擦り合わせ型と組み合わせ型、目指すべき開発体制とは(その3)

更新日

投稿日

【目指すべき開発体制 連載目次】

 「組み合わせ型」と「擦り合わせ型」の製品開発におけるマネジメントがどのような特徴を持っているのかを考察しましょう。「組み合わせ型」の開発マネジメントはトップダウンが基本です。トップであるプロジェクトマネジャーが、開発方法や業務ルール、メンバーの役割などを提示し、また、開発初期に製品内部構造(アーキテクチャ)も明示します。マネジメントも設計も曖昧な部分や抜けを極力なくしたロジックを構築することに心血を注ぎます。そして、末端の開発メンバーにまでこれらを伝えるためすべてを文書化します。
 
 一方「擦り合わせ型」の開発マネジメントはボトムアップが基本です。開発現場が主導権を持ち、自分たちで状況判断し、問題を見つけて対応策を検討し対処します。必要に応じて必要な人と相談しながら問題解決するわけです。このような状況下ではマネジメントは重要な役割を果たすことは多くはないのですが、個々のベクトルがバラバラになりそうな場合はベクトルを合わせて目標達成に向ける役割を果たす必要があります。図12に、「組み合わせ型」と「擦り合わせ型」のマネジメントの違いを整理しました。
 
                プロジェクトマネジメント
           図12.「組み合わせ型」と「擦り合わせ型」のマネジメントの違い
 
 多くの組織でISO9001やCMM/CMMIなどの開発プロセスの仕組み導入が進んでいますが、品質向上など一定の成果があるものの、開発現場は文書化などのオーバーヘッドに四苦八苦しているとよく聞きます。技術者にしてみれば「そこまでする必要はないんじゃない」という「やらされ感」が根底にあると考えて良いでしょう。
 
 これは、ISOやCMMIなどの開発プロセスの仕組みは「組み合わせ型」を前提とした仕組みであり、「擦り合わせ型」の開発マネジメントを変えることなく表面的な仕組み導入だけで対応しようとしていることが原因だと分析することができます。多くの開発組織は「擦り合わせ型」マネジメントで動いているのが現実ですから、ISOやCMMIなどを「教科書」と考えてそのままの形で導入・運用しようというのは短絡的だと言えるでしょう。そして結局のところ開発現場にしわ寄せが来ている...

【目指すべき開発体制 連載目次】

 「組み合わせ型」と「擦り合わせ型」の製品開発におけるマネジメントがどのような特徴を持っているのかを考察しましょう。「組み合わせ型」の開発マネジメントはトップダウンが基本です。トップであるプロジェクトマネジャーが、開発方法や業務ルール、メンバーの役割などを提示し、また、開発初期に製品内部構造(アーキテクチャ)も明示します。マネジメントも設計も曖昧な部分や抜けを極力なくしたロジックを構築することに心血を注ぎます。そして、末端の開発メンバーにまでこれらを伝えるためすべてを文書化します。
 
 一方「擦り合わせ型」の開発マネジメントはボトムアップが基本です。開発現場が主導権を持ち、自分たちで状況判断し、問題を見つけて対応策を検討し対処します。必要に応じて必要な人と相談しながら問題解決するわけです。このような状況下ではマネジメントは重要な役割を果たすことは多くはないのですが、個々のベクトルがバラバラになりそうな場合はベクトルを合わせて目標達成に向ける役割を果たす必要があります。図12に、「組み合わせ型」と「擦り合わせ型」のマネジメントの違いを整理しました。
 
                プロジェクトマネジメント
           図12.「組み合わせ型」と「擦り合わせ型」のマネジメントの違い
 
 多くの組織でISO9001やCMM/CMMIなどの開発プロセスの仕組み導入が進んでいますが、品質向上など一定の成果があるものの、開発現場は文書化などのオーバーヘッドに四苦八苦しているとよく聞きます。技術者にしてみれば「そこまでする必要はないんじゃない」という「やらされ感」が根底にあると考えて良いでしょう。
 
 これは、ISOやCMMIなどの開発プロセスの仕組みは「組み合わせ型」を前提とした仕組みであり、「擦り合わせ型」の開発マネジメントを変えることなく表面的な仕組み導入だけで対応しようとしていることが原因だと分析することができます。多くの開発組織は「擦り合わせ型」マネジメントで動いているのが現実ですから、ISOやCMMIなどを「教科書」と考えてそのままの形で導入・運用しようというのは短絡的だと言えるでしょう。そして結局のところ開発現場にしわ寄せが来ているのです。
 
 ISOやCMMI などが大切なのは間違いありませんが、大切なのは、これらのもともとの仕組みを換骨奪胎して「擦り合わせ型」にフィットさせることです。今回お話ししているテーマと同じです。「擦り合わせ型」の開発の仕組みで「組み合わせ型」アーキテクチャの製品開発を行うための工夫に焦点を合わせることが重要なのです。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

石橋 良造

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
国内の現状 オープンイノベーションとは(その2)

         【オープンイノベーションとは 連載目次】 1. オープンイノベーショ...

         【オープンイノベーションとは 連載目次】 1. オープンイノベーショ...


関係性の種類、協調とは 普通の組織をイノベーティブにする処方箋(その99)

 現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」をテーマに解説しています。今回は前回に続き「協調」について考えてみます。 ◆関連解説記...

 現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」をテーマに解説しています。今回は前回に続き「協調」について考えてみます。 ◆関連解説記...


課題や阻害・成功の要因 オープンイノベーションとは(その5)

         【オープンイノベーションとは 連載目次】 1. オープンイノベーショ...

         【オープンイノベーションとは 連載目次】 1. オープンイノベーショ...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
マトリクス体制での品質保証2 プロジェクト管理の仕組み (その31)

 前回のマトリクス体制での品質保証1に続いて解説します。品質計画は、製品開発に必要となる手順やリソースが誰によっていつ適用されるかを明確にした個別製品の開...

 前回のマトリクス体制での品質保証1に続いて解説します。品質計画は、製品開発に必要となる手順やリソースが誰によっていつ適用されるかを明確にした個別製品の開...


仕組みの見直しに成功する組織1 プロジェクト管理の仕組み (その25)

 この連載では、仕組みの見直しをテーマに様々な考え方や事例を紹介しているわけですが、実際にコンサルタントして仕組みの見直しに取り組んだ組織の中には成功して...

 この連載では、仕組みの見直しをテーマに様々な考え方や事例を紹介しているわけですが、実際にコンサルタントして仕組みの見直しに取り組んだ組織の中には成功して...


プロジェクトの計画策定 プロジェクト管理の仕組み (その3)

 前回のその2:CMMIの要件管理に続いて、プロジェクトの計画策定について解説します。CMMIでは次のことができている必要があります。   ...

 前回のその2:CMMIの要件管理に続いて、プロジェクトの計画策定について解説します。CMMIでは次のことができている必要があります。   ...