傾聴力を強化する 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その78)

更新日

投稿日

技術マネジメント

 

 みなさんは「傾聴」という単語を耳にしたことが、ありますか?

 字で表すとおり、傾聴とは耳を傾けて熱心に聞くこととあります。人材育成や営業研修などで広く一般的に扱われるスキルの一つです。単に「聞こえる」ではなく、相手に集中して「聴く」ことだともいわれます。

 さて、今回「傾聴力」について取り上げた背景には、商品企画を行う上でターゲットのニーズが掴(つか)めないという悩みが大きくなってきたことが挙げられます。

 衣食住という人間の基本的な欲求が満たされ、さらには仕事や趣味といった社会活動においても、満足とはいかないまでも特に不満を感じない日本では、今すぐ解決したい課題が少なく、ニーズは表面化しにくくなっています。

 昨今いわゆるバズった商品は「Pokémon GO」や「あつまれ どうぶつの森」に代表されるゲームのほか、「ウーバーイーツ」や「メルカリ」などのサービスがありますが、あったら楽しい・うれしいものの、極端な言い方をすればなくても死なない、生活する上で必須というものではありません。

 このような現代において、ターゲットの潜在ニーズを引き出すことは重要かつ難しい仕事です。潜在ニーズを獲得するためにはいくつかの方法がありますが、最も簡単な方法は傾聴することです。

 実際には質問するスキルも必要ですが、顧客インタビューに慣れていないのであれば、まずは傾聴です。

 

 最初にきっかけとして「今、どんなことに興味があるのか?」聞いてみましょう。回答に耳を傾け、疑問に思うことがあれば質問する、これを繰り返します。

 話す割合は相手7割、自分3割程度を心掛けるとよいでしょう。傾聴を続けることで、相手が心の奥に抱える「不満」や「不便」に気付くはずです。「気付き」は「仮説」です。仮説をもとに話を膨らませてみることも、潜在ニーズを捉える上で重要な行動となります。

 最後に傾聴力を強化するためのコツを一つ紹介します。

 「相手がいる方向に体ごと向き、聞くことに集中する」訓練を日常生活で行うことです。実は同僚や家族といった身近な人の話を聞くことが、一番難しいともいわれます。相手の考えを予測できるくらい近しいことはいいのですが、勝手に先読みしたり、聞いていなくても問題ないと思いがちです。

 実際に身近な人が満...

技術マネジメント

 

 みなさんは「傾聴」という単語を耳にしたことが、ありますか?

 字で表すとおり、傾聴とは耳を傾けて熱心に聞くこととあります。人材育成や営業研修などで広く一般的に扱われるスキルの一つです。単に「聞こえる」ではなく、相手に集中して「聴く」ことだともいわれます。

 さて、今回「傾聴力」について取り上げた背景には、商品企画を行う上でターゲットのニーズが掴(つか)めないという悩みが大きくなってきたことが挙げられます。

 衣食住という人間の基本的な欲求が満たされ、さらには仕事や趣味といった社会活動においても、満足とはいかないまでも特に不満を感じない日本では、今すぐ解決したい課題が少なく、ニーズは表面化しにくくなっています。

 昨今いわゆるバズった商品は「Pokémon GO」や「あつまれ どうぶつの森」に代表されるゲームのほか、「ウーバーイーツ」や「メルカリ」などのサービスがありますが、あったら楽しい・うれしいものの、極端な言い方をすればなくても死なない、生活する上で必須というものではありません。

 このような現代において、ターゲットの潜在ニーズを引き出すことは重要かつ難しい仕事です。潜在ニーズを獲得するためにはいくつかの方法がありますが、最も簡単な方法は傾聴することです。

 実際には質問するスキルも必要ですが、顧客インタビューに慣れていないのであれば、まずは傾聴です。

 

 最初にきっかけとして「今、どんなことに興味があるのか?」聞いてみましょう。回答に耳を傾け、疑問に思うことがあれば質問する、これを繰り返します。

 話す割合は相手7割、自分3割程度を心掛けるとよいでしょう。傾聴を続けることで、相手が心の奥に抱える「不満」や「不便」に気付くはずです。「気付き」は「仮説」です。仮説をもとに話を膨らませてみることも、潜在ニーズを捉える上で重要な行動となります。

 最後に傾聴力を強化するためのコツを一つ紹介します。

 「相手がいる方向に体ごと向き、聞くことに集中する」訓練を日常生活で行うことです。実は同僚や家族といった身近な人の話を聞くことが、一番難しいともいわれます。相手の考えを予測できるくらい近しいことはいいのですが、勝手に先読みしたり、聞いていなくても問題ないと思いがちです。

 実際に身近な人が満足する傾聴力を持っている営業は、ターゲットのニーズをうまく捉えることができるものです。「相手がいる方向に体ごと向き、聞くことに集中する」ことを家族に対して、一日に一回はトライしてみませんか?お互いに相手を思いやることで、今よりも関係がさらによくなることでしょう。

・・・・・・・・・・・・・・

 市場が成熟している業界や先が読みにくい現代では、見込み客の言葉に耳を傾け、潜在ニーズを捉えることが重要です。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
設計品質の作り込みと人的設計ミス防止策 【連載記事紹介】

  設計品質の作り込みと人的設計ミス防止策 連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆設計品質とは 設計ミスを無くし設計...

  設計品質の作り込みと人的設計ミス防止策 連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆設計品質とは 設計ミスを無くし設計...


研究開発部門がとるべきリーダーシップの型、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その97)

【この連載の前回、事業アイディアの企画を後押しする要素、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その96)へのリンク】 ▼さらに深く学ぶなら!「技術マネ...

【この連載の前回、事業アイディアの企画を後押しする要素、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その96)へのリンク】 ▼さらに深く学ぶなら!「技術マネ...


新規事業部を作れば済むと思っていないか~技術企業の高収益化:実践的な技術戦略の立て方(その18)

   【目次】 今回は、経営者的なリソース配分の解説です。面白い商品・事業を生み出すのに、優秀な経営者はどのように...

   【目次】 今回は、経営者的なリソース配分の解説です。面白い商品・事業を生み出すのに、優秀な経営者はどのように...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
‐技能と技術の融合化によるITを応用した技術開発‐  製品・技術開発力強化策の事例(その4)

 前回の事例その3に続いて解説します。ITの普及と共に技術者や技能者の質的内容が大きく変化しつつあります。今まで何回もの練習と経験を積む必要性が高かった業...

 前回の事例その3に続いて解説します。ITの普及と共に技術者や技能者の質的内容が大きく変化しつつあります。今まで何回もの練習と経験を積む必要性が高かった業...


精密鍛造金型メーカーが自社技術を起点に新商品開発に取り組んだ事例

※イメージ画像 1. 自社技術起点に新商品開発  今回は、精密鍛造金型メーカーとして創業し、現在は研究開発から部品製造まで精密鍛造に関するトータル...

※イメージ画像 1. 自社技術起点に新商品開発  今回は、精密鍛造金型メーカーとして創業し、現在は研究開発から部品製造まで精密鍛造に関するトータル...


基本の仕組みを進化・深化させるとは プロジェクト管理の仕組み (その1)

 前回は、リスク管理が重要であることと、その反面、リスク管理の仕組みを運用しているところでもリスク管理シートを書いているだけという、表面的な仕組みになって...

 前回は、リスク管理が重要であることと、その反面、リスク管理の仕組みを運用しているところでもリスク管理シートを書いているだけという、表面的な仕組みになって...