中国工場の実状を知る、日本人駐在員について 中国工場の品質改善(その15)

更新日

投稿日

 

中国工場

【第2章 中国工場の実状を知る】

【日本人駐在員について】

 前回のその14に続いて解説します。

◆ 中国工場のトップは孤独

 中国工場のトップである総経理や工場長は孤独です。

 広東省のとある日系工場の総経理もそう感じていた一人でした。工場の従業員は500人くらいと中規模と言ったところで、本社から出張者が毎月来ているものの日本人は総経理本人一人だけでした。この総経理は営業畑が長く顧客対応や製品コストなどの管理には長けていました。また、中国経験もあり労務管理もそつなくこなしていました。ただ、技術面、品質管理面において得意ではないという思いがありました。

 この工場は製造技術とその品質で顧客の信頼を得ていましたが、顧客のコスト要求は厳しさを増す一方で、既存製品のコストダウンに加え、使用する材料を見直すことで大幅なコスト削減を実現する廉価版の設計をして、その生産を要求してきました。材料を変更しても製品としての機能を下げることは許されませんでした。

 使用する材料が大きく変わってしまったので、自社の製造条件や管理条件なども1から見直さなければならない。これについては本社のサポートで対応したのですが、試作品で顧客承認は取れたものの量産を始めてみると特性が満足出来ない事態となってしまいました。

 生産が始まっているので主対応は工場側でした。ここで問われているのは技術的な対応や生産の条件設定、そしてその管理です。中規模な工場であるだけに総経理が陣頭指揮を取らなければ中国人スタッフも動きません。技術的な面が苦手な総経理はわからないながらも、自分なりに状況を整理して生産条件を設定するためのテスト指示を出し、その結果を見ては量産対応をしていました。

 頑張ってはいたのだけれども、自分がやっているやり方が本当にいいのか、これで解決に向かうのか、本当はもっと違うやり方があるのではないかと言う思いが常に頭をよぎっていたそうです。本社から責任者として送り込まれているので、出来ないとは言えずに一人で苦闘 していました。ひょんなことから筆者に思いを切々と語ってくれたのでした。

 本社にちゃんと言って応援をしてもらえばいいじゃないかと思った方もいると思いますが、そんな単純なことではないのです。工場トップとしてその立場に立つと、簡単に本社に応援を頼めない、工場サイドで何とかやらなくてはならないと考えるものです。

 この総経理、労務管理はそつなくこなしていると書きまし...

 

中国工場

【第2章 中国工場の実状を知る】

【日本人駐在員について】

 前回のその14に続いて解説します。

◆ 中国工場のトップは孤独

 中国工場のトップである総経理や工場長は孤独です。

 広東省のとある日系工場の総経理もそう感じていた一人でした。工場の従業員は500人くらいと中規模と言ったところで、本社から出張者が毎月来ているものの日本人は総経理本人一人だけでした。この総経理は営業畑が長く顧客対応や製品コストなどの管理には長けていました。また、中国経験もあり労務管理もそつなくこなしていました。ただ、技術面、品質管理面において得意ではないという思いがありました。

 この工場は製造技術とその品質で顧客の信頼を得ていましたが、顧客のコスト要求は厳しさを増す一方で、既存製品のコストダウンに加え、使用する材料を見直すことで大幅なコスト削減を実現する廉価版の設計をして、その生産を要求してきました。材料を変更しても製品としての機能を下げることは許されませんでした。

 使用する材料が大きく変わってしまったので、自社の製造条件や管理条件なども1から見直さなければならない。これについては本社のサポートで対応したのですが、試作品で顧客承認は取れたものの量産を始めてみると特性が満足出来ない事態となってしまいました。

 生産が始まっているので主対応は工場側でした。ここで問われているのは技術的な対応や生産の条件設定、そしてその管理です。中規模な工場であるだけに総経理が陣頭指揮を取らなければ中国人スタッフも動きません。技術的な面が苦手な総経理はわからないながらも、自分なりに状況を整理して生産条件を設定するためのテスト指示を出し、その結果を見ては量産対応をしていました。

 頑張ってはいたのだけれども、自分がやっているやり方が本当にいいのか、これで解決に向かうのか、本当はもっと違うやり方があるのではないかと言う思いが常に頭をよぎっていたそうです。本社から責任者として送り込まれているので、出来ないとは言えずに一人で苦闘 していました。ひょんなことから筆者に思いを切々と語ってくれたのでした。

 本社にちゃんと言って応援をしてもらえばいいじゃないかと思った方もいると思いますが、そんな単純なことではないのです。工場トップとしてその立場に立つと、簡単に本社に応援を頼めない、工場サイドで何とかやらなくてはならないと考えるものです。

 この総経理、労務管理はそつなくこなしていると書きました。信頼のおける中国人に任せて、最終承認だけを行っているのですが、そこでしっかりと押さえを効かせることで中国人の好き勝手や暴走を許してはいませんでした。労務管理に関しては、このやり方でうまくやっているトップの方が多いようです。中国人のことは中国人に任せて、ポイントだけしっかり外さないようにすることです。

 次回は、(3) 部長・科長として駐在、から解説を続けます。

【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行   筆者のご承諾により、抜粋を連載

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「人的資源マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
技術士第二次試験対策:予想問題を考える

1. 技術士第二次試験対策:予想問題について 【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポ...

1. 技術士第二次試験対策:予想問題について 【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポ...


改善のできる雰囲気は上司が作る 人材育成・組織・マネジメント(その13)

  【人材育成・組織・マネジメントの考察 連載目次】 1. 間接部門のプロセス改善とは 2. 現場は全てを物語る 3. 明日の仕...

  【人材育成・組織・マネジメントの考察 連載目次】 1. 間接部門のプロセス改善とは 2. 現場は全てを物語る 3. 明日の仕...


中国工場の実状を知る 中国工場の品質改善(その39)

 前回のその38に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方     【3.6 中国工場での人材マネ...

 前回のその38に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方     【3.6 中国工場での人材マネ...


「人的資源マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
赴任者のために 中国工場管理の基本事例(その6)

1、赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その4)  前回の赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その3)に続いて解説します。 ◆...

1、赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その4)  前回の赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その3)に続いて解説します。 ◆...


『坂の上の雲』に学ぶ先人の知恵(その13)

    『坂の上の雲』は司馬遼太郎が残した多くの作品の中で、最もビジネス関係者が愛読しているものの一つでしょう。これには企業がビジネ...

    『坂の上の雲』は司馬遼太郎が残した多くの作品の中で、最もビジネス関係者が愛読しているものの一つでしょう。これには企業がビジネ...


人的資源マネジメント:やる気の見える化(その4)

 技術者はもとより管理者も含めた現場のレベルアップが話題になることが多くなったと感じます。受注したい案件や契約はあるのに、現場がいっぱいいっぱいで受けるこ...

 技術者はもとより管理者も含めた現場のレベルアップが話題になることが多くなったと感じます。受注したい案件や契約はあるのに、現場がいっぱいいっぱいで受けるこ...