研究開発部門がとるべきリーダーシップの型、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その97)

投稿日

研究開発部門がとるべきリーダーシップの型、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その97)

この連載の前回、事業アイディアの企画を後押しする要素、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その96)へのリンク

▼さらに深く学ぶなら!
「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら!

先日「研究開発部で新規プロジェクトを主導するためのリーダーシップ法」というセミナーを行いました。タイトルにあるように新規事業や新商品の立ち上げを目的に研究開発を行う組織・チームのリーダークラスの方に参加いただくプログラムです。

 

ご承知のとおり、リーダーシップに関しては、すでに書籍やWeb媒体で数多くのノウハウが公開されています。このような中、どういった課題を持つ方が参加されているかというと、次のような課題がある方が多いようです。

  • 新しく新規事業リーダーにアサインされたものの、何から手を付けたらよいか迷っている
  • 新規性が高い事業アイディアの出し方と進め方が分からない
  • 社内外のステークホルダーとの関係性の構築やリーダーシップに苦労してい...

研究開発部門がとるべきリーダーシップの型、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その97)

この連載の前回、事業アイディアの企画を後押しする要素、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その96)へのリンク

▼さらに深く学ぶなら!
「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら!

先日「研究開発部で新規プロジェクトを主導するためのリーダーシップ法」というセミナーを行いました。タイトルにあるように新規事業や新商品の立ち上げを目的に研究開発を行う組織・チームのリーダークラスの方に参加いただくプログラムです。

 

ご承知のとおり、リーダーシップに関しては、すでに書籍やWeb媒体で数多くのノウハウが公開されています。このような中、どういった課題を持つ方が参加されているかというと、次のような課題がある方が多いようです。

  • 新しく新規事業リーダーにアサインされたものの、何から手を付けたらよいか迷っている
  • 新規性が高い事業アイディアの出し方と進め方が分からない
  • 社内外のステークホルダーとの関係性の構築やリーダーシップに苦労している

 

中でも社内外のステークホルダーと良好な関係性を構築しつつも、目標達成をするべくリーダーシップの取り方に迷いを感じているケースが目立ちます。自社にとって新規性が高い事業アイディア・研究開発テーマを進める際、第一のハードルは社内ステークホルダーの賛同を得ること、すなわち企画の稟議を通す活動です。もちろんアイディアや企画そのものの質を上げる活動は重要ですが、忘れてはいけないのが他者を巻き込むリーダーシップのスタイルです。

 

他者とは、企画を判断する上位層だけではなく、事業化活動の中で今後、協創するであろう組織・チーム・人です。とかく小規模でスタートする新規事業・研究開発テーマは、近々、他部門の協力が必要になります。リーダーは先々を見越して、協力関係を結ぶであろう組織をリストアップし、アプローチすることが必要です。

 

ちなみにアプローチといっても、いきなり協力を依頼するのではなく、相手方の状況をヒアリングし、こちらからは事業アイディア・研究開発テーマの概要を伝えることから始めます。これを何度か繰り返すことで、無理な協力依頼を避け、友好な協力関係を築くことが可能です。

 

正式に協力を依頼する際は、事業企画や研究開発テーマの詳細を説明するとともに、依頼事項を具体的に伝えることがリーダーの仕事です。依頼項目には、①目標、②期限、③アプローチ案、④コミュニケーション法(進捗・完了報告など含む)を盛り込みます。

 

さらにリーダーとして注意するべきは、Win-Winの成果が得られる依頼となっているかです。多くのケースでは、新規事業系の依頼が相手方にとって追加業務であり、負荷がかかります。心理的にもネガティブになりやすいため、依頼相手となる組織・人にメリットを提示できるかはアウトプットの質にも影響しかねません。例えば、依頼相手の組織が開発する既存事業に活用可能な技術であったり、興味を持っている新規技術とマッチしていると快く対応してくれることがあります。

 

以上のように、プロジェクトを推進するリーダーは、第一のハードルである社内ステークホルダーとWin-WInの協力関係を構築・維持する巻き込み型リーダーシップを発揮することが望まれます。

 

次回に続きます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
商品企画

1. ピンとくるものを追ってみる    突然ですが、みなさんに質問です。どんな分野においても尊敬されるリーダーとはどんな人でしょうか?技術畑...

1. ピンとくるものを追ってみる    突然ですが、みなさんに質問です。どんな分野においても尊敬されるリーダーとはどんな人でしょうか?技術畑...


嗅覚 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その153)

  現在、イノベーション実現に向けての「思考の頻度を高める方法」を解説していますが、そのための2つ目の要素「同じ一つの行動をするにしても思...

  現在、イノベーション実現に向けての「思考の頻度を高める方法」を解説していますが、そのための2つ目の要素「同じ一つの行動をするにしても思...


オープン・イノベーションを社内で実現する方法  研究テーマの多様な情報源(その29)

1.自社のコア技術を外部に発信する理由    前回のその28に続いて解説します。それでは、まず自社のコア技術を外部に発信する理由は何なのでし...

1.自社のコア技術を外部に発信する理由    前回のその28に続いて解説します。それでは、まず自社のコア技術を外部に発信する理由は何なのでし...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
開発者が意識したいスケジューリングのコツ(朝~午前編)

先日、ある開発リーダーからこんな相談がありました。「一日のスケジューリングをしても、当日になると急な会議やら雑務が入ってしまって仕事が進まないんだよ。...

先日、ある開発リーダーからこんな相談がありました。「一日のスケジューリングをしても、当日になると急な会議やら雑務が入ってしまって仕事が進まないんだよ。...


ソフトウェア開発の成果物による進捗管理 プロジェクト管理の仕組み (その16)

 前回は、計画時の見積もり精度を上げるための基準モデルと、進捗を見える化するための基本ツールである基本メトリクスセットのひとつ、作業成果物メトリクスについ...

 前回は、計画時の見積もり精度を上げるための基準モデルと、進捗を見える化するための基本ツールである基本メトリクスセットのひとつ、作業成果物メトリクスについ...


進捗管理の精度を上げる:第1回 プロジェクト管理の仕組み (その13)

 前回は進捗管理の基本的な考え方を紹介しました。今回は、この考え方にしたがってどのような方法で実際に進捗を把握できるのかを紹介したいと思います。具体的な話...

 前回は進捗管理の基本的な考え方を紹介しました。今回は、この考え方にしたがってどのような方法で実際に進捗を把握できるのかを紹介したいと思います。具体的な話...