デザインレビュー 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その35)

更新日

投稿日

 
  技術マネジメント
 
 今回は、デザインレビューで設計品質を上げるための方法について解説します。
 
 システム開発など技術開発を行なっている企業・組織ではすでに一般常識となっているデザインレビューですが、その効果を感じているでしょうか。良い意味での設計業務のルーチンとなっていればいいのですが、デザインレビューを実施したという事実が目的となってしまっている組織を目にすることがあります。
 
 せっかくメンバーの時間を使って行うレビューなのですから、効率的に効果が得られる仕組みとしたいものです。ご存知の通り、デザインレビューは設計品質の確認を有識者と行い、予期せぬミスを抑止することが最大の目的です。
 
 また、設計品質を上げる、つまり組織・個々のスキルアップも目的の一つとなっています。
 

◆ デザインレビューをより効果的なものとするための設計者が心がけたいポイント

 

1. レビューには設計対象とドキュメントを用意する

 
 設計対象である、ソースコード、回路図、CAD図面などのアウトプット以外に、仕様書および補足説明資料を準備します。業務が立て込んでいる組織では、仕様書などドキュメントを作らずに開発を進めてしまい、チェック漏れが発生するシーンがよくあります。仕様書もソースコードなどと同じ、設計アウトプットの必須項目です。
 

2. 設計の根拠が説明できる状態にしておく

 
 これもよくある例なのですが、前任者や既存商品ですでに実績のあるソースコードや図面を一部コピーして使うことがあります。設計効率を考え、コピー・流用することは決して悪いことではありません。問題はコピーの仕方です。
 
 流用した箇所の設計品質の責任は、コピーした本人にあるという認識を持ち設計の根拠を説明できる状態にしておく必要があります。若手エンジニアに多いのですが、「なぜこのような設計をしたのか?」という問いに対し、「コピーしたので意図はわかりません」では設計者として恥ずかしいことです。このような組織とならないよう、開発リーダーはしっかりと指導をしてあげてください。
 

3. レビュアーに対して具体的な依頼をする

 
 開発初期などの小規模組織におけるデザインレビューは、他部署の有識者にレビュアーを依頼することがあります。そのような場合、私自身の経験からも気を付けたいポイントがあります。有識者にチェックして欲しい設計対象を具体的に伝えることが大切です。
 
 単に「レビュア...
 
  技術マネジメント
 
 今回は、デザインレビューで設計品質を上げるための方法について解説します。
 
 システム開発など技術開発を行なっている企業・組織ではすでに一般常識となっているデザインレビューですが、その効果を感じているでしょうか。良い意味での設計業務のルーチンとなっていればいいのですが、デザインレビューを実施したという事実が目的となってしまっている組織を目にすることがあります。
 
 せっかくメンバーの時間を使って行うレビューなのですから、効率的に効果が得られる仕組みとしたいものです。ご存知の通り、デザインレビューは設計品質の確認を有識者と行い、予期せぬミスを抑止することが最大の目的です。
 
 また、設計品質を上げる、つまり組織・個々のスキルアップも目的の一つとなっています。
 

◆ デザインレビューをより効果的なものとするための設計者が心がけたいポイント

 

1. レビューには設計対象とドキュメントを用意する

 
 設計対象である、ソースコード、回路図、CAD図面などのアウトプット以外に、仕様書および補足説明資料を準備します。業務が立て込んでいる組織では、仕様書などドキュメントを作らずに開発を進めてしまい、チェック漏れが発生するシーンがよくあります。仕様書もソースコードなどと同じ、設計アウトプットの必須項目です。
 

2. 設計の根拠が説明できる状態にしておく

 
 これもよくある例なのですが、前任者や既存商品ですでに実績のあるソースコードや図面を一部コピーして使うことがあります。設計効率を考え、コピー・流用することは決して悪いことではありません。問題はコピーの仕方です。
 
 流用した箇所の設計品質の責任は、コピーした本人にあるという認識を持ち設計の根拠を説明できる状態にしておく必要があります。若手エンジニアに多いのですが、「なぜこのような設計をしたのか?」という問いに対し、「コピーしたので意図はわかりません」では設計者として恥ずかしいことです。このような組織とならないよう、開発リーダーはしっかりと指導をしてあげてください。
 

3. レビュアーに対して具体的な依頼をする

 
 開発初期などの小規模組織におけるデザインレビューは、他部署の有識者にレビュアーを依頼することがあります。そのような場合、私自身の経験からも気を付けたいポイントがあります。有識者にチェックして欲しい設計対象を具体的に伝えることが大切です。
 
 単に「レビュアーをお願いします」では、レビュアーはどこに注目して良いかわからず、結果として設計ミスを見逃すことになりかねません。
 
 他部署にいる有識者は、その道のスペシャリストであり、本業務で忙しいことに留意し、どこをチェックして欲しいのか具体的に伝えることで相手の負担を軽減できると共に、凡ミスを防ぐことにつながります。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
技術の棚卸しとは~技術企業の高収益化:実践的な技術戦略の立て方(その12)

  ◆ 「技術の棚卸し」をしても何も起こらないことに気づいているか?  「技術の棚卸しをしているのですが、技術のまとめ方としてはこの粒度...

  ◆ 「技術の棚卸し」をしても何も起こらないことに気づいているか?  「技術の棚卸しをしているのですが、技術のまとめ方としてはこの粒度...


『価値づくり』の研究開発マネジメント (その2)

    前回は、「研究開発の生産性を上げるには、非生産的な活動を行う」という、刺激的なテーマで議論をしましたが、それではどのような「非生...

    前回は、「研究開発の生産性を上げるには、非生産的な活動を行う」という、刺激的なテーマで議論をしましたが、それではどのような「非生...


環状構造で整理する 普通の組織をイノベーティブにする処方箋(その91)

◆関連解説記事『技術マネジメントとは』    今回は、KETICモデルの「思考」の中の、「知識・経験を関係性で整理する」の下記(4)「環...

◆関連解説記事『技術マネジメントとは』    今回は、KETICモデルの「思考」の中の、「知識・経験を関係性で整理する」の下記(4)「環...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
開発部門の管理職が学ぶべきこととは

  今回は、新任の開発課長が学ぶべきこと、課長就任前に3週間で準備をすべきこと、さらには課長就任後に取り組むべきことについて解説します。 &...

  今回は、新任の開発課長が学ぶべきこと、課長就任前に3週間で準備をすべきこと、さらには課長就任後に取り組むべきことについて解説します。 &...


「あったらいいな」を技術シーズ起点に発想する~製薬会社の新しいアイデア創出に向けた取り組み

♦新製品開発のアイデア創出に“新たな風”吹き込む  小林製薬(大阪府)社は「“あったらいいな&rdq...

♦新製品開発のアイデア創出に“新たな風”吹き込む  小林製薬(大阪府)社は「“あったらいいな&rdq...


戦略的RPA導入のための業務分析手法

1. RPA~パソコン作業を自動化  RPA(Robotic Process Automation)とは、様々なデータソースを参照しながら行う定型的...

1. RPA~パソコン作業を自動化  RPA(Robotic Process Automation)とは、様々なデータソースを参照しながら行う定型的...