技術戦略 研究テーマの多様な情報源(その37)

更新日

投稿日

 
 
 前回は、アイデアを創出する活動として『隣接可能性を説明しました。それでは、隣接可能性で創出した『粗いアイデア』をどう進化させ『良いアイデア』とすれば良いのでしょうか。
 

1.『粗いアイデア』を進化させる3つの方法

 
 『粗いアイデア』を進化させるには、次の3つの方法があります。
 
(1)構成要素に因数分解する
 
 最初に出される『粗いアイデア』は、多くの場合様々な要素から構成されています。言い換えると、最初に出される『粗いアイデア』は、複数のアイデアが埋もれた、研ぎ澄まされていないアイデアであると言えます。したがって、この『粗いアイデア』を構成要素に因数分解するという作業は、より『良いアイデア』に進化させるために、極めて重要な作業となります。
 
(2)『そうでない』アイデアを探す
 
 更には因数分解された『アイデアは、「そうではない」アイデアを考える上での、重要な視点を提供してくれるものです。目にはつまらないかもしれないアイデアでも、「そうではない」アイデアを考える上での重要な拠り所になります。ありきたりのアイデアの創出はそう難しくはありません。しかし、「そうではない」アイデアは、ありきたりではない可能性が高いのです。
 
(3)新たな知識・アイデアを付加し、スパークを起こす:すなわち「連想」する
 
 最初に出されたアイデアの全部もしくは一部に新たな知識やアイデアを付加すること、すなわち連想することで、スパークを起こすことも考えられます。したがって、新たな知識やアイデアを予め頭の中に用意しておくことが、スパークの頻度を上げるために重要な要素となります。
 

2.MECE:「もれなく、だぶりなく」

 
 良く議論の整理法にMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)、すなわち「もれなく、だぶりなく」があります。
 
 例えば、日本は何から構成されているかというと、北海道、本州、四国、九州の4つの大きな島から構成されていますが、日本を構成する大きな島に関しては、この4つしかありません(「もれなく」の部分に該当)。その上、これら4つの島には「だぶり」はありません。青森県は北海道にも属しているし、本州にも属している、という構造にはなっていません。
 
 実は、このMECE、「もれなく、だぶりなく」は、極めて優れた発想法でもあります。上で3つの方法を議論しましたが、最初の2つの「構成要素に因数分解する」と「『そうでない』アイデアを探す」を行う方法が、このMECEです。   
 
(1)MECEで「構成要素に因数分解する」
 
 「構成要素に因数分解する」については、MECEのツリー状の構造に、最初に出された『粗いアイデア』を整理します。ツリーの一番てっぺんに、この『粗いアイデア』が置かれ、その下に、その構成要素が「だぶりなく、もれなく」記述されるという構造です。
 
 ここでは、単に整理されるだけでなく、構成要素をツリー状に...
 
 
 前回は、アイデアを創出する活動として『隣接可能性を説明しました。それでは、隣接可能性で創出した『粗いアイデア』をどう進化させ『良いアイデア』とすれば良いのでしょうか。
 

1.『粗いアイデア』を進化させる3つの方法

 
 『粗いアイデア』を進化させるには、次の3つの方法があります。
 
(1)構成要素に因数分解する
 
 最初に出される『粗いアイデア』は、多くの場合様々な要素から構成されています。言い換えると、最初に出される『粗いアイデア』は、複数のアイデアが埋もれた、研ぎ澄まされていないアイデアであると言えます。したがって、この『粗いアイデア』を構成要素に因数分解するという作業は、より『良いアイデア』に進化させるために、極めて重要な作業となります。
 
(2)『そうでない』アイデアを探す
 
 更には因数分解された『アイデアは、「そうではない」アイデアを考える上での、重要な視点を提供してくれるものです。目にはつまらないかもしれないアイデアでも、「そうではない」アイデアを考える上での重要な拠り所になります。ありきたりのアイデアの創出はそう難しくはありません。しかし、「そうではない」アイデアは、ありきたりではない可能性が高いのです。
 
