新規事業開発には創発的戦略を使う 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その8)

更新日

投稿日

 
  技術マネジメント
 

 ◆「創発的戦略」

 
 新規事業立ち上げ時の技術開発では、想定外・計画外の事象が発生します。私がこの連載の中で、とにかく技術戦略を作ってくださいとお伝えしていますが、「どうせ変更するなら作る必要がない」、「計画通りに行かないのに時間の無駄」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。
 
 そのような意見をお持ちになることは、よく理解できます。
 
 新規事業や画期的な新商品を生み出そうとすればするほど、技術開発は計画通りには進みませんし、せっかく作った戦略が意味のないものに感じてしまう、すなわち時間の無駄と感じてしまうことは十分ありえます。
 
 しかし、ヘンリー・ミンツバーグが提唱した「創発的戦略」こそ、まさに新規事業の技術開発には欠かせないのです。
 
 開発当初に計画した「計画的戦略」の中で、時間の経過や戦略の実行結果により、計画の変更が余儀なくなる場面において、当初の戦略とは異なる戦略となることを「創発的戦略」と呼びます。
 
 「計画通りに進まない戦略の軸をぶれさせることなく、しかし柔軟に進化させる」このように戦略を進化させながら開発を進めることこそが、新規事業開発リーダーの主たる役割となります。
 
 当然ながら最初に「計画的戦略」を立案し、行動しないことには軸がブレブレ、何を開発しているのか、何のために開発しているのか組織全体が迷走しますので、注意してください。
 
 まずは、開発当初に戦略を立案し、行動する。そして、行動しながら得た結果から学習し、知恵を絞り、戦略を修...
 
  技術マネジメント
 

 ◆「創発的戦略」

 
 新規事業立ち上げ時の技術開発では、想定外・計画外の事象が発生します。私がこの連載の中で、とにかく技術戦略を作ってくださいとお伝えしていますが、「どうせ変更するなら作る必要がない」、「計画通りに行かないのに時間の無駄」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。
 
 そのような意見をお持ちになることは、よく理解できます。
 
 新規事業や画期的な新商品を生み出そうとすればするほど、技術開発は計画通りには進みませんし、せっかく作った戦略が意味のないものに感じてしまう、すなわち時間の無駄と感じてしまうことは十分ありえます。
 
 しかし、ヘンリー・ミンツバーグが提唱した「創発的戦略」こそ、まさに新規事業の技術開発には欠かせないのです。
 
 開発当初に計画した「計画的戦略」の中で、時間の経過や戦略の実行結果により、計画の変更が余儀なくなる場面において、当初の戦略とは異なる戦略となることを「創発的戦略」と呼びます。
 
 「計画通りに進まない戦略の軸をぶれさせることなく、しかし柔軟に進化させる」このように戦略を進化させながら開発を進めることこそが、新規事業開発リーダーの主たる役割となります。
 
 当然ながら最初に「計画的戦略」を立案し、行動しないことには軸がブレブレ、何を開発しているのか、何のために開発しているのか組織全体が迷走しますので、注意してください。
 
 まずは、開発当初に戦略を立案し、行動する。そして、行動しながら得た結果から学習し、知恵を絞り、戦略を修正するといった「創発的戦略」をご自身の開発で使いこなしてください。
 
 次回は、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その9)知財戦略を作る理由を解説します。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
位置関係-3 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その106)

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。前回からは、KETICモデルの中の空間的な「位置(関係...

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。前回からは、KETICモデルの中の空間的な「位置(関係...


課題意識を持つ環境に自らを置く 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その77)

 現在KETICの最初の2つ、知識(Knowledge)と経験(Experience)に基づき、思考力(Thought)を強化する方策を解説しています...

 現在KETICの最初の2つ、知識(Knowledge)と経験(Experience)に基づき、思考力(Thought)を強化する方策を解説しています...


商品開発はGive・Give・Give 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その68)

1、返報性の原理  今回は返報性の原理についてです。返報性の原理とは、人間の持つ心理の一つです。  人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返し...

1、返報性の原理  今回は返報性の原理についてです。返報性の原理とは、人間の持つ心理の一つです。  人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返し...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
人的資源マネジメント:インダストリー4.0 を追いかけるその前に(その2)

 前回のその1に続いて解説します。   4. 開発・製造リンクによる製造性評価    少し具体的な例を紹介したいと思います。図...

 前回のその1に続いて解説します。   4. 開発・製造リンクによる製造性評価    少し具体的な例を紹介したいと思います。図...


設計部門とリスク管理(その2)

【設計部門とリスク管理 連載目次】 1. リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成 2. コンティンジェンシープランの注意事項 3. リスク管理...

【設計部門とリスク管理 連載目次】 1. リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成 2. コンティンジェンシープランの注意事項 3. リスク管理...


‐現場観察のチェックポイント‐  製品・技術開発力強化策の事例(その8)

 前回の事例その7に続いて解説します。現場観察はどのような場合でも非常に大切です。 価値ある情報をくみ上げる観察力を絶えず自己啓発する必要があります。現場...

 前回の事例その7に続いて解説します。現場観察はどのような場合でも非常に大切です。 価値ある情報をくみ上げる観察力を絶えず自己啓発する必要があります。現場...