R&Dが押さえるマーケティングミックス 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その85)

更新日

投稿日

技術マネジメント

 

 今回は「R&Dが押さえるマーケティングミックス」について解説します。

 マーケティングミックスとは、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングといった基本戦略を基に、実現するための活動を戦略として定義することを意味します。ミックスと表現するのは、保有するあらゆる手段を活動の構成要素として組み合わせることが理由です。

 マーケティングミックスの構成要素としてProduct、Price、Promotion、Placeの4つがあり、その頭文字をとって4Pと表現しています。

 従来、4Pは経営企画やマーケティング部門が検討するものと考えられていましたが、市場ニーズが予測しにくく、また製品ライフサイクルが短くなった今、研究開発においても4Pを意識することを求められるようになりました。

 製品と価格は技術者としてもイメージが湧きやすい項目だったかと思います。反対にイメージしにくいと相談されるのはコミュニケーションと流通です。そこで将来の資産として、コア技術を開発する研究開発組織が考慮するべき4Pのポイントを解説します。

 

【Product:製品】

 最も重要とされる構成要素です。

 ターゲットのニーズをくみ取り、継続的な購買へとつなげるためには製品の価値を高めることが必要です。もの売りからサービス売りへとトレンドが変化する中では、たとえ既存事業であっても機能の追加や性能アップだけではターゲットに受け入れられなくなることも十分考えられます。これからの研究開発は、ターゲットの課題を予測し、商品・サービスを構想する、その後に開発テーマを設定するといったバックキャストによる製品企画にも注力しましょう。

【Price:価格】

 製品の価格設定です。

 もの売りの時代では原価や間接費を考慮することが一般的でしたが、サブスクリプションやライセンスなど収益モデルの選択肢が増えています。研究開発では原価を抑えることはもちろん、収益となりそうなコア技術をリストアップし、一枚だけの説明資料としてブロック図などにまとめておきましょう。例えるならば、コンピューターやスマートフォンのOSのように、内製でありながら差別化や優位性があるコア技術が該当します。具体的な価格は経営戦略や営業部門が主導して決めます。

【Promotion:コミュニケーション】

 製品のプロモーション活動です。

 ターゲットや流通業者に対し、製品の存在や機能・性能などの価値を伝える戦略です。既存事業では既存顧客を中心に新製品のPRを行います。研究開発がPRするといえば、特許出願や論文などがイメージしやすいかもしれません。

 しかし自社にとって新規性が高い業界やターゲットを狙う製品の場合、展示会や自社イベントなどの場で研究開発自らが技術シーズやプロトタイプのPRを行うことになります。新規性が高い製品は、開発段階で市場の関心を得ていないケースがほとんどです。このような場合は開発者自らがPR活動を行うことで、言語だけでなく非言語情報をフィードバックすることができ、開発方針を素早く軌道修正することも可能となります。

【Place:流通】

 製品をターゲッ...

技術マネジメント

 

 今回は「R&Dが押さえるマーケティングミックス」について解説します。

 マーケティングミックスとは、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングといった基本戦略を基に、実現するための活動を戦略として定義することを意味します。ミックスと表現するのは、保有するあらゆる手段を活動の構成要素として組み合わせることが理由です。

 マーケティングミックスの構成要素としてProduct、Price、Promotion、Placeの4つがあり、その頭文字をとって4Pと表現しています。

 従来、4Pは経営企画やマーケティング部門が検討するものと考えられていましたが、市場ニーズが予測しにくく、また製品ライフサイクルが短くなった今、研究開発においても4Pを意識することを求められるようになりました。

 製品と価格は技術者としてもイメージが湧きやすい項目だったかと思います。反対にイメージしにくいと相談されるのはコミュニケーションと流通です。そこで将来の資産として、コア技術を開発する研究開発組織が考慮するべき4Pのポイントを解説します。

 

【Product:製品】

 最も重要とされる構成要素です。

 ターゲットのニーズをくみ取り、継続的な購買へとつなげるためには製品の価値を高めることが必要です。もの売りからサービス売りへとトレンドが変化する中では、たとえ既存事業であっても機能の追加や性能アップだけではターゲットに受け入れられなくなることも十分考えられます。これからの研究開発は、ターゲットの課題を予測し、商品・サービスを構想する、その後に開発テーマを設定するといったバックキャストによる製品企画にも注力しましょう。

