は、プロジェクト構造(WBS)軸とアクティビティ軸のそ...


イノベーションに取り組む第1歩はR&D

【ものづくり企業のR&Dと経営機能 記事目次】 管理力より技術力を磨け 技術プラットフォームの重要性 手段としてのオープンイノベーション...

【ものづくり企業のR&Dと経営機能 記事目次】 管理力より技術力を磨け 技術プラットフォームの重要性 手段としてのオープンイノベーション...


ハイヒール型プルタブオープナー  異分野市場での事業化事例 (その1)

「部品技術の見える化」で、B2Bの部品からB2Cの完成品事業に成功したクライアントの事例を紹介します。A社は、金属加工の部品メーカーであり、田植え機、AT...

「部品技術の見える化」で、B2Bの部品からB2Cの完成品事業に成功したクライアントの事例を紹介します。A社は、金属加工の部品メーカーであり、田植え機、AT...