(3)新たな知識・アイデアを付加し、スパークを起こす:すなわち「連想」する
 
 最初に出されたアイデアの全部もしくは一部に新たな知識やアイデアを付加すること、すなわち連想することで、スパークを起こすことも考えられます。したがって、新たな知識やアイデアを予め頭の中に用意しておくことが、スパークの頻度を上げるために重要な要素となります。
 

2.MECE:「もれなく、だぶりなく」

 
 良く議論の整理法にMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)、すなわち「もれなく、だぶりなく」があります。
 
 例えば、日本は何から構成されているかというと、北海道、本州、四国、九州の4つの大きな島から構成されていますが、日本を構成する大きな島に関しては、この4つしかありません(「もれなく」の部分に該当)。その上、これら4つの島には「だぶり」はありません。青森県は北海道にも属しているし、本州にも属している、という構造にはなっていません。
 
 実は、このMECE、「もれなく、だぶりなく」は、極めて優れた発想法でもあります。上で3つの方法を議論しましたが、最初の2つの「構成要素に因数分解する」と「『そうでない』アイデアを探す」を行う方法が、このMECEです。   
 
(1)MECEで「構成要素に因数分解する」
 
 「構成要素に因数分解する」については、MECEのツリー状の構造に、最初に出された『粗いアイデア』を整理します。ツリーの一番てっぺんに、この『粗いアイデア』が置かれ、その下に、その構成要素が「だぶりなく、もれなく」記述されるという構造です。
 
 ここでは、単に整理されるだけでなく、構成要素をツリー状に因数分解する中で、もとのアイデアの中にはない新たな構成要素が追加される可能性が高いのです。
 
(2)MECEで「『そうでない』アイデアを探す」
 
「『そうでない』アイデアを探す」については、MECEの「だぶりなく、もれなく」の構造の中で、「逆ではだめなの」つまり、基のアイデアではない(つまり、基のアイデアとだぶりがなく)、存在する(つまり、上意概念を「もれなく」満たす、同じようなもの)他のアイデアを考えることができるということです。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
普通の組織をイノベーティブにする処方箋【連載記事紹介】

  連載中の普通の組織をイノベーティブにする処方箋が無料でお読みいただけます!   ◆ 曖昧なイノベーションの定義 近年に...

  連載中の普通の組織をイノベーティブにする処方箋が無料でお読みいただけます!   ◆ 曖昧なイノベーションの定義 近年に...


普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その187) 妄想を「形」にして残す

・見出しの番号は、前回からの連番です。 【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら! 妄想はネ...

・見出しの番号は、前回からの連番です。 【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら! 妄想はネ...


インポスター症候群とは 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その83)

 前回エドワード・デシの4段階理論における第3段階を実現する活動として「(その1)有能感への貢献:目的達成が自分自身の成長につながることを理解する」に...

 前回エドワード・デシの4段階理論における第3段階を実現する活動として「(その1)有能感への貢献:目的達成が自分自身の成長につながることを理解する」に...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
チーム力を活かす設計ルームのレイアウトとは

   今回は、金型メーカーに限らず、機械設備メーカーなども含め、設計室(設計ルーム)でチーム力を活かすレイアウトについて解説します。 &nb...

   今回は、金型メーカーに限らず、機械設備メーカーなども含め、設計室(設計ルーム)でチーム力を活かすレイアウトについて解説します。 &nb...


技術者の逆襲:イノベーションの必要性とは

  ◆ 現場からのイノベーション  最近、様々な場所でイノベーションという言葉を聞きます。普通の技術者にとって、イノベーションは技術革新や技術によって...

  ◆ 現場からのイノベーション  最近、様々な場所でイノベーションという言葉を聞きます。普通の技術者にとって、イノベーションは技術革新や技術によって...


イノベーションのための「チーム体制」

 「最後の砦、技術力がアブナイ」では、技術者は自律性、創意工夫、挑戦意欲、変化対応力などを期待されているにもかかわらず、開発現場はそのような技術者に育てる...

 「最後の砦、技術力がアブナイ」では、技術者は自律性、創意工夫、挑戦意欲、変化対応力などを期待されているにもかかわらず、開発現場はそのような技術者に育てる...