【Price:価格】

 製品の価格設定です。

 もの売りの時代では原価や間接費を考慮することが一般的でしたが、サブスクリプションやライセンスなど収益モデルの選択肢が増えています。研究開発では原価を抑えることはもちろん、収益となりそうなコア技術をリストアップし、一枚だけの説明資料としてブロック図などにまとめておきましょう。例えるならば、コンピューターやスマートフォンのOSのように、内製でありながら差別化や優位性があるコア技術が該当します。具体的な価格は経営戦略や営業部門が主導して決めます。

【Promotion:コミュニケーション】

 製品のプロモーション活動です。

 ターゲットや流通業者に対し、製品の存在や機能・性能などの価値を伝える戦略です。既存事業では既存顧客を中心に新製品のPRを行います。研究開発がPRするといえば、特許出願や論文などがイメージしやすいかもしれません。

 しかし自社にとって新規性が高い業界やターゲットを狙う製品の場合、展示会や自社イベントなどの場で研究開発自らが技術シーズやプロトタイプのPRを行うことになります。新規性が高い製品は、開発段階で市場の関心を得ていないケースがほとんどです。このような場合は開発者自らがPR活動を行うことで、言語だけでなく非言語情報をフィードバックすることができ、開発方針を素早く軌道修正することも可能となります。

【Place:流通】

 製品をターゲットへ届けるまでの流通手段を決める戦略です。

 アパレルなどのメーカーは生産後、卸業者を経て、百貨店などの小売り店舗で顧客に販売すると思います。このような自社製品の流通経路を知っておくことは、研究開発が押さえる流通のポイントとなります。理由はゼロベースで製品・開発テーマを企画する場面で、自社が得意とする流通経路を活用したアイデアは事業の可能性を高めるからです。自社が保有する流通手段を強みとしてリストアップしておきましょう。

 

・・・・・・・・・・・・・・

 R&D担当者は製品や価格だけでなく、コミュニケーションと流通を加えた4つの要素を考慮した企画・開発をおこなうことが重要です。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
クレーム率シングルppmをゼロに(10) 【快年童子の豆鉄砲】(その65)

  【連関図法で把握した原因に対する対策のまとめ】 【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その64)へのリンク】 【連載記事】・新Q...

  【連関図法で把握した原因に対する対策のまとめ】 【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その64)へのリンク】 【連載記事】・新Q...


どんな時もすぐ動く 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その52)

        新規事業・新商品を開発するにあたって、その組織や個人には「すぐ動く」ことが求められます。 ...

        新規事業・新商品を開発するにあたって、その組織や個人には「すぐ動く」ことが求められます。 ...


新入社員の技術者倫理教育とは、技術者の誠実さが未来を創る 

【目次】  ▼さらに深く学ぶなら!「技術者倫理」に関するオンデマンドセミナーはこちら! 1. 「倫理」という見えないが最...

【目次】  ▼さらに深く学ぶなら!「技術者倫理」に関するオンデマンドセミナーはこちら! 1. 「倫理」という見えないが最...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
設計部門の仕組み改革(その1)

【設計部門の仕組み改革 連載目次】 1. システムやツールの導入を伴う設計部門の仕組み改革の進め方 2. 設計部門の仕組み改革、事例解説 3. ...

【設計部門の仕組み改革 連載目次】 1. システムやツールの導入を伴う設計部門の仕組み改革の進め方 2. 設計部門の仕組み改革、事例解説 3. ...


仕組みの見直しに成功する組織1 プロジェクト管理の仕組み (その25)

 この連載では、仕組みの見直しをテーマに様々な考え方や事例を紹介しているわけですが、実際にコンサルタントして仕組みの見直しに取り組んだ組織の中には成功して...

 この連載では、仕組みの見直しをテーマに様々な考え方や事例を紹介しているわけですが、実際にコンサルタントして仕組みの見直しに取り組んだ組織の中には成功して...


マトリクス体制での品質保証2 プロジェクト管理の仕組み (その31)

 前回のマトリクス体制での品質保証1に続いて解説します。品質計画は、製品開発に必要となる手順やリソースが誰によっていつ適用されるかを明確にした個別製品の開...

 前回のマトリクス体制での品質保証1に続いて解説します。品質計画は、製品開発に必要となる手順やリソースが誰によっていつ適用されるかを明確にした個別製品の